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俺たちステップ・ブラザース<義兄弟> [映画感想−あ]

最初にこの映画のポスターをネットで見つけた時には、
思わずのけぞってしまいました。
↓これです。

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どうしてこういうの思いついちゃうんでしょう?
でも当然日本公開はないんだろうなあと思っていたら、
やはり・・・ダメでした。
フィギュアスケートとかバスケットとか、わかりやすいテーマがないと、
どう宣伝していいかわからないってこともあるんでしょうかね。
40歳のニートな男2人が義理の兄弟になる話なんて・・・。


ブレナン(ウィル・フェレル)は39歳。
最近失業したばかりの彼は母親(メアリー・スティーンバージェン)と2人暮らし。
一方40歳になるデール(ジョン・C・ライリー)は、
一度も就職したことがないという筋金入りのニートで、
彼も父親(リチャード・ジェンキンス)と2人暮らし。
この父と母が結婚することになり、義理の兄弟となったブレナンとデール。
2人は同じ屋根の下、同じ部屋に暮らすことになります。


最初はケンカばかり
stepbrothers_2.jpg


このブレナンとデール、いい年してTVがどうのお小遣いが足りないだのと、
とにかく言動がまるっきり子ども。
そんな2人が一緒に暮らし始める時も、アレは触るなコレはゆずらないと、
このまんま小学生に演じさせても違和感のないセリフばかり。
で、ちょっとしたことで大げんかになってしまうんですが、
デカイ2人が大暴れするんで誰も止められない!
こういうの、ウィル・フェレルはお馴染みのキャラなんですが、
ジョン・Cまで一緒にやっちゃうからクダラナサ2倍です。

40歳ニートと来るとやはりオタク風味となるようで、
部屋のポスターや小物、そして彼らの言動はゲームやアニメや映画の話ばかり。
ジョン・Cなんか「そのヨーダのTシャツ何回着て登場するの?」だし、
チューバッカのマスクはおいしすぎます。私も欲しい!
いろんな映画のパロディ風シーンも登場するので、このあたりも結構楽しいです。


大人なのに生傷が絶えません
stepbrothers_3.jpg


そんな2人がブレナンの弟デレク(アダム・スコット)という、
”共通の敵”の登場で一転、共同戦線を張ることになります。
このデレクがまたとことんイヤなヤツで、
息子と娘もしっかりその血を引き継いでるようだし、
彼の奥さんのアリスはというと・・・これが意外な方向へ!
演じてるのはキャスリン・ハーン。つい先日『レボリューショナリー・ロード』で、
お隣りの奥さんを地味目に演じていたのを観たばっかりだったので、
そのギャップにびっくり!まあどちらかというとこちら方面の人だと思うのですが。
『俺たちフィギュアスケーター』『ウォーク・ハード ロックへの階段』のジェナ・フィッシャーや、
『タラデガ・ナイト オーバルの狼』のエイミー・アダムスとか、
フェレル作品に登場する女優さんたちのカラダの張り方は本当に素晴らしいです。

というわけでいろいろあって、
いつまでもこんなニート人生ではダメだ!ということもあって、
ブレナンとデールはここから一発逆転を狙います。
まあでも、そう簡単にうまくいくわけもなく・・・。
一応ちょっとイイ話方向に進みつつ、
でもこの展開をオチとするのは少し弱いかなあというのが正直なところでした。
それでも2人のお得意のノドを聞かせてもらえるこの場面、
え、ここでこの選曲!?しかもそれにドラムかぶせる!?と、
このシーンの脱力感は最高!それを聴いて感動してる人たちも可笑しすぎます。

例によって下ネタ満載、子どもたちにも容赦ないところを見せてくれるし、
安心?のフェレル映画。お時間があればぜひ!


