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あの日の指輪を待つきみへ [映画感想−あ]

リチャード・アッテンボロー久々の監督作。
ラブストーリーですが一筋縄でいかないというか、ちょっとヒネリがある。
でも広げた布のヘンな端っこばかりをひねって、妙なカタチになったまま、
魅力も個性も宙ぶらりんなまま・・・といった印象なのが残念。


1991年、アメリカ・ミシガン州ブラナガン。
エセル・アン(シャーリー・マクレーン)は長年連れ添った夫の死に涙も見せず、
娘のマリー(ネーヴ・キャンベル)はそんな母親の態度に苛立ちをおぼえ、
両親の長年の親友であるジャック(クリストファー・プラマー)に相談します。
しかしジャックも多くを語らず、マリーは母親への不信感を募らせるばかり。
一方アイルランド、ベルファストの丘ではクィンラン(ピート・ポスルスウェイト)が、
ジミー(マーティン・マッキャン)と共に半世紀前に墜落した米軍機の残骸を掘り起こしていました。
そこで2人はあるものを発見し・・・。


涙を見せないエセル
closingthering_1.jpg


アメリカとアイルランドという2つの場所、過去と現在、
それらが往き来してどう繋がるのか。
徐々に謎が解けてきてすべてが1つになった時には確かに「ああなるほど」と思います。
ただ、そこに至るまでのエピソードがところどころ物足りないというのか、
登場人物たちの心情が見えそうで見えないのです。
最後までちゃんと観たのに、あらすじだけを聞かされたような物足りなさを感じました。

不幸な体験をする若き日のエセル(ミーシャ・バートン)。
でも彼女を単純に不幸なヒロインのように描いてはいません。
それが意図したものなのか演出がダメなのかがよくわからないのですが、
それをわからなくしているのは、男3人・・・ジャック(グレゴリー・スミス)、
チャック(デヴィッド・アルペイ)、そしてテディ(スティーヴン・アメル)と、
彼女の関係がキチンと描かれていないからだと思いました。
これだけ美人で性格も良さそうなんだから、3人がエセルに恋するのはわかります。
でも、気が付けば最初から彼女はテディしか見ていない。
彼女がなぜテディを選んだのか、なぜほかの2人は諦めるしかなかったのか、
その辺で具体的なエピソードの1つでも付けて欲しかった。
確かにテディは一番ハンサムで人も良さそうだけど、それ以上のことがわからないので、
エセルは単に一番男前を選んだのね、という印象しか残らない。
それで余計、エセルがイヤな女に見えてしまうのです。


多くを語らないジャック
closingthering_2.jpg


テディが建てる家、そしてそれが後々どういう意味を持ち、
エセルがその家に対してどういう思いで生きてきたのか、そこはよくわかりました。
それと同様なジャックとエセル、チャックとエセルのエピソードが欲しかった。
そうでないと、後の男3人の間での約束に説得力がないというか、
3人の友情の深さは感じられますが、そこまでするかなあと思ってしまいました。
それが戦争の時代に生きたということであるのかも知れませんが。
それにエセルとチャックの夫婦生活そのものもまったく描かれず、
その不幸だったらしい結婚はマリーの話からでしか窺い知れない。
これにも物足りなさを感じました。
これは過去と現在だけを描く演出上仕方のないことだとは思いますが、
何か写真だとか、どうにか具体的な描写はできなかったのか。
年を取ったチャックがどんな風だったかだけでも見ることが出来たら。
葬式の写真まで若い時のチャックというのはあまりに不自然に思えました。

一方、遠く離れたアイルランド。若い頃のクィンラン(ジョン・トラヴァース)、
そしてジミーの祖母エレノア(ブレンダ・フリッカー)のジャックたちとの関わりなどは、
ありえない気がしないでもないですが、これはこれでなかなか面白かったです。
今のクィンランがなぜ大昔の墜落機の掘り起こしにこだわり続けるのか、
その謎が解けた時は、ああ彼も重いものを抱えて生きてきたんだということがわかります。
ジミーの若干アタマが弱いんじゃないかと思えるキャラクターは、
彼のその天然な感じがあってこそ、エセルを動かすきっかけになったんだと思えます。
IRAを絡ませる必要はあるのかな?と最初は思いながら観ていたのですが、
最後に"兵士の死"を具体的に見せ、エセルと絡ませるために必要だったのだということで納得しました。


