地球最後の男 オメガマン [映画感想−た]
ウィル・スミス主演『アイ・アム・レジェンド』のオリジナル。
というかさらにこの前に『地球最後の男』という作品があるそうですが、
そちらは未見です。観たような気がしないでもないんですが・・・。
1975年に中国とソ連の間で細菌戦争が勃発。それにより人類の多くは死に、
感染して生き残ったものは全身が白くなり太陽光線に耐えられない身体になってしまいました。
その戦争から2年後のロサンゼルス。元軍医のロバート・ネヴィル(チャールトン・ヘストン)は、
自分が開発した抗体ワクチンのおかげで健康体のまま現在まで生き延び、
そのため感染者たちから敵対視され、日々彼らとの戦いを1人続けていました。
しかしある日、ネヴィルは街で彼以外の健康体の人間を発見します。
孤立
無人のロサンゼルスの街をネヴィルが赤いスポーツカーで疾走するオープニング。
このあたりの雰囲気はまるっきり『アイ・アム・レジェンド』しています。
CGのないこの時代、おそらく街中完全封鎖して撮影したんだと思いますが、
よーく見ると、遠くにクルマが走ってるのが見えたりもしてるんですが、まあそこは。
相棒の犬もいなくて、1人独り言を言いながら街を歩くネヴィル。
そこらじゅうにミイラ化した死体がゴロゴロしていて、
クルマが潰れたら当然別の新車に勝手に乗り換え。
映画館で1人『ウッドストック』を観るシーンなんていうのも登場して、
チャールトン・ヘストンとロックってちょっと意外な取り合わせな気もしましたが、
そんな廃墟の街の演出はなかなか面白いです。
ところが、やがてネヴィルの"敵"である感染者たちが登場し、雰囲気は一変。
ハッキリ言ってちょっとガッカリな感じになってきます。
この細菌に冒された人々の描写がすごく残念なのです。
『アイ・アム・レジェンド』で予備知識があったからいいようなものを、
いきなり何も知らずにこれを観てたら、この人たちのこと、
何やらアヤシイ異教徒の集団かなんかだと思ったに違いない。
『アイ・アム〜』ではもはや人間じゃないぐらい変異していたし、原作では"吸血鬼"だったそう。
でも今作での彼らは、肌や髪の毛、瞳が白くなってるだけで普通に元気そう?な人たち。
光に弱いとは言っても別に光を浴びて溶けるわけでもない。
単にネヴィルと敵対してるだけの人たちという感じなので、
ネヴィルがかまわず彼らを銃で撃ちまくるのが逆にすごく恐ろしいです。
味方?
そんな中でネヴィル以外の健康な生存者たちが見つかります。
リサ(ロザリンド・キャッシュ)とダッチ(ポール・コスロ)は、
ネヴィルが感染者たちに捕まったところを助けます。
リサは最初、とにかく敵か味方かわからないぐらい乱暴。
その乱暴な意味はよくわからなかったんですが、まあその後予想通り2人は恋仲に。
どうでもいいことですがこの2人、やたらサービスカットが多いです。
チャールトン・ヘストンといえば裸というイメージがあるんで驚かないですが、
それにしても今回も意味もなくあちこちで上半身脱いでます。
それに対抗するかのようにロザリンド・キャッシュも脱ぎます。意味もなく。
ベッドシーンはいいとして、服の試着のシーンぐらいで脱いでみせなくてもと思いましたが、
そんな時代だったのでしょうか?
ネヴィルと感染者たちとの敵対関係、感染することにより白くなる肌の色、
そのことから来る差別的発想、彼らが文明社会を否定し武器を使用しないことなど、
この作品では宗教的、政治的な意味合いがかなり含まれているようです。
ヒロインを黒人女性にしたのもそのひとつかなと思いましたが、
批評や解説などをいろいろ読んでも、どうも私にはそういったことがいまいちピンと来ませんでした。
ニュアンスとしてはいろいろ感じられるものはありましたが、
この時代の知識も乏しく、40年近く経った現代では通じないことも多い。
それより何より、脚本自体も演出としてもそういったことを匂わせる程度にしか描いてない気がして、
何かすべてが中途半端な印象を受けました。私の理解力の無さなのかも知れませんが。
感染者
やはり感染者たちが単に白塗りで黒装束な人にしか見えず、
彼らがネヴィルを敵視する理由がよく見えないことが一番失敗だと思います。
お互い、一回よく話し合えばいいのでは?と思えてしまうところがすべて台無しにしてしまってる。
手に負えないくらい凶暴なバンパイヤになって初めてネヴィルが取る行動も理解できるはずなのです。
それともう一点残念な点は、全編に流れる音楽がまったく合っていないこと。
とにかく緊張感がなくて、ここはドカンと鳴らしてもいいのでは?というようなシーンでも、
どこかムーディな音楽でガックリ。ちゃんとした劇伴を作れなかったかなんかで、
そのへんにあった音楽を適当に合わせたみたいな印象です。
せっかく冒頭でウッドストックとか見せたんだから、
この頃のロックとかバリバリ使っちゃってもいいと思うんですが。
この音楽がB級な感じを決定づけてしまっています。
60〜70年代SFは結構スキなんですが、これはいろいろと残念すぎる作品でした。
The Omega Man(1971 アメリカ)
監督 ボリス・セーガル
出演 チャールトン・ヘストン アンソニー・ザーブ ロザリンド・キャッシュ
ポール・コスロ リンカーン・ギルバトリック
