ヴィーナス [映画感想−あ]
ピーター・オトゥールが昨年のアカデミー賞で実に8回目のノミネートとなりながら、
結局受賞とはならなかった今作。
彼の分身とも言えそうな老俳優を、魅力たっぷりに演じています。
俳優であるモーリス(ピーター・オトゥール)は、とうに70歳を過ぎ、
回ってくるのは死人の役など端役ばかり。
旧友で俳優仲間のイアン(レスリー・フィリップス)と酒を飲んだり、
芝居見物するのが唯一の楽しみという日々を送っていました。
そのイアンの家に、急に彼の姪の娘ジェシー(ジョディ・ウィッテカー)が同居することになります。
礼儀知らず、世間知らずのどうしようもないアバズレ娘ぶりに失望するイアン。
しかしモーリスは彼女に魅力を感じ、イアンの代わりに彼女の相手をすることに。
彼女を芝居やバーに連れて行き、仕事の世話までしてやるのですが・・・。
ジェシーに魅力を感じるモーリスだったが
どうしても実際のピーター・オトゥールとモーリスが重なって見えてしまって、
彼がどんなに若いときにハンサムだったか、大スターだったかを知っているこちらとしては、
こんなに寂しい老後を過ごしているとは考えたくない、と思ってしまう、
そんなちょっと混乱する気持ちで観ていました。
モーリスがどの程度のレベルの俳優なのかよくわかりませんが、
(現金でもらうギャラはかなり少なめに見えましたが・・・)
こんなに寂しい暮らしをしてるものなのでしょうか。
なかなかキビシイものですね、イギリスの演劇界は。
それと、彼が惹かれるジェシーなんですが、実にだらしないしアタマ悪そうだしで、
彼女のどこがいいのかがちょっとわからなかった。
今でも端役とはいえ俳優の仕事をしてるんだから、キレイな女優さんとか見慣れてるだろうに。
そんなじゃない、こんな田舎娘だからなんとかなりそうと思ったとか?
例えば初めて彼女と出会うシーンがもっとドキッとするような、
ベタだけど、着替えてるシーンに出くわしちゃうとか、生足を見ちゃったとか、
そんな風にわかりやすいと納得もするんですが、敢えてそうはしなかったのでしょうか。
こういうどうしようもない娘にして、彼女がモーリスと"付き合う"うちに、
だんだんとレディになっていくのかな?なんてことも想像したんですが、そうもならない。
まあ人の好みはそれぞれだし、こんな娘だからこそモーリスに付き合ったのかもとも思うし。
とは言え、映画的に夢を見させてもらうなら、
もうちょっと魅力的な女優さんに演じて欲しかった気もします。
旧友イアンとの気楽な日々
これが映画デビュー作だというジェシー役のジョディ・ウィッテカー。
時折見せる表情や、プライベートや別の作品の写真などを見るとなかなか魅力的なので、
このジェシーのだらしなさやひどい訛りなどは役作りなんでしょうが、
何にしてもちょっとハマリ過ぎです。
イギリス映画らしいといえばらしいのですが。
気持ちは老いてなくても身体は言うことをきかなくなる。
年をとるとはこういうことなんでしょう。
この年齢になっても欲望はあるのか?というのは、女の私には想像もつかないところ。
むしろ、元妻であるヴァレリー(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の姿に、
深く思うところがありました。
若い頃、妻と3人の子供を置いて別の女優の元に走ったらしいモーリスと、
どういうきっかけでよりを戻したのかはわかりません。
今でも別居している2人ですが、用があれば彼女の家に駆けつける。
すべては過去のことだし、こんな男とわかって愛したのかも知れない。
モーリスとヴァレリーが2人で食事をするシーンは、そんないろんなことを想像させました。
ヴァネッサ・レッドグレーヴの老けぶりもかなりショック。
でも、彼女には彼女のドラマがあったんだろうなと、少ない登場シーンの中で思わせる、
貫禄というのか、素晴らしい演技に深く感動しました。
元妻ヴァレリーとの関係は
コリーヌ・ベイリー・レイの曲がふんだんに使われていて心地よく、
それとドヴォルザークのスラヴ舞曲が印象的。
この曲にあわせてモーリスとイアンが踊るシーンはグッと来ました。
こういうおじいちゃんたちのシーンは、ちょっと弱いです。
モーリスの生き方をどう評価するか。
もちろん本人がどう思うかで他人は知ったことではないけれど、
おそらく、幸せな一生だったと思います。
若い頃はおそらく女性関係も華やかで、家族も顧みずやりたい放題だったんだろうし、
年をとってからはこうやって若い娘に出会い、ときめきを感じることもできた。
男性が観ると、いろいろ思うところの多い作品なのではないでしょうか。
まさに理想の老い方と言えるのかも知れません。
エンディングは、この愛すべき老俳優のすべてを許したくなる、
不思議な爽やかさに満ちていました。
Venus(2006 イギリス)
監督 ロジャー・ミッシェル
出演 ピーター・オトゥール レスリー・フィリップス ジョディ・ウィッテカー
ヴァネッサ・レッドグレーヴ リチャード・グリフィス
結局受賞とはならなかった今作。
彼の分身とも言えそうな老俳優を、魅力たっぷりに演じています。
俳優であるモーリス(ピーター・オトゥール)は、とうに70歳を過ぎ、