何かを探し続けるクィンラン
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不満をいくつも挙げてしまいましたが、それはこの作品が描こうとしたテーマ、
その意味の深さをどうも描ききれてない、その惜しさばかりを感じてしまうからです。
戦争が人々にもたらす不幸、そしてそれを抱えながら生きていく人たち。
どうしようもない現実をただ受け入れていくしかない人生を誰も否定することはできない。
でも、真実を知らされないマリーが母親を責めることも当然なこと。
ジャックの後悔、エセルに対する想いもどんなに重いものだったか。
人生の辛さ、そしてそれを諦めるのではなくどうやって乗り越えるのか、
そんないろんなことをこの作品は本来語ろうとしていたのだと思います。

それでもシャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマー、
2人のたたずまいを見せられると、もうそれだけでイイと思ってしまいます。
ずっと泣けない頑固ばあさんのシャーリー・マクレーン、
派手で遊び好きなのに一途な男のクリストファー・プラマー・・・どちらもピッタリ。
老人が昔の恋を引きずってる話って弱いんですよね。
この2人だけで、個人的にこの作品の点数はグググッと上がってしまっているんですが。
だからこそ、本当に、惜しい!


Closing the Ring(2007 イギリス/カナダ/アメリカ)
監督 リチャード・アッテンボロー
出演 シャーリー・マクレーン クリストファー・プラマー ネーヴ・キャンベル ピート・ポスルスウェイト
   マーティン・マッキャン グレゴリー・スミス ミーシャ・バートン スティーヴン・アメル
   デヴィッド・アルペイ ブレンダ・フリッカー ジョン・トラヴァース



あの日の指輪を待つきみへ [DVD]

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エージェント・ゾーハン [映画感想−あ]

このところコメディ不足気味だったので、久しぶりにアダム・サンドラーなどを。
それも、とびきり危険なアダム・サンドラーを!


イスラエルの諜報機関モサドに所属するゾーハン(アダム・サンドラー)は、
ずば抜けた身体能力を持つスーパー特殊工作員。
しかし彼の本当の夢はアメリカで美容師になることでした。
夢の実現に向けて機会をうかがっていたゾーハンの前に、
ある日パレスチナのテロリスト、ファントム(ジョン・タトゥーロ)が現れます。
指令を受けファントムを追い詰めるゾーハン。やがて2人は一騎打ちとなり、
激しい戦いの末ゾーハンは死亡・・・と見せかけ、密かにニューヨークへ渡ります。
晴れて美容師への道を歩み始めるゾーハン。しかし彼の時代遅れなセンスに雇ってくれる店はなく・・・。


口も腰も使います
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アダム・サンドラーは『再会の街で』でのシリアス演技が素晴らしく、
でもこれでいよいよコメディ路線と決別してしまうんじゃないかと心配していましたが、
いえいえ、やはりそんなことはなくて、むしろパワーアップして帰ってきてくれました!
最初から最後まで徹底したバカ・・・もちろんホメ言葉ですよ。
もしかしたらこれまで観たサンドラー作品で一番スキかも。
アクションは見応えあるし(もちろんCGとワイヤー駆使ですが)、
下ネタが過ぎる・・・出番の半分ぐらいゾーハンは腰を動かしてたような気もしますが、
いいんです。私は人から軽蔑されようとコレを支持します!

脚本は2000年頃には出来上がっていたんだそうですが、
911テロがあってそこで企画はストップ。
確かにイスラエル対パレスチナのテロリストが主人公のコメディなんて相当微妙。
実際、中東各地出身の俳優たちがたくさん出ていて、現場は最初微妙な空気だったそうです。
でも出来上がったものを観ると、みなさん中東訛り?でやりたい放題!
イスラエルのシーンではゾーハンの凄まじい戦闘能力、
・・・銃弾は軽々避ける、壁は一蹴りでぶち抜く、屋根から屋根へ飛び移ったり、
イルカのように泳いだりとまったくの無敵ぶりを見せながら、
あやしいドリンクが大好きだったり、食べ物はなんでも"ホムス"を付けて食べたりと、
当然ながらゾーハンのキャラクターはちょっとイタイ人になっています。
イスラエルの人に怒られそう。