というかさらにこの前に『地球最後の男』という作品があるそうですが、
そちらは未見です。観たような気がしないでもないんですが・・・。
1975年に中国とソ連の間で細菌戦争が勃発。それにより人類の多くは死に、
感染して生き残ったものは全身が白くなり太陽光線に耐えられない身体になってしまいました。
その戦争から2年後のロサンゼルス。元軍医のロバート・ネヴィル(チャールトン・ヘストン)は、
自分が開発した抗体ワクチンのおかげで健康体のまま現在まで生き延び、
そのため感染者たちから敵対視され、日々彼らとの戦いを1人続けていました。
しかしある日、ネヴィルは街で彼以外の健康体の人間を発見します。
孤立
無人のロサンゼルスの街をネヴィルが赤いスポーツカーで疾走するオープニング。
このあたりの雰囲気はまるっきり『アイ・アム・レジェンド』しています。
CGのないこの時代、おそらく街中完全封鎖して撮影したんだと思いますが、
よーく見ると、遠くにクルマが走ってるのが見えたりもしてるんですが、まあそこは。
相棒の犬もいなくて、1人独り言を言いながら街を歩くネヴィル。
そこらじゅうにミイラ化した死体がゴロゴロしていて、
クルマが潰れたら当然別の新車に勝手に乗り換え。
映画館で1人『ウッドストック』を観るシーンなんていうのも登場して、
チャールトン・ヘストンとロックってちょっと意外な取り合わせな気もしましたが、
そんな廃墟の街の演出はなかなか面白いです。
ところが、やがてネヴィルの"敵"である感染者たちが登場し、雰囲気は一変。
ハッキリ言ってちょっとガッカリな感じになってきます。
この細菌に冒された人々の描写がすごく残念なのです。
『アイ・アム・レジェンド』で予備知識があったからいいようなものを、
いきなり何も知らずにこれを観てたら、この人たちのこと、
何やらアヤシイ異教徒の集団かなんかだと思ったに違いない。
『アイ・アム〜』ではもはや人間じゃないぐらい変異していたし、原作では"吸血鬼"だったそう。
でも今作での彼らは、肌や髪の毛、瞳が白くなってるだけで普通に元気そう?な人たち。
光に弱いとは言っても別に光を浴びて溶けるわけでもない。
単にネヴィルと敵対してるだけの人たちという感じなので、
ネヴィルがかまわず彼らを銃で撃ちまくるのが逆にすごく恐ろしいです。
味方?
そんな中でネヴィル以外の健康な生存者たちが見つかります。
リサ(ロザリンド・キャッシュ)とダッチ(ポール・コスロ)は、
ネヴィルが感染者たちに捕まったところを助けます。
リサは最初、とにかく敵か味方かわからないぐらい乱暴。
その乱暴な意味はよくわからなかったんですが、まあその後予想通り2人は恋仲に。
どうでもいいことですがこの2人、やたらサービスカットが多いです。
チャールトン・ヘストンといえば裸というイメージがあるんで驚かないですが、
それにしても今回も意味もなくあちこちで上半身脱いでます。
それに対抗するかのようにロザリンド・キャッシュも脱ぎます。意味もなく。
ベッドシーンはいいとして、服の試着のシーンぐらいで脱いでみせなくてもと思いましたが、
そんな時代だったのでしょうか?
ネヴィルと感染者たちとの敵対関係、感染することにより白くなる肌の色、
そのことから来る差別的発想、彼らが文明社会を否定し武器を使用しないことなど、
この作品では宗教的、政治的な意味合いがかなり含まれているようです。
ヒロインを黒人女性にしたのもそのひとつかなと思いましたが、
批評や解説などをいろいろ読んでも、どうも私にはそういったことがいまいちピンと来ませんでした。
ニュアンスとしてはいろいろ感じられるものはありましたが、
この時代の知識も乏しく、40年近く経った現代では通じないことも多い。
それより何より、脚本自体も演出としてもそういったことを匂わせる程度にしか描いてない気がして、
何かすべてが中途半端な印象を受けました。私の理解力の無さなのかも知れませんが。
感染者
やはり感染者たちが単に白塗りで黒装束な人にしか見えず、
彼らがネヴィルを敵視する理由がよく見えないことが一番失敗だと思います。
お互い、一回よく話し合えばいいのでは?と思えてしまうところがすべて台無しにしてしまってる。
手に負えないくらい凶暴なバンパイヤになって初めてネヴィルが取る行動も理解できるはずなのです。
それともう一点残念な点は、全編に流れる音楽がまったく合っていないこと。
とにかく緊張感がなくて、ここはドカンと鳴らしてもいいのでは?というようなシーンでも、
どこかムーディな音楽でガックリ。ちゃんとした劇伴を作れなかったかなんかで、
そのへんにあった音楽を適当に合わせたみたいな印象です。
せっかく冒頭でウッドストックとか見せたんだから、
この頃のロックとかバリバリ使っちゃってもいいと思うんですが。
この音楽がB級な感じを決定づけてしまっています。
60〜70年代SFは結構スキなんですが、これはいろいろと残念すぎる作品でした。
The Omega Man(1971 アメリカ)
監督 ボリス・セーガル
出演 チャールトン・ヘストン アンソニー・ザーブ ロザリンド・キャッシュ
ポール・コスロ リンカーン・ギルバトリック
タグ:映画
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