Step Brothers(2008 アメリカ)
監督 アダム・マッケイ
出演 ウィル・フェレル ジョン・C・ライリー メアリー・スティーンバージェン
   リチャード・ジェンキンス アダム・スコット キャスリン・ハーン セス・ローゲン



俺たちステップブラザース〈義兄弟〉 コレクターズ・エディション [DVD]

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俺たちフィギュアスケーター [映画感想−あ]

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
本年も当ブログをよろしくお願いします。
クリスマス以降は何かと忙しく、まったく更新できませんでした。
年末年始、映画は劇場ではもちろん、家でのDVDやビデオ鑑賞もままならず。
・・・地上波のお笑い番組ばっかり観てたせいもあるんですが。
年が明けて、唯一この作品だけWOWOWで観ました。


チャズ・マイケル・マイケルズ(ウィル・フェレル)とジミー・マッケルロイ(ジョン・ヘダー)は、
アメリカ男子フィギュアスケート界で常に1位を争うライバル同士。
その2人が世界選手権で見事同点で1位を獲得します。
しかし、その表彰式で乱闘騒ぎを起こしてしまい、
メダルは剥奪され、スケート界からも永久追放されてしまいます。
それから3年半後、共に落ちぶれた生活を送っていた2人が偶然再会。
そしてあることがきっかけとなり、2人は史上初、
前代未聞の"男子ペア"を組むことになり・・・。


ワイルド!
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クリスマスに『エルフ ~サンタの国からやってきた~』を観ていて、
ウィル・フェレルがスケートしているシーンで、
「そういえば『俺たちフィギュアスケーター』観てないなあ」と思い出しました。
かなり限定公開だった劇場へは当然ながら足を運べず、
DVDが出てからも、なんとなく忘れてしまっていたのは、
ウィル・フェレルの相方がジョン・ヘダーだったというのがおそらく大きな理由。
『バス男』にそれほど心を動かされなかった私は、
あのナポレオン・ダイナマイトが美青年スケーターというのが納得できなかったし、
そいつは見ものだ!とも思えなかったのです。
で、実際観てみると、ジョン・ヘダー見事にバケてました。
フワフワの金髪とか、冒頭のシングルでの演技なんか、
いかにもこんなスケーターいそうだなあという感じだし、
彼の場合、あの歯ぐきさえ見せなければ確かにカワイイです。
世間知らずで潔癖症で純粋そうな雰囲気が要所要所でギャグになっていて、
やりすぎてない感じも好感が持てて、なんだイイじゃない!と思ってしまいました。


ピュア!
bladesofglory_2.jpg


一方ウィル・フェレルはいつもの調子の下ネタ方面を一手に引き受けてはいましたが、
全体に抑え気味だったかも知れません。
ファンとしては、もうちょっと壊れたところを観たかったかな。
セックス依存症は"らしい"けど、それほどそこを膨らませるでもなくて、
そのあたりに物足りなさを感じました。
まああんまり過激にしちゃうとR指定になっちゃいますし。
でも、ジミーが恋するケイティ(ジェナ・フィッシャー)の胸は揉みまくってました!
それにしてもジェナ・フィッシャーは『ウォーク・ハード ロックへの階段』でも頑張ってましたが、
今回もしっかりカラダ張ってました。
おとなしそうな雰囲気とのギャップがいいですね。

ライバルのヴァン・ウォルデンバーグ兄(ウィル・アーネット)との追いかけっこシーンが、
スケート以外のなかなかの見せ場としてありましたが、
ここももう少ししっちゃかめっちゃかにやってくれても良かったかな。
氷上以外でスケート靴があんなに歩きにくいってことはないと思うんですが、
スケート靴=歩きにくい、というネタをひたすら引っ張る、
その過剰な感じは結構好きです。
エスカレーターの溝にかっちり挟まるとかいうあたりはオカシイ。
このヴァン・ウォルデンバーグ兄妹の悪人ぶりはなかなかでした。
特に妹のエイミー・ポーラーは元々顔がきつめなので、
こういう悪役はすごく似合ってます。
ウィル・アーネットとエイミー・ポーラーは実生活では夫婦なんですが、
双子と言われると、顔が似てる気がしないでもないのが不思議。
まるでシンデレラのように2人に散々いじめられる妹のケイティは、
兄姉にはまるっきり似てなくて、これはいじめられてもしょうがないかも、
なんてどうでもいいことも思ってました。


