ヒース・レジャーのこと

何か映画の感想でも・・・と思いましたが、
今年になってまだ一度も劇場に足を運んでないし、
家で何本か観たビデオもなんとなく頭の中をグルグル回っているだけなので、
この何日か心の中を占めているヒース・レジャーのことを。

彼の作品は数えるほどしか観ていません。
フィルモグラフィーを見ると、明るい青春映画のようなものも多くありますが、
私が観たものは『パトリオット』や『チョコレート』そして『ブロークバック・マウンテン』など、
暗めな作品が多かった。
でも、最後に観た『カサノバ』は、軽く明るく、
ああ、こういうことも出来る人なんだなあと。
将来、きっともっと素晴らしい役者になっていたに違いない、
そう思うと、ただただもったいない。

彼の作品は永遠にスクリーン上に残る。
でも、これから作られたであろう作品は永遠に観ることが出来ない。
この虚しさを、私にはうまく言葉にすることが出来ない。

身体で表現する人たち・・・歌う、踊る、演奏する、そして演技する人たち、
その人にしか出来ない、誰にも替わることの出来ないことをやっていた人たち。
そんな人たちが亡くなると、いつも考えます。
その貴重な「身体」が失われてしまうことの虚しさ。
逆に考えれば、永遠でないからこそ「貴重」なのかも知れないけど、
だからこそ、永く生き、たくさんのものを作り出し、
たくさん楽しませて欲しいと思う。
その身体を大事にして欲しいと思う。

もうすぐアカデミー賞の発表です。
2年前のオスカー授賞式の時の、
隣りに座るミシェル・ウィリアムズにジッと見つめられながら、
ニコニコしていた彼の姿を思い出します。
ずっと不眠で悩んでいたということなので、
本当に、月並みな言葉ですが、
どうぞ天国でゆっくり休んでください。