ファントム!
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そのイタさぶりは舞台がニューヨークに移っていよいよエスカレート。
どこのヘアサロンに行っても雇ってもらえず、仕方なくパレスチナ人が経営する店で働き始めます。
「敵の店で働くなんて」と、最初はこだわっていたゾーハンも、
自分の夢・・・"世界中の人々の髪の毛をサラサラにする"ためには折れるしかない。
で、いざ働きだしたら、持ち前の驚異の身体能力を遺憾なく発揮、
その指使いと腰使い!で、あっという間にサロンは行列が出来る店になってしまいます。
まったくこのあたりのお下劣なカンジはたまりません。
お客さんは全員オバサマ方。そんな彼女たちに対してとにかくやりたい放題で、
最後には個室での濃厚なサービス付き。扉の向こうで何が行われているかは見えませんが。
・・・というか見たくないですが。

そんなゾーハンの活躍の一方で、ゾーハンの正体に気付いた者が登場。
それは過去にゾーハンに"ヤギの恨み"を持つサリーム(ロブ・シュナイダー)で、
彼は仲間たちとゾーハンの命を狙うことに。これがまたデタラメ!
"ヒズボラ電話サービス"にテロ依頼するとか、爆弾の作り方をネットで調べたり、
このあたり相当ヤバイんじゃないかとヒヤヒヤしてしまいます。
それにしてもロブ・シュナイダーの中東人なりきりぶりが凄すぎ!この人ホント天才!
そこに、ゾーハンの生存を知ったファントムも加わり、街の民族間のイザコザもエスカレート。
しかしそんな争いごとも、新たな敵の発覚で意外な方に向かうのですが・・・。


ヤギの仇を
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ジョン・タトゥーロの超人テロリストぶりも見もの。ロッキー並みにカラダ鍛えてます。
ヘアサロンの経営者ダリア(エマニュエル・シューキー)は、
この手の作品に欠かせない美人ヒロイン。ゾーハンと民族を越えた恋愛関係となりますが、
あまりそちらには引っ張らずあっさり目で、ヘンに恋愛話を広げすぎない感じは良かった。
純愛?だし、彼女は実は・・・というオチも一応あるし。
マライア・キャリー、クリス・ロック、ジョン・マッケンローにジョージ・タケイ!と、
脈略ない豪華ゲストも素晴らしいです。マライア、かわいいですよ。
DVDの特典映像がなかなか充実していて、メイキングを見るとホントみなさん楽しそう。
監督のデニス・デューガンがすごくイイ人だというのもわかったし、
そういうイイ空気が作品自体に影響して、こんな際どいテーマを扱いながら、
切羽詰まった風でもなく、おちゃらけ過ぎでもなく、
無理のない作品になったのかな、なんてことも感じました。

民族間の争いなんかやめて、みんな仲良くしようよ〜という、
ゆるーくて、でも直球のテーマを描いているわけで、
そのへんのひねくれてないあたりがサンドラー映画らしいのかも。
いろんな人種の人たちが生きているニューヨークならではの話だし、
実際そんな中で生きていれば、みんな仲良く和気あいあいとはいかなくても、
何かしら折り合いを付けて生きて行かなくちゃいかないんだろうなと、
そんなことまでぼんやり考えてしまいました。
下ネタの好き嫌いでハッキリ評価の分かれるところだと思いますが、
ストーリーもギャグもよく考えられてるし、サンドラー得意の80年代ヒット曲も流れまくり!
ディスコ!ディスコ!グーグー!ですからね。
ところでホムスって食べたことないんですが、おいしいのかなあ。


You Don't Mess with the Zohan(2008 アメリカ)
監督 デニス・デューガン
出演 アダム・サンドラー ジョン・タートゥーロ エマニュエル・シューキー ニック・スウォードソン
   レイニー・カザン イードゥー・モセリ ロブ・シュナイダー デイヴ・マシューズ



エージェント・ゾーハン [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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愛を読むひと [映画感想−あ]

原作の『朗読者』は日本でもベストセラーとなり、その頃に読みました。
年上の女性との恋という、ありがちな青春小説のような始まり方や、
生々しい性描写に「これが世界的ベストセラー?」と不思議に思ったのですが、
読み進むうちに話は意外な方向へ進んでいき、ああなるほどと納得したのを憶えています。
ただ、感動したというより、よく出来てるなと思ったような記憶があります。