腹黒!
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私はあまりフィギュアスケートは詳しくないんですが、
そんな私でも知ってる本物の現役/OBスケーターたちがたくさん登場しています。
ナンシー・ケリガンやサーシャ・コーエンは小芝居も見せるし、
ミシェル・クワンと付き合った記念のタトゥーとか・・・大丈夫?
スケート好きな人にはこのあたり、結構ウケルと思います。

それにしてもスケートシーンの出来栄えは素晴らしい。
映像の作り方というか、合成が本当にウマイ!
スケーター役の人たちは全員それなりに特訓したらしいですが、
当然代役も使ってるし、滑ってるフリだけのところもいっぱいあります。
でもほとんど本人たちが本当に滑ってるようにしか見えません。
『タラデガ・ナイト オーバルの狼』の時も思ったんですが、
あれもレースシーンの迫力は大したものでした。
このあたりのチカラの入れ方は本当にエライと思います。

プロデューサーにベン・スティラーの名前がありますが、
まさに『ズーランダー』や『ドッジボール』と同じノリ。
毎度同じパターンだなあと思いながら、毎回一切手抜きナシなところが本当に素晴らしい。
ウィル・フェレル作品は、原題や内容に関係なく、
邦題に『俺たち』を付ければいいという安易なシリーズ化という状況になってますが、
まあいっか、という気分でもあったりします。劇場公開されるだけものすごい進歩ですし。
このあとの『俺たちダンクシューター』(あ〜これもまだ観てない!)も、
観なくても中身が見えちゃってる感じですが、
『俺たちステップ・ブラザース』はさすがに違うと思う・・・。
でも、今年もウィル・フェレル&フラットパック作品に楽しませてもらえそう。
ずっとずっと、ついて行きます!


Blades of Glory(2007 アメリカ)
監督 ジョシュ・ゴードン ウィル・スペック
出演 ウィル・フェレル ジョン・ヘダー ウィル・アーネット エイミー・ポーラー
   ジェナ・フィッシャー ウィリアム・フィクトナー クレイグ・T・ネルソン ロマニー・マルコ
   ニック・スワードソン ロブ・コードドライ ルーク・ウィルソン



俺たちフィギュアスケーター スペシャル・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
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エルフ ~サンタの国からやってきた~ [映画感想−あ]

『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』を観ていて、
エルフのハーミーが他のエルフとちょっと違う・・・という話で思い出しました。
というか、クリスマス映画なら本サイト的にはやはりコレかな、と。


赤ん坊の時に間違ってサンタクロース(エドワード・アズナー)の袋に入ってしまい、
北極のサンタランドに連れて行かれてしまったバディ(ウィル・フェレル)。
子どもの欲しかったパパ・エルフ(ボブ・ニューハート)にエルフとして育てられますが、
ほかのエルフよりも大きい上にオモチャ作りも得意じゃなく悩める日々。
見かねたパパ・エルフは、バディが実はエルフじゃなく人間で、
本当の父親はニューヨークに住んでいることを告げます。
その本当の父親に会うことを決めたバディは、単身ニューヨークへ向かいますが・・・。


1人だけデカすぎ!
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コメディというより、正しいファミリー向けクリスマス映画。
いつものウィル・フェレルらしい下ネタは一切ないですし、
パスタにシロップかけるとか、路上のガムを食べるなんていうオエッとしちゃいそうなのは、
実に子どもにもわかりやすいギャグ。
バディの精神年齢は完璧に5〜6歳ぐらいと思われ、
そのくらいの年齢の子どもの行動パターンをよく研究してるなあと感心します。
デパートのサンタイベントでサンタが来ると聞いた時の喜びようとか、
すぐに飽きちゃってほかに関心持ってどっか行っちゃうとか。
それをウィル・フェレルのあのデカいカラダでやるから本当におかしい。

