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ミスト [映画感想−ま]

ホラーは苦手だし、トーマス・ジェーン主演ってピンと来ないし、
『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』のフランク・ダラボンと言われても、
どうもその方向とは違う雰囲気そうだぞと劇場スルーした作品でした。
でもやたら評価が高くて、これ以上ない衝撃のラストとやらも興味あって、
勇気を出して鑑賞してみました。


アメリカのとある湖畔の田舎町を激しい嵐が襲います。
翌朝、画家のデヴィッド(トーマス・ジェーン)は、
息子のビリー(ネイサン・ギャンブル)と共にスーパーへ買い出しに出かけます。
停電のためごった返すレジの列に並んでいると、
そこに血まみれになったダン(ジェフリー・デマン)が、
「霧の中に何かいる。みんな霧にやられてしまった」と言って駆け込んで来ます。
店の外はあっという間に濃い霧に覆われ、デヴィッドたちは店内から動けなくなります。
やがてその霧の中の魔の手は店内にも忍び寄り・・・。


霧の中に何が!?
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スティーヴン・キング先生は先日観た『2番目のキス』で、
予期せずそのお姿を拝見しましたが、相変わらず怖かった・・・ってそれは言い過ぎかな。
そのキングとフランク・ダラボンとのコンビ作と言われても、
『ショーシャンクの空に』は確かに名作だと思いますが、
『グリーンマイル』はあまり好きではなかったので、
そういう方面から惹きつけられることもありませんでした。
今作を観て感じたのは『グリーンマイル』を観た時の何とも言えない違和感と後味の悪さ。
もう細かいことは忘れてしまいましたが、あの時の気持ちが蘇ってきました。
そういう意味ではこのキング+ダラボンコンビらしいということなのかなとも思いました。

ストーリーは単にナゾの霧に襲われるだけなのかと思っていたら、
霧の中から何だかわけのわからない触手が出てきたり、
巨大な蚊(?)やそれを食べる怪鳥、巨大グモとか、
思いっきり怪獣映画になっていくので、ちょっと予想外。
なのでかえって恐ろしさは感じなかったのですが、
それでも襲われて血とか肉片が!とかはやっぱり苦手。
それと子グモがワラワラというのはゾゾーっとしました。
なので、こんな調子で続いていって本当に傑作なの?と、
前半のB級な雰囲気にはかなり半信半疑になっていました。


いつまで続くのか
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ところがだんだん、この作品で重点が置かれるのは謎の怪物たちじゃなく、
スーパーの中の人間たちの生態だとわかって来てなるほどと思いました。
普通ならみんなで力を合わせて戦い、助け合い・・・となりそうなところなのに、
強い地元意識や職業差別や元々の軋轢なんかでモメて、
しまいには狂信的オバサンが登場して、なんだか違う方向に話が進んでいきます。
この強烈なユダヤ教信者ミセス・カーモディを、
マーシャ・ゲイ・ハーデンがさすがの芝居で見せてくれますが、
私があそこにいたら真っ先に殴って、缶詰投げつけて、ドアの外に放り出してやりたい!
と強く思わせるなんともインパクトの強い"悪役"ぶり。
こういう宗教観に囚われた人ってアメリカの田舎にはいかにもいそうだし、
時間と共にだんだんと"信者"を増やしていくのはすごく恐ろしい。
人はこういう極限状態の中にいると、ちょっとしたことで考えは揺らぐだろうし、
あるいは思考停止してしまうだろうなと思います。
そこに必ずダイ・ハードなヤツがいてリーダーシップ取ってくれるとは限らない。
ここでは一見デヴィッドがそれらしいけど、最初から敵は多いし、
やることなすこと裏目・・・とは言わないまでも、ほぼどれも失敗続き。
でも実際はそんなものでしょう。

そんな中でスーパーの副店長オリーがいい意味で期待を裏切ってくれて、
彼が実は一番カッコイイ!と思ってしまいました。
人は見た目で判断できないといういい例かな。
それと機械工のジムという人が、最初は強気でデヴィッドに敵意むき出しなのに、
自分のせいで1人死なせてしまったら急に弱気になって、
その後もいろいろあって、結局狂信オバサンの信奉者になってしまうとか、
こういう人間描写はすごくよく描けていて面白かったです。


