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トロピック・サンダー/史上最低の作戦 [映画感想−た]

これまでたびたび取り上げて来ました、今年度最大(?)の期待&問題作。
ウチから行きづらいところでばかり上映していて、
なかなか観に行けなかったのですが・・・頑張って行ってきました!


ベトナム戦争での英雄、ジョン・"フォーリーフ"・テイバック(ニック・ノルティ)の回顧録、
"トロピック・サンダー"が映画化されることになり、東南アジアで撮影開始。
集められた俳優は、落ち目のアクションスター、タグ・スピードマン(ベン・スティラー)、
下ネタ専門のコメディアン、ジェフ・ポートノイ(ジャック・ブラック)、
オスカー5回受賞のオーストラリア人俳優カーク・ラザラス(ロバート・ダウニー・Jr.)、
サイドビジネスが好調なヒップホップ界のスター、アルパ・チーノ(ブランドン・T・ジャクソン)、
そして新人俳優のケヴィン・サンダスキー(ジェイ・バルチェル)。
しかし、自分勝手なこの俳優たちのせいで撮影はなかなか進まず、
困り果てた監督のデミアン・コックバーン(スティーヴ・クーガン)は、
彼らをジャングルの中へ置き去りにし、ゲリラ撮影を試みることにしましたが・・・。


撮影は順調そうで・・・
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ベン・スティラーが『ズーランダー』以来約7年ぶりにメガホンを取った今作は、
彼が『太陽の帝国』に出演した1987年頃から温めていた企画だったとのこと。
単なる戦争映画のパロディというだけでなく、登場人物やストーリー展開、
セリフの端々にありとあらゆる映画の影響が感じられます。
ああ、この元ネタはアレ、なんてことを考えてニヤリとする楽しみが満載。
また登場人物も明らかにモデルとなったと思われる人がわかりやすくて、その点でもニヤリ。
しかもそれに悪意が感じられない(少なくとも私には)のが、
私がベン・スティラーの作品を愛して止まない理由なのだと今回確信しました。

それぞれ個性的な俳優を演じる俳優たちの中でやはり一番ハマっていたのは、
ロバート・ダウニー・Jr.演じる演技派俳優、カーク・ラザラス!
オーストラリア出身でプライベートでは暴れん坊で・・・なんてことから、
モデルはラッセル・クロウとか言われてますが、
最近はイギリス人やオーストラリア人がアメリカ人を演じるのは珍しくないし、
役作りのために肉体改造したりというのも当たり前のようになってる。
そのあたりのパロディを一手に引き受け、
ものすごくわかりやすい形で見せてくれているのだと思います。
芝居していないときも黒人になりきって、しゃべり方がフツーに黒人ぽくなっていて、
当然、アルパ・チーノからは目の敵にされてしまいます。
この2人のやり取りがすごくおかしい!
アルパがクロコダイルダンディを茶化すようなことを言うと、
ラザラスが「彼は国の宝だ」と本気で怒ったり。
見た目はまるで変わっていても、その辺は譲らないとか。


オスカー俳優、カーク・ラザラス(と牛)
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そのアルパ・チーノ。多いですよね、ヒップホップ界から役者へというヒト。
すごく過激な歌を歌いながら、一方でサイドビジネスやったりしてえらく堅実だったり。
で、I Love Pussy!とか歌いながら実は・・・というのも笑っちゃいます。
コメディアンのジェフ・ポートノイは、彼の出演作『ファッティーズ』で、
1人で何役も演じている・・・ということでエディ・マーフィー?
でも、そんな自分が本当はイヤでヘロイン中毒になっている、というのも深い!
こういうの、ジャック・ブラックはお手のものですね。
最近いささかマジメな役も多いので、久々の壊れっぷりはすごく楽しかったです。

そしてアクションスター、タグ・スピードマン。
落ち目になってきて、路線変更で出演した『シンプル・ジャック』が大コケ。
ラザラスに「やりすぎたからだ」と言われるその演技が、
後にジャングルで捕らえられてから役に立つとは・・・。
『ズーランダー』にくらべたらバカっぷりは控えめでしたが、
シンプル・ジャックに扮したところは得意路線。
彼の場合、いい意味で"やりすぎている"と思います。