そんな子どもの心を持った大男が、ある日訪ねて来て自分を父親だと言う。
その散々な目に遭う父親ウォルターをジェームズ・カーンが演じています。
この父親は、サンタのリストに"悪い子"として載っているぐらいの、
結構ワルいオヤジなのですが、だんだんとバディの純粋な心に触れ、
本当に大事なものを見つけていくというのが大筋のストーリー。
でも、ウォルターの心の移り変わりは適当に端折られているというか、
わりと急に心を入れ替える感じではあります。
元々それほど"悪い子"とも思えないし、彼を徹底した悪人にしなかったことの物足りなさは感じますが、
まあそこに細かく焦点を当てることは、それほど重要じゃないのかも知れません。
大体、夫の昔の彼女がどこかで産んだ子どもを喜んで迎え入れる、
ウォルターの妻エミリーというのも「ありえない!」と思いますし。
その妻を演じてるのがメアリー・スティーンバージェンなんで、
バディを絶対にねちっこくイジメそうな気がするんですが、そんなこともまるっきりナシ。


他人の顔、したくなります
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バディの義理の弟になるマイケル(ダニエル・テイ)との関わりも、
最初は「こいつアホか?」みたいにバディのことを見ていたのに、
あることがきっかけで仲良くなる・・・というベタな展開で、
でもやっぱりどこかグッと来ます。
バディが病院の待合室で一緒になる女の子なんかもすごく可愛くて、
(この子はラストにも登場します)やっぱり子どもにはかなわない。
あの、でかくてクドいウィル・フェレルが、子どもの心を持っていると、
本当に信じられる瞬間でもあります。

そして、この作品で一番の"見もの"はズーイー・デシャネル!
この作品で彼女のことがすごく気になりだしました。
常にちょっと醒めているような雰囲気がすごく役に合ってるし、
いつもの黒髪じゃなくブロンドなのも新鮮です。
自ら作詞作曲も行い、バンド活動も行っている彼女ですが、
その得意のノドも何度も披露してくれています。
シャワー室で『Baby, It's Cold Outside』を歌うところは名シーン!
全体から見るとちょっと浮いてるようでもあるこういうスウィートなシーンを、
キチンと入れてくれた監督のセンスがスキです。
ここだけウィル・フェレルもマジで歌ってるし。
エンドロールではお相手をレオン・レッドボーンに変えて、フルコーラスで聴けます。


キュート!
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毎年クリスマスの時期に繰り返し観られる作品を目指して作られたそうで、
そういうクリスマス定番映画・・・『素晴らしき哉、人生!』や『三十四丁目の奇蹟』には、
まあかなわないかも知れませんが、新たな定番に加えてもいいのではと思います。
実際私も繰り返し観てますが、これがなかなか飽きない!
まあウィル・フェレル好きということもありますが。
現代の人々が"クリスマスの心"を取り戻す、ラストシーンへの持って行き方はなかなかのもの。
毎度、ここでウルッとしてしまいます。
そう、クリスマスの時ぐらいは、いつものひねくれた心は捨てて純粋になりたいものです。
私も『サンタが街にやってくる』ぐらい、いつでも歌えるようになってなきゃ!
大きな声で歌えば、クリスマスの心が広まるのだから。



では最後に、大好きな『Baby, It's Cold Outside』のシーンを。
ズーイーかわいいなあ。私が男だったら絶対スキになるタイプ!





Elf(2003 アメリカ)
監督 ジョン・ファヴロー
出演 ウィル・フェレル ジェームズ・カーン ボブ・ニューハート  エドワード・アズナー
   メアリー・スティーンバージェン ズーイー・デシャネル ダニエル・テイ



エルフ~サンタの国からやってきた~ [DVD]

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ウォーク・ハード ロックへの階段 [映画感想−あ]

ちょうど去年の今頃、この作品がアメリカで公開され、
スチールを目にするたびに「ああ観たい!」と溜息をついていました。
ジョン・C・ライリー渾身の一作。ようやく!