1958年、ドイツ。
15歳のマイケル(デヴィッド・クロス)は帰宅途中に嘔吐し、
通りすがりの女性に介抱されます。
嘔吐の原因は猩紅熱で、数ヶ月の療養を強いられたあと、
マイケルは介抱してくれた女性にお礼を言いに、その人の家を訪れます。
21歳年上のその女性、ハンナ(ケイト・ウィンスレット)は、
初めはマイケルに素っ気なく接しますが、マイケルは彼女に特別な感情を持つようになり、
やがて2人は肉体関係を結んでしまいます。
毎日のようにハンナの家で愛し合う日々。
ある日、ふとしたきっかけでマイケルはハンナに本を朗読して聞かせます。
それはやがて日課となり、2人の情事の中での大切な儀式となっていくのでした。
しかしある日、ハンナはマイケルの前から突然姿を消してしまいます。


明かせないこと
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映画化までは紆余曲折あり、企画から完成までずいぶんと時間のかかった今作ですが、
さて、どのように出来上がったのか。ずっと公開を心待ちにしていました。
見終わって思ったのは、やはり原作ものの映画化は良いことと残念なこと、両方あるなということです。
良かったのはやはりケイト・ウィンスレットによって命を吹き込まれたハンナという女性の姿。
原作を読んでいる時はもっとたくましい女性をイメージをしていました。
マイケル(原作ではミヒャエルでしたが)の15歳というのはもっと子どものように感じたし、
そんな少年と関係するって・・・と、どう想像していいのかわかりませんでした。
最初はニコール・キッドマンがハンナを演じることになってたらしいですが、
彼女では線が細すぎるし美しすぎる気がします。
それにくらべたらケイト・ウィンスレットのほうが全然適役。まだキレイすぎるぐらい。
私の想像ではジュリエット・ビノシュをもっと田舎くさくした感じかな、と思ってました。

残念だったのは、原作にあった印象的なシーンがかなり削られていたことです。
これは原作もの映画化の宿命だし、取捨選択は製作者が決めることなので仕方ないのですが、
ここは省略して欲しくなかったと思った点をいくつか。
ハンナとマイケルが旅行に出かけ、泊まった宿での朝の出来事、
(マイケルがハンナにメモを残し外出するが・・・)
ハンナがマイケルの家を訪れた時の、父親の書斎での2人のやりとり、
(これは2人が書斎にいるスチールがあるので、編集でカットされたようです)
マイケルが友人たちと過ごしていたプールにハンナが姿を見せるシーンも印象に残っています。
マイケルはハンナとのベッドでの営みやハンナの匂いなどがどうしても忘れられず、
それが彼の後の女性関係をすべてダメにし、結婚生活も破綻させてしまうわけですが、
そんな風に、いかにハンナがマイケルの人格形成に影響を及ぼし、
そのことが後々まで尾を引いたかということも映画ではあまり表されていなくて、
マイケルという人がどういう性格なのかというのがわかりにくかった気がします。
大人になったマイケル(レイフ・ファインズ)のハンナに対する言動が、
こういったことがわかった上だと、もっと理解が深まったんじゃないかなと思いました。


一途
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物語はマイケル視点で語られていくので、最初から最後までハンナが何を思い、
何を考え行動したのかということの答えは出てきません。
ですがマイケル自身もどんなことを思っていたのかがあまり具体的に見えず、
もうちょっとマイケルの心情が表面に出る演出がなされても良かった気がします。
突然目の前から消えてしまったハンナの真意を彼なりに解釈しようとしても、
幼かったマイケルには理解できず、思わぬ再会をしても彼女にそれを聞く勇気もない。
その"怯え"は、自分だけが彼女を救うことが出来る真実を知っているのに、
彼女がそれを望まないのであれば行動に移せないという形となって現れる。
そんなマイケルの心の揺れは、ハンナと過ごした時間の濃密さ、いくつもの思い出、
いかに彼女を愛していたかという思いの深さから来ているものだと思うのですが、
そのあたりをもう少し突き詰めて見せても良かったと思います。
とは言っても、若い頃のマイケルがハンナを見