マーシャ・ゲイ・ハーデンが一番怖い
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デヴィッドの息子役を演じたネイサン・ギャンブル。
この子がたまらなくカワイイ!
彼の泣き顔にはキューンときてしまいました。
お父さんは息子との約束を守った・・・とはいえ、
こんな可愛い子を!と思うと、本当に本当に胸が痛くなってしまいました。
ネイサン君は『バベル』でブラッド・ピットの息子、
『ダークナイト』でゲイリー・オールドマン演じるゴードン警部の息子として、
いずれもグッと来る演技を見せてくれていた男の子です。
あと『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』でも息子の1人でした。
なかなかの売れっ子ぶりですが、いつまでもその可愛さを失わないで欲しい!

そしていろいろあって、あのラストシーン。
"衝撃のラスト"って最近はそんな宣伝文句ばかりで、
もうホントどうでもいいという気がするんですが、これは確かに衝撃でした。
ハリウッド的にこれはナシだと思うし、救いが無いにも程がある。
結果は全部失敗でも、とりあえずデヴィッドは頑張ったと思うし、
そんな頑張った人が一番不幸で悲惨な目に遭うというのはちょっとほかに無いと思います。
このエンディングを観て、映画というものに何を求めるかということを考えてしまいました。
映画は必ず主人公が報われるという決まりはないし、この結末がダメとは絶対に言えない。
でも「そんなのありえない!」とか言いながらも、そのありえなさを楽しむ、
それが私の映画の楽しみ方かも知れないと思うと、これは無い。
そういうほうが好き、ということでしかないのかも知れませんが。
作品そのものより、映画ってなんだろうということを、
意外にもこんなハリウッド製ホラー映画で考えさせられてしまうとは・・・。
そのこともショックでした。


The Mist(2007 アメリカ)
監督 フランク・ダラボン
出演 トーマス・ジェーン マーシャ・ゲイ・ハーデン ローリー・ホールデン アンドレ・ブラウアー
   トビー・ジョーンズ ウィリアム・サドラー ジェフリー・デマン ネイサン・ギャンブル



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魔法にかけられて [映画感想−ま]

この1、2年劇場で見逃している作品が本当に多すぎて、
それがこのところWOWOWさんでどんどんオンエアされるんで嬉しくて嬉しくて!


おとぎの国アンダレーシアに暮らすジゼル(エイミー・アダムス)は、
ある日エドワード王子(ジェームズ・マースデン)と出会い、結婚の約束をします。
しかし王子の継母ナリッサ女王(スーザン・サランドン)は、
2人の結婚を妨害するため、老婆に化けてジゼルを魔法の滝に突き落としてしまいます。
ジゼルが辿り着いたのは、なんとニューヨークのタイムズスクウェア。
途方に暮れていた彼女を、弁護士のロバート(パトリック・デンプシー)と、
彼の娘モーガン(レイチェル・コヴィー)が見つけ、家に連れて帰ります。
エドワード王子もリスのピップに事情を知らされ、ジゼルを追ってニューヨークへ。
そしてさらに家来のナサニエル(ティモシー・スポール)も彼のあとを追い・・・。


ジゼルはニューヨークへ
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最初のおとぎの国部分はアニメーションで描かれ、ニューヨークのシーンからは実写となり、
アニメーション部分と実写部分がほとんど混じり合わず、
女王が家来のナサニエルに指示を与えるところでアニメ顔で登場するぐらいという、
現実と彼の国を区別する『オズの魔法使』的線引きはウマイと思いました。
もう少し『メリー・ポピンズ』みたいな実写とアニメが混ざった感じなのかと思っていたので。
リスのピップは実写部分ではキッチリCGで描いていて、しかも喋れない。
喋れないことで王子に話が通じないというウマイ展開もあり、
(身振り手振りのジェスチャーゲームぶりが最高!)
アニメ、実写、そしてCGという使い分けのうまさはよく考えたなあと感心しました。

アニメーション部分から前半はミュージカル全開!
セントラルパークのミュージカルシーンは本当に楽しいです。
こういうオープンロケのミュージカルって昔懐かしい感じでいいですね。
ここで、ニューヨークを舞台にしたのは正解だとつくづく思いました。
都会で、かつ自然の風景もあって古めかしい建物も多いし、
そしてちょっとヘンな格好をした人がいたところでそれほど違和感がない。
いろんなジャンルのミュージシャンがいたり、老若男女、人種もいろいろ、
そんな人たちが一斉に集まって歌い踊るという状況に、
ニューヨークであるというのはかなり無理がない。
でもさすがに最後の舞踏会っていうのはどうかと思いましたが。
なんでもアリなニューヨークかも知れませんが、あんなパーティもあるのかしらん?