アメリカ伝説の歌手、デューイ・コックス(ジョン・C・ライリー )。
幼い頃、アクシデントで才能溢れる兄を死なせてしまい、
そのことで父親に責められ続けて育ちます。
14歳で家を出、妻と子どもたちを養いながら歌手デビューを夢見る日々。
そしてある日、思わぬチャンスが巡ってきて・・・。


どこかで観たようなシーン・・・
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『シカゴ』なんかでもその見かけと違った(失礼!)優しい歌声を聴かせていたジョン・C。
とにかく出ずっぱり、歌いまくりの90分!
もう誰がどう見ても『ウォーク・ザ・ライン』のパロディなのですが、
それだけでなく、50年代から現代までのアメリカの音楽史を網羅していると言ってもいい、
その構成や、時代時代の雰囲気を表したオリジナル曲の数々がスゴイの一言!
ヘンな話ですが、このデューイ・コックスという人は当然架空の人物で、
歌われる曲もこの作品のためにすべて書き下ろされているわけです。
これって、新作ミュージカルと言ってもいい。
『ウォーク・ザ・ライン』とか『レイ』のように実在する人物を描くのであれば、
音楽は既に存在して、なんならオリジナル音源を使って俳優は口パクでもいいわけです。
ところがこちらは、メイキングを見るとわかるのですが、
ジョン・Cは曲作りの段階から作業に参加していて、当然すべて自分で演奏し歌っているのです。
これだけでも本当に心から拍手を送りたい。

そのオリジナル曲製作は、いろんなミュージシャンが関わっているようなのですが、
テーマ曲とも言える"Walk Hard"、これがまた良くできた曲!
作ったのはなんとマーシャル・クレンショウと知ってビックリ!昔、大好きでした!
そしてこの曲が、なんと今年、グラミー賞の映画・テレビサウンドトラック部門にノミネートされている!
ほかに『ウォーリー』『魔法にかけられて』なんて候補が並んでいるので、
受賞は難しいのかな・・・?よくわかりませんが。
でも受賞するとウレシイなあ。


ドラッグ求めて大ダッシュ!
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さて、ではコメディとしての出来はどうかというと・・・。
基本的には下ネタ、ドラッグネタだらけでバカバカしさ満載なんですが、
正直言って大爆笑というほどのことはなく、クスッとかニヤッといった感じ。
例えばコックスの幼い頃は当然子役が演じているのですが、
いきなり14歳に成長したコックスは、もう全然今のジョン・Cのまんま。
ただでさえごっつい顔なのに、こんな14歳いないよ〜とか、
ドラッグ関係は、ドラマーのサム(ティム・メドウス)が必ずきっかけという繰り返しとか、
そういう結構ベタなネタが続きます。
死んだ兄の幽霊がたびたび登場するんですが、これがある時点でなぜか成長するんですね。
演じてるのはジャド・アパトー組と言えば・・・というヒトなのですが、
この展開もおかしかったです。

それよりも見ものはやはり時代時代で変わっていくコックスの音楽。
こんなに音楽のスタイルが変わっていくミュージシャンというのもどうかと思いますが。
デビュー当時の50年代はそれこそジョニー・キャッシュ風、
それが60年代になるともろにヒッピーになってプロテストソングを歌うんですが、
これは思いっきりボブ・ディラン風。
そして70年代になると自分の曲をディスコ調にアレンジしてみたり、
やがて世間から忘れられ、年もとった2000年代になると、
なんとラッパーが"Walk Hard"をサンプリングした曲が大ヒットして、
再び脚光を浴びる・・・という、まさにアメリカの音楽史をなぞっている感じなのです。
歌詞はやっぱり下ネタだったり、すごいくだらないことを歌ってたりするんですが。
映像も、60年代ディランの時は白黒ドキュメンタリー風だったり、
ビートルズ登場シーンではイエロー・サブマリン風アニメも登場するし、
70年代のテレビ番組「デューイ・コックス・ショー」はいかにもありそうな雰囲気で、
ボウイの『スターマン』をディスコアレンジで歌ったり・・・と凝りまくり。