回ってくるのは死人の役など端役ばかり。
旧友で俳優仲間のイアン(レスリー・フィリップス)と酒を飲んだり、
芝居見物するのが唯一の楽しみという日々を送っていました。
そのイアンの家に、急に彼の姪の娘ジェシー(ジョディ・ウィッテカー)が同居することになります。
礼儀知らず、世間知らずのどうしようもないアバズレ娘ぶりに失望するイアン。
しかしモーリスは彼女に魅力を感じ、イアンの代わりに彼女の相手をすることに。
彼女を芝居やバーに連れて行き、仕事の世話までしてやるのですが・・・。
ジェシーに魅力を感じるモーリスだったが
どうしても実際のピーター・オトゥールとモーリスが重なって見えてしまって、
彼がどんなに若いときにハンサムだったか、大スターだったかを知っているこちらとしては、
こんなに寂しい老後を過ごしているとは考えたくない、と思ってしまう、
そんなちょっと混乱する気持ちで観ていました。
モーリスがどの程度のレベルの俳優なのかよくわかりませんが、
(現金でもらうギャラはかなり少なめに見えましたが・・・)
こんなに寂しい暮らしをしてるものなのでしょうか。
なかなかキビシイものですね、イギリスの演劇界は。
それと、彼が惹かれるジェシーなんですが、実にだらしないしアタマ悪そうだしで、
彼女のどこがいいのかがちょっとわからなかった。
今でも端役とはいえ俳優の仕事をしてるんだから、キレイな女優さんとか見慣れてるだろうに。
そんなじゃない、こんな田舎娘だからなんとかなりそうと思ったとか?
例えば初めて彼女と出会うシーンがもっとドキッとするような、
ベタだけど、着替えてるシーンに出くわしちゃうとか、生足を見ちゃったとか、
そんな風にわかりやすいと納得もするんですが、敢えてそうはしなかったのでしょうか。
こういうどうしようもない娘にして、彼女がモーリスと"付き合う"うちに、
だんだんとレディになっていくのかな?なんてことも想像したんですが、そうもならない。
まあ人の好みはそれぞれだし、こんな娘だからこそモーリスに付き合ったのかもとも思うし。
とは言え、映画的に夢を見させてもらうなら、
もうちょっと魅力的な女優さんに演じて欲しかった気もします。
旧友イアンとの気楽な日々
これが映画デビュー作だというジェシー役のジョディ・ウィッテカー。
時折見せる表情や、プライベートや別の作品の写真などを見るとなかなか魅力的なので、
このジェシーのだらしなさやひどい訛りなどは役作りなんでしょうが、
何にしてもちょっとハマリ過ぎです。
イギリス映画らしいといえばらしいのですが。
気持ちは老いてなくても身体は言うことをきかなくなる。
年をとるとはこういうことなんでしょう。
この年齢になっても欲望はあるのか?というのは、女の私には想像もつかないところ。
むしろ、元妻であるヴァレリー(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の姿に、
深く思うところがありました。
若い頃、妻と3人の子供を置いて別の女優の元に走ったらしいモーリスと、
どういうきっかけでよりを戻したのかはわかりません。
今でも別居している2人ですが、用があれば彼女の家に駆けつける。
すべては過去のことだし、こんな男とわかって愛したのかも知れない。
モーリスとヴァレリーが2人で食事をするシーンは、そんないろんなことを想像させました。
ヴァネッサ・レッドグレーヴの老けぶりもかなりショック。
でも、彼女には彼女のドラマがあったんだろうなと、少ない登場シーンの中で思わせる、
貫禄というのか、素晴らしい演技に深く感動しました。
元妻ヴァレリーとの関係は
コリーヌ・ベイリー・レイの曲がふんだんに使われていて心地よく、
それとドヴォルザークのスラヴ舞曲が印象的。
この曲にあわせてモーリスとイアンが踊るシーンはグッと来ました。
こういうおじいちゃんたちのシーンは、ちょっと弱いです。
モーリスの生き方をどう評価するか。
もちろん本人がどう思うかで他人は知ったことではないけれど、
おそらく、幸せな一生だったと思います。
若い頃はおそらく女性関係も華やかで、家族も顧みずやりたい放題だったんだろうし、
年をとってからはこうやって若い娘に出会い、ときめきを感じることもできた。
男性が観ると、いろいろ思うところの多い作品なのではないでしょうか。
まさに理想の老い方と言えるのかも知れません。
エンディングは、この愛すべき老俳優のすべてを許したくなる、
不思議な爽やかさに満ちていました。
Venus(2006 イギリス)
監督 ロジャー・ミッシェル
出演 ピーター・オトゥール レスリー・フィリップス ジョディ・ウィッテカー
ヴァネッサ・レッドグレーヴ リチャード・グリフィス
タグ:映画
映画館がない環境に育ったので、疎いんですが
DVDレンタルしてボチボチ見てます。
くじ引きに来てと誘われたので来ましたよ~
by わいわいクラブ (2008-12-14 22:34)
わいわいクラブさん、はじめまして。
何かDVDレンタルの参考にしていただけたらウレシイです。
くじ当たるといいですね〜!
by dorothy (2008-12-15 00:29)