歌わずにはいられない!
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毒リンゴとかガラスの(?)靴とか、いろんなお姫様物語の要素が登場したり、
ジゼルが一声掛ければ動物たちが集まってくるとかいうのはなかなか楽しい。
でもなんせニューヨークなんで、やってくるのが鳩とネズミとゴキブリというのが、
笑うところなんだけど、ちょっとカンベンして欲しかった・・・。
でもこういう毒っ気こそが期待した部分なんですけどね。
王子が泊まる安ホテルとか、テレビを魔法の鏡と思っちゃうとか。
確かにいろんな情報を得られるんですけどね、テレビ。
王子にはもっとトンチンカンなことして笑わせて欲しかったです。

やがてジゼルはだんだんニューヨーク生活に順応していき、
それとともに歌えなくなっていく(!)ので、
ミュージカルシーンはなくなり、後半は結構普通のラブコメな感じになっていきます。
このあたりから、プリンセス好きなお嬢ちゃんたちはつまんなくなっちゃうのでは?
ロバートのはだけたガウンから覗く胸見てドキドキ・・・って(違った?)
少々リアルというかベタ過ぎやしませんか?
まあイマドキの子にはこの程度はなんてことないのかも知れませんが。
そういうお子さま観客の代表とも言える娘のモーガンをもうちょっと活かして欲しかった。
目の前に現れたお姫様にもっと夢中になって、
影響を受けてどんどんフリフリな感じになっていくとか。


おとぎの恋はハッピーエンドへ?
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エイミー・アダムスとジェームズ・マースデンが、
本当にアニメーションの世界から抜け出てきた感じで、
大袈裟な身振り手振りとかよく雰囲気出してました。
よく考えるとずいぶんトウが立ったプリンス&プリンセスですが。
ジェームズ・マースデンのあんまりモノ考えてない王子様ぶりはピッタシ!
家来のナサニエルはアニメ部分からどう見てもティモシー・スポールで、
彼の容姿は本当にディズニーものに出てきそうな雰囲気。
そして、これまた声を聞いただけで一発でわかるスーザン・サランドンもハマリすぎ。
そんな中でパトリック・デンプシーがちょっと弱かった気がしました。
バツイチ子持ちの弁護士で人の良さそうな雰囲気はピッタリなんですが、
全体に1人だけいまいちノッてない感じでした。
ただ彼までノリノリになっちゃうと全体的に大騒ぎになってしまうだろうし、
この程度の抑えめなぐらいが良かったのかも知れません。
時折見せる笑顔にはグッと来てしまいましたし。

『シュレック』などで散々パロディの対象にされていたディズニーアニメを、
ついにディズニー自らやる気になったか!と期待したんですが、
うーん、ちょっと期待しすぎてしまったかな、というのが正直な感想です。
アイデアは最高、キャストもハマっていましたが、
セルフパロディとしてもっととことんやって欲しかった気がします。
とにかくターゲットが大人か子どもか、もうちょっとどちらかに絞って欲しかった。
でなければ、お子さま向けと大人向け(ってなんかヤらしいですね)の、
2バージョン作って欲しかった・・・無理かな。
そこが出来ない、というかやらない曖昧さこそがディズニーらしいところなんでしょうけど。
プリンセス大好きな現代の少女たちは果たしてどれぐらい楽しめたのでしょうか。
それでも全体に上手にキッチリまとめたなあと思うし、
音楽はどれも良く出来ているし、そこはさすが安心のディズニー印という感じ。
さて、これからのディズニー映画はどこへ向かうのでしょうね。