70年代はこんなことに・・・
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最後はグラミー賞みたいなステージで名誉賞を受けることになり、
パール・ジャムのエディ・べダーが彼の功績を讃え、
ジャクソン・ブラウン、ジュエル、ライル・ラヴェットの3人が"Walk Hard"を歌ってみたりと、
豪華なゲストも見ものです。

フランキー・ムニッズのバディー・ホリー、
ジャック・ホワイトのエルヴィス・プレスリーなんてのも登場。
さっぱり似てない気がするんだけど、なりきってる感じがオカシイです。
前にこの作品について書いたときにも触れましたが、
個人的に一番の楽しみだったのはビートルズの皆さん!
これが思った以上の出来栄えでした。
一応全員ノンクレジットの出演なのですが、バラしてしまうと、
ポール:ジャック・ブラック、ジョン:ポール・ラッド、
ジョージ:ジャスティン・ロング、リンゴ:ジェイソン・シュワルツマン、という豪華な顔ぶれ。
1人を除いてパッと見、誰だかわからない。
その1人・・・こんなに太ったポールはないでしょう、と思うんですが、
そこはジャック・ブラックの力業で、確かにポールになって・・・ます。
でも、やはりこの中ではジョンの完成度が高い!本当に素晴らしい。


やりすぎだよジョン、いやポール・・・
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『ウォーク・ザ・ライン』や『レイ』などのミュージシャン伝記映画に共通する、
幼い頃貧しくて、奥さんはないがしろにされて、ドラッグに溺れて・・・といったストーリー。
それが事実だったと言われれば納得するしかないんですが、それらをことごとくギャグにすることで、
そのありがちなストーリーに対していつも持ってしまっていたモヤモヤが、
なんとなく晴れたような気になりました。
ジョニー・キャッシュやレイ・チャールズを否定したり非難するわけでは当然ないですが、
映画になったとき、その描き方が型にはまってしまってるように感じていたのも事実。
そこをうまーくコメディに仕立てたなあと思います。
もし『ウォーク・ザ・ライン』が未見なら、そちらをまず観てからコチラを観ることをお薦めします。
それと、音楽好きな人には絶対オススメ。最後は結構感動します。
そうだ、エンドロールが終わったあとに衝撃の事実が明かされます!
こちらもお見逃し無きよう。(なんて、大したことじゃないですが)


Walk Hard: The Dewey Cox Story(2007 アメリカ)
監督 ジェイク・カスダン
出演 ジョン・C・ライリー ジェナ・フィッシャー  ティム・メドウス クリステン・ウィグ
   ジェナ・フィッシャー レイモンド・J・バリー ハロルド・ライミス



ウォーク・ハード ロックへの階段 [DVD]

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ヴィーナス [映画感想−あ]

ピーター・オトゥールが昨年のアカデミー賞で実に8回目のノミネートとなりながら、
結局受賞とはならなかった今作。
彼の分身とも言えそうな老俳優を、魅力たっぷりに演じています。


俳優であるモーリス(ピーター・オトゥール)は、とうに70歳を過ぎ、
回ってくるのは死人の役など端役ばかり。
旧友で俳優仲間のイアン(レスリー・フィリップス)と酒を飲んだり、
芝居見物するのが唯一の楽しみという日々を送っていました。
そのイアンの家に、急に彼の姪の娘ジェシー(ジョディ・ウィッテカー)が同居することになります。
礼儀知らず、世間知らずのどうしようもないアバズレ娘ぶりに失望するイアン。
しかしモーリスは彼女に魅力を感じ、イアンの代わりに彼女の相手をすることに。
彼女を芝居やバーに連れて行き、仕事の世話までしてやるのですが・・・。