『太陽の帝国』は私は未見なのですが、
今作でジェイ・バルチェルが演じた新人俳優ケヴィンの立場が、
年齢的、立場的に言うと当時のベン自身に一番近いのでしょうか?
台本もちゃんと読み、撮影前のブートキャンプにもちゃんと参加し、
この困った俳優たちの中で誰よりもマトモ。
でも、誰からもまともに名前も憶えられないし・・・というあたり、
実際にこれに近い経験したんだろうなあと思わせます。
『ミリオンダラー・ベイビー』で印象的だったジェイ君。
実はちょっと前から気になっていた俳優さんで、今作での活躍ぶりは嬉しかったです。


振りまわされる監督、コックバーン
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『トロピックサンダー』の原作者であるニック・ノルティ演じるテイバック。
両手が義手で、撮影を後ろから眺めてる様子はなかなか迫力あるのに、
これまた彼も実は・・・というのも、結構ありがちなことなのかも知れません。
彼にゲリラ撮影をそそのかされるイギリス人監督コックバーン!
散々な目に遭い、最後には・・・ひどすぎる!かわいそうすぎる!
スティーヴ・クーガンがこれまた本当に適役でした。
テイバックと行動を共にする爆破コーディネーターのコディ(ダニー・マクブライド)。
彼の爆破オタクぶりもおかしかった。
どうやったら『ドライビングMissデイジー』で小指を無くすの!?

カメオ出演と言われながらフタを開けるとかなりのメインキャラで、
ちゃんとエンドロールにも名前が出ていたトム・クルーズ。
それにしても、ここまでハジケきった役というのは初めてなのでは?
『オースティンパワーズ』に登場した時も衝撃でしたが、あれはまだカッコイイ役でしたし。
ほかにもいろいろ、自分の役で登場するスターがたくさんなので、
これからご覧になる方は、目をこらして画面の隅々まで見てください。
最後にジョン・"パパ・ズーランダー"・ヴォイトが登場したのはウレシカッタ!
結局、純粋にノンクレジットでの登場は、もうあちこちでバラされてるので書いてしまいますが、
トビー・マグワイアのみ?・・・と思ったら、
IMDbを見たらミッキー・ルーニーの名前も発見してしまいました。
どこに出てたんでしょう!?


本当の戦場で彼らは・・・
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そうだ、スピードマンのエージェント、リック・ペック。
マシュー・マコノヒーが熱演していましたが、
ああ、やっぱりこの役はオーウェン・ウィルソンで観たかった!
ベン+オーウェンは『ナイトミュージアム』のパート2が控えているし、
またまた『ズーランダー』の続編のウワサも再燃しているようなので、
期待して待っていようと思います。

それにしてもコメディ作品の感想を書くのは難しいです。
面白かったと思う人になら「あそこが面白かった」とか「ここがウケた」とか言えますが、
まったく受け付けなかった人には何を言ってもムダだし、
未見の人にネタやオチをばらすことにもなりかねないし・・・。
まあでも、時間に余裕があったらこれはぜひ観て欲しい作品です。
いつも言ってるようですが、人生を変えるような作品ではないけれど、
それにアメリカンコメディはどうも・・・という人も多いでしょうが、
戦争映画が好きな人は元ネタを考えると絶対面白いと思うし、
ハリウッドの裏側を知る楽しみもあるので、そのあたりに興味のある人にもお薦め。
友情を取るか、プライベートジェットを取るか・・・とか、すごくあるんだろうなあ。

そうそう、冒頭で流される各俳優たちの予告編やPV。どれも観たい!
どれもちゃんと作り込まれてるのがスゴイです。
『ズーランダー』もこの手のお楽しみ満載だったし、
おそらくDVDには全部収録されると思いますが、
(あと、メイキング『Rain of Madness』も!)
こちらも今から楽しみです。


Tropic Thunder(2008 アメリカ)
監督 ベン・スティラー
出演 ベン・スティラー ロバート・ダウニー・Jr. ジャック・ブラック ブランドン・T・ジャクソン
   ジェイ・バルチェル ダニー・マクブライド スティーヴ・クーガン ビル・ヘイダー
   ニック・ノルティ マシュー・マコノヒー トム・クルーズ






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  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
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タグ:映画
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コメント 2

hash

こんばんは。
これだけ、セリフで笑わせてくるアメリカン・コメディはなかなかないと思うので、貴重な作品ですね。
by hash (2008-12-12 00:49) 

dorothy

hashさん、こんばんは!
そうそう!ただバカやってるだけかというとそんなことはなくて、
結構深いところを突いてくる感じでした。
この面白さは観てもらうしかないですよね。
by dorothy (2008-12-12 01:17) 

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