Enchanted(2007 アメリカ)
監督 ケヴィン・リマ
出演 エイミー・アダムス パトリック・デンプシー ジェームズ・マースデン ティモシー・スポール
   イディナ・メンゼル レイチェル・コヴィー スーザン・サランドン ジュリー・アンドリュース



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ミスター・ロンリー [映画感想−ま]

困ったなあハーモニー・コリン。
でもディエゴ・ルナ君が観たいしなあという、
それだけの理由で手を出してしまった自分が悪い、と今は思ってます。


幼い頃から自分に違和感を持っていて、
そのためマイケル・ジャクソンとして生きることを決めた"マイケル"(ディエゴ・ルナ)。
今はパリに暮らし、マイケルのモノマネで生計を立てています。
ある日彼は老人ホームの慰問で"マリリン・モンロー"(サマンサ・モートン)と出会います。
彼女はマイケルをスコットランドにある自分の家に誘います。
そこには彼女の夫である"チャップリン"(ドニ・ラヴァン)と娘の"シャーリー・テンプル"、
ほかにもモノマネで生きている人々が大勢暮らしていました。
一方パナマでは、1人の神父(ヴェルナー・ヘルツォーク)が布教活動をしていて、
シスターたちとともに、飛行機で貧しい人々へ食料を投下していました。


マリリンとマイケル
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・・・さて。
ディエゴ君、マイケルダンスの特訓したんだろうなあと思うとなんだか微笑ましい。
サマンサ・モートンのマリリンもそうですが、当然顔なんかは全然似てません。
ほかにマドンナとかジェームス・ディーンとかエリザベス女王とかいろいろ登場するんですが、
基本的に誰も似てはいないんですね。
踊りとか動きのモノマネということだと思うんですが、
そのどれもこれもビミョーな感じがものすごく哀愁を感じさせます。
モノマネ自体はラスベガスから日本まで立派なショービズとして成立していると思いますが、
ここに出てくる人たちはそういう一流にはなれない物悲しさというのか、
見せ物という言葉で表現されそうな世界を感じさせ、そしてそこに必ず付いて来るような"哀愁"、
おそらくそんなあたりを狙っているんだろうなという風にまず思えました。
ではそんな哀愁を描く意図とは?・・・そんな意図は無いと言われたら困りますが、
他人として生きる人々の悲哀、というのはわかる。
でも、どうしても「それで?」と思ってしまう。
とにかく今まで一度もハーモニー・コリンの世界を理解出来たことのない自分には、
やはり今回も難解すぎます。
とは言っても、ものすごくわかりやすい話の展開ではあるのですが。


モノマネ屋敷のみなさん
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このモノマネ屋敷でのお話と平行して、
パナマの神父とシスターたちのお話が語られるのですが、
ある日食糧配給の飛行機から1人のシスターが空中に投げ出されてしまい、
落ちながら神に祈ったら無事に地面に着地したという奇跡のお話で、
さてこれがどうモノマネ屋敷パートと絡むのかと思うと・・・うーん、絡まない!

というわけで、いよいよどう受け止めていいかわからなくなってきたぞ、と、
だんだん、映画を観ていて一番良くないパターンに自分が向かい始めました。
それは「ダメだコレ」と思ってしまうこと。
頭の上に「?」が浮かんだままで放置されるのは珍しいことではないし、
自分の理解力の無さか相性の悪さだと諦めればいいだけのことなんですが、
せっかくディエゴ・ルナやサマンサ・モートンという良い役者が登場して、
なんか最後にグッと来るものでもあるといいなあ、と思ったら・・・何も来ませんでした。
モノマネ屋敷パートもシスターパートも呆れるぐらい予想通りの展開で、
もうちょっと、もうちょっと何か・・・と求める自分が悪いのかも知れませんが。


フゥーッ!
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チャップリン役のドニ・ラヴァンはちょっと衝撃でした。
最近は全然彼の出演作を観ていないので、
私にはアレックスとしての彼しかアタマに残っていなかったもので、
そうかこんなおじいちゃんになっちゃったか、と。
(そうは言ってもまだ40代後半ぐらいだと思いますが。)
ちなみにマイケルのエージェント役でレオス・カラックスが出ています。
ドニ・ラヴァン繋がりなのか、その逆なのかわかりませんが、
神父役のヴェルナー・ヘルツォークといい、この辺のコネクションは強力。
もうひとつ衝撃はサマンサ・モートン。いつのまにこんなドスコイな体型に?
まあ元々ポッチャリした感じの人ではありましたが、ちょっとショック。
でもこの体型が一層このマリリンの役を物悲しいものにしていたと思いました。
ちなみに娘のシャーリー・テンプルちゃんは本当の彼女の娘みたいです。
この子がとにかくカワイイ!時々表情がママ似だなあと思いました。

誰かになりきることでしか生きていけないとか、
何かを信じることの難しさそして素晴らしさとか、
いろんなヒントは見え隠れするんですが、
どうも決定的な答えは差し出されないし見つけられない。
単に何かを感じ取るぐらいでいいだけなのかも知れませんが、
逃げとか小賢しさという言葉も頭に浮かんでしまうし、
最後までハーモニー・コリンだという色眼鏡が外せなかったのかも知れません。
彼が"恐るべき子ども"だった頃にはそれでも良かったのかも知れないけど、
大人になっても結局こんななの?という軽い失望感。
相性が悪い、ということでカンベンしてくださいという感じです。
美しい映像と、それと音楽はすごく良かったです。
好きな人には、ホントごめんなさい。


Mister Lonely(2007 イギリス/フランス)
監督 ハーモニー・コリン
出演 ディエゴ・ルナ サマンサ・モートン ドニ・ラヴァン
   ヴェルナー・ヘルツォーク レオス・カラックス



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マイ・ブルーベリー・ナイツ [映画感想−ま]

昨年、ブログを始めて間もない頃に、
こんな記事を書いておきながら、結局観る機会がなかった作品。
ようやく観ることが出来ました。


ニューヨーク。ジェレミー(ジュード・ロウ)の経営するカフェに、
ある晩、恋人を捜す1人の女が訪れます。
彼女の名前はエリザベス(ノラ・ジョーンズ)。
恋人の心変わりをその店で知った彼女は、
傷心を紛らわすようにこのカフェに通い始め、2人は親しくなっていきますが、
ある日突然、姿を見せなくなります。
やがて、ジェレミーの元へエリザベスからハガキが届くようになり・・・。


ジェレミーとエリザベスは出会う
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ポスターでドキッとした美しい色づかい、
スローやボカシを多用した映像は相変わらずのウォン・カーウァイ調。
(でもカメラはクリストファー・ドイルじゃないんですね!)
その昔、『恋する惑星』にはキチンとハマったし、
『花様年華』も十分堪能したクチなんですが、
彼の初めての英語劇はさてどうなることやら・・・と思ったら、
色やディテールなど映像の濃厚さは印象的なのですが、
ストーリーはというとアッサリしてるというか物足りなさを感じました。

ジェレミーのカフェの雰囲気はすごく好み。
エリザベスからの電話を受けていた時は相当忙しそうだったのに、
そんなピークが過ぎ、店を閉めようとする時は、
料理やお酒のニオイが染み込んでるような店内、
疲れた雰囲気のジェレミーの様子など、リアルですごく引き込まれました。
わかったようなわからないような鍵のエピソードも程良いアクセントを出しているし、
エリザベスの傷心っぷりも実に雰囲気に溶け込んでいる。
ノラ・ジョーンズの演技はどんなもんかと心配しましたが、
なかなか堂々としたものでした。
まあ特別演技してます!という感じでもなかったですけど。


傷心の警官、アーニー
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さて、この後エリザベスはまさに自分探しの旅へ出ます。
ここからロードムービーとなるのかと思いましたが、
ハッキリ言ってロードムービーとはちょっと言い難い。
約1年の間に彼女が過ごすのはメンフィスとネヴァダ。
失恋の悲しみを紛らわせるためにダイナーやバーで昼夜働く彼女は、
その時々の思いをジェレミーにハガキで一方的に知らせます。
ここで主役は彼女からデヴィッド・ストラザーンとレイチェル・ワイズの夫婦、
そしてギャンブラーのナタリー・ポートマンに移ります。
エリザベスはそれぞれに関わりはするのですが、
結果的に彼女がどれほど彼らに影響を受けたかということはあまり伝わってきませんでした。
例えばあと30分長くてもいいから、もう1エピソードぐらいあっても良かったかな。
それほど、この2つの話の印象は薄く(どちらも死人まで出るというのに!)、
役者さんたちはなかなかの熱演なのに、なんとももったいない気がしました。