ジェシーに魅力を感じるモーリスだったが
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どうしても実際のピーター・オトゥールとモーリスが重なって見えてしまって、
彼がどんなに若いときにハンサムだったか、大スターだったかを知っているこちらとしては、
こんなに寂しい老後を過ごしているとは考えたくない、と思ってしまう、
そんなちょっと混乱する気持ちで観ていました。
モーリスがどの程度のレベルの俳優なのかよくわかりませんが、
(現金でもらうギャラはかなり少なめに見えましたが・・・)
こんなに寂しい暮らしをしてるものなのでしょうか。
なかなかキビシイものですね、イギリスの演劇界は。

それと、彼が惹かれるジェシーなんですが、実にだらしないしアタマ悪そうだしで、
彼女のどこがいいのかがちょっとわからなかった。
今でも端役とはいえ俳優の仕事をしてるんだから、キレイな女優さんとか見慣れてるだろうに。
そんなじゃない、こんな田舎娘だからなんとかなりそうと思ったとか?
例えば初めて彼女と出会うシーンがもっとドキッとするような、
ベタだけど、着替えてるシーンに出くわしちゃうとか、生足を見ちゃったとか、
そんな風にわかりやすいと納得もするんですが、敢えてそうはしなかったのでしょうか。
こういうどうしようもない娘にして、彼女がモーリスと"付き合う"うちに、
だんだんとレディになっていくのかな?なんてことも想像したんですが、そうもならない。
まあ人の好みはそれぞれだし、こんな娘だからこそモーリスに付き合ったのかもとも思うし。
とは言え、映画的に夢を見させてもらうなら、
もうちょっと魅力的な女優さんに演じて欲しかった気もします。


旧友イアンとの気楽な日々
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これが映画デビュー作だというジェシー役のジョディ・ウィッテカー。
時折見せる表情や、プライベートや別の作品の写真などを見るとなかなか魅力的なので、
このジェシーのだらしなさやひどい訛りなどは役作りなんでしょうが、
何にしてもちょっとハマリ過ぎです。
イギリス映画らしいといえばらしいのですが。

気持ちは老いてなくても身体は言うことをきかなくなる。
年をとるとはこういうことなんでしょう。
この年齢になっても欲望はあるのか?というのは、女の私には想像もつかないところ。
むしろ、元妻であるヴァレリー(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の姿に、
深く思うところがありました。
若い頃、妻と3人の子供を置いて別の女優の元に走ったらしいモーリスと、
どういうきっかけでよりを戻したのかはわかりません。
今でも別居している2人ですが、用があれば彼女の家に駆けつける。
すべては過去のことだし、こんな男とわかって愛したのかも知れない。
モーリスとヴァレリーが2人で食事をするシーンは、そんないろんなことを想像させました。
ヴァネッサ・レッドグレーヴの老けぶりもかなりショック。
でも、彼女には彼女のドラマがあったんだろうなと、少ない登場シーンの中で思わせる、
貫禄というのか、素晴らしい演技に深く感動しました。


元妻ヴァレリーとの関係は
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コリーヌ・ベイリー・レイの曲がふんだんに使われていて心地よく、
それとドヴォルザークのスラヴ舞曲が印象的。
この曲にあわせてモーリスとイアンが踊るシーンはグッと来ました。
こういうおじいちゃんたちのシーンは、ちょっと弱いです。

モーリスの生き方をどう評価するか。
もちろん本人がどう思うかで他人は知ったことではないけれど、
おそらく、幸せな一生だったと思います。
若い頃はおそらく女性関係も華やかで、家族も顧みずやりたい放題だったんだろうし、
年をとってからはこうやって若い娘に出会い、ときめきを感じることもできた。
男性が観ると、いろいろ思うところの多い作品なのではないでしょうか。
まさに理想の老い方と言えるのかも知れません。
エンディングは、この愛すべき老俳優のすべてを許したくなる、
不思議な爽やかさに満ちていました。


Venus(2006 イギリス)
監督 ロジャー・ミッシェル
出演 ピーター・オトゥール レスリー・フィリップス ジョディ・ウィッテカー
   ヴァネッサ・レッドグレーヴ リチャード・グリフィス



ヴィーナス 特別版 [DVD]

ヴィーナス 特別版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
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