まあいろんな人の感想や批評を読むと、
その行き当たりばったり感や内容の浅い感じがウォン・カーウァイらしいという、
褒めてるんだかけなしてるんだかというのが多かったのが面白い。
あまり深くプロットも決めず撮ったのかなというのは感じました。


ギャンブラーは相手の心を読む?
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結局例のポスターにもなってるノラ・ジョーンズとジュード・ロウのキスシーン、
これだけを撮りたかった、それもノラ・ジョーンズの曲に乗せて、
ということなのかなあと思いました。
ちょっとあざとさを感じなくもないですが、確かに美しく印象的なキスシーン。
これは予告編では使わないで欲しかった。
まあここがこの作品のキモだったとしたら、
メンフィスとネヴァダの2ヵ所のシーンは必要なかったような気すらします。
そこで豪華なキャストを出してそれっぽい話を作ったりしないで、
単純にエリザベスがアメリカを横断するロードムービーに徹して、
またニューヨークに戻ってくる・・・ということで良かったのでは。

ノラ・ジョーンズを主役にしたかったから舞台がアメリカになってしまったけど、
本当はパリとかロンドンとかのほうが雰囲気はもっと出たんじゃないかとも思いました。
ジュード・ロウなんだから、パブのオーナーでもいいのに。
アメリカを撮ってもカーウァイはカーウァイ、と言ってしまえばそうかも知れないし、
そんな彼の世界が好きな人にはこれでいいのかなと思いますが、
なんだか私には中途半端で惜しい印象でした。
どうしても長い長いCMかミュージックビデオのようだし。
週末の夜にお酒を飲みながら、なんとなく流してるのにはいいかも知れません。


My Blueberry Nights(2007 香港/中国/フランス)
監督 ウォン・カーウァイ
出演 ノラ・ジョーンズ ジュード・ロウ ナタリー・ポートマン
   レイチェル・ワイズ デヴィッド・ストラザーン



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マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと [映画感想−ま]

アメリカで大ベストセラーだったエッセイの映画化。
赤いリボンの愛くるしい子犬のポスターを、
その見た目通りに受け入れていいのか、だまされるんじゃないのかなあ?と、
ヒネクレモノの私は半信半疑で見始めたのですが・・・。


ジョン(オーウェン・ウィルソン)とジェニー(ジェニファー・アニストン)は、
結婚を機にミシガンから温暖なフロリダに越して来て新婚生活を始めます。
子どもは欲しいと思いながらも、まだ親になる自信が持てず、
共にジャーナリストである2人は仕事のこともあり、子どもはもう少し先と考えていました。
そこでジョンは同僚のセバスチャン(エリック・デイン)の助言を受け、
子育ての予行演習を兼ねて犬を飼うことを決めます。
2人の家にやって来たのはラブラドール・レトリーバーの子犬。
"マーリー"と名付けられたこの犬、しかしどうしようもなく手に負えないやんちゃぶりで・・・。


お買い得!の新しい家族
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オーウェン・ウィルソンとジェニファー・アニストン主演と聞くと、
個人的には何が何でも観たい!と思わせるキャスティングではあるのですが、
普通ならDVDスルーにされてもおかしくない、日本での知名度はイマイチな2人。
そうならなかったのはさすが動物ものの強みということでしょうか。
”動物もの”という括りが正しいのかどうかわかりませんが、
宣伝の仕方なんかまるっきり「犬の映画ですよ」という感じだし、
実際、劇場に来ていたのは犬目当てだよなあと思わせる人でいっぱいでした。
最初にレトリーバーの子犬たちが画面に登場した時のリアクションといったら!

さて、誰がどう見ても愛くるしい子犬のマーリー。
ところがあっという間にカラダは大きくなってしまいます。
それでも中身はまだ子犬、その上とにかく言うことを聞かない"おバカ"な犬なので、
まあ、凄まじい暴れっぷりです。
よくこんな大きくて暴れん坊の犬を家の中で飼うよなあとあきれてしまいます。
何とかしつけようと訓練学校に入学したりもするのですが、
これも初日で追い出されてしまう始末。
ところで、犬のトレーナー役でキャスリーン・ターナーが登場するのですが、
冒頭でキャスリーン・ターナーの名前を見ていたんで気が付いたんですが、
そうでなければ絶対にわからなかったと思うぐらいの凄まじい変わりよう!
ちょっと笑っちゃうぐらいショックでした。


あらゆるものは食べられます
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マーリーに振りまわされる日々のジョンとジェニー。
ストーリーはあくまでこの夫婦2人の生き方を中心に描いていて、
マーリーはそんな2人の日々の生活に多大な影響を与えながらも、
あくまで脇役でしかありません。
マーリーのやりたい放題ぶりは夫婦にとって悩みのタネではあるんですが、
それより仕事や夫婦関係の悩みのほうが大きく描かれます。
大きくなったマーリーはその暴れっぷりもあってカワイイというカンジでは全然ないし、
いくつになっても賢くなる気配もない。
このあたりで完全に”動物もの”ではないことがハッキリしてきます。

ジョンは新聞記者としてはなかなかうまくいかず、
同僚のセバスチャンがどんどん出世していくのを横目で見ているだけの日々。
そんな彼がネタとしてたまたま書いたマーリーのコラムが好評となり、
以来、彼は人気コラムニストとなるのですが、
どんなコラムの内容だったかを、ものすごく駆け足で見せて行くシーンがあって、
これがすごく印象的でした。
彼の数年間の家庭のこと、仕事のこと、そしてマーリーが何をしでかしたかが、
本当にものすごいイキオイで描かれるのですが、
当然1つ1つのエピソードはしっかり撮影されていると思われるのに、
画面に映されるのはほんの数秒ずつ。
ジョンの早口のナレーションが付いていて、それに対応する字幕も当然あるので、
とても映像に追いついていけない!
ここはもう一回じっくりと見直したい。とにかくよく出来ています。


家族が増えていきます
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家族が増え、仕事も変わっていき、年もとっていく。
仕事を辞めて家庭に入ったジェニーのストレス、
ジョンは思い通りにならない自分のキャリアに苛立つ。
このあたりの中年にさしかかる夫婦の描き方はなかなかリアルです。
そしてそんないろんな出来事の中、その傍らにはいつもマーリーがいる。
やんちゃだったマーリーも年と共にだんだんおとなしくなっていき、
そして当然のように別れの時が来ます。
家族それぞれが自分のこれまでの人生を振り返り、
そのどの場面にもマーリーがいたことを思う。
ここは当然のようにグッと来てしまいます。
私は一度も犬を飼った経験がないのにこんなに胸に迫ってしまうぐらいだから、
犬を飼ったことのある人、今現在家に犬がいるという人には、
このあたり、相当クルものがあるんじゃないでしょうか。
私の隣りの若いカップル、特に男の子のほうは相当ハデに鼻をすすっていました。

カワイイ犬が大活躍する映画だと思って観に行くと見事に肩すかしを食らいます。
若いカップルの幸せな新婚生活から始まり、でもそんな時期は長くは続かず、
夫婦に巡ってくるあらゆる問題、それらにどう立ち向かっていくのか、
何を尊重し何を捨てるのか、ままならないこと、踏ん張りどころ、
そんな、誰にでも訪れるような出来事を描くことに重点が置かれていて、
ああなるほどなあと思わせる場面がいくつも出てきます。
でも、そんなあらゆる"危機"を回避させてくれたのは、
当然ながらマーリーの存在のおかげ。
意外性はないけれども、あざとく泣かせようとしないところはすごく好感が持てるし、
オーウェン・ウィルソンとジェニファー・アニストンが実に"らしい”演技を見せて、
見終わった感想はとにかく爽やか。
こんな爽やかな気持ちになる映画は意外に貴重かも知れません。


Marley & Me(2008 アメリカ)
監督 デヴィッド・フランケル
出演 オーウェン・ウィルソン ジェニファー・アニストン エリック・デイン アラン・アーキン
   キャスリーン・ターナー ネイサン・ギャンブル ヘイリー・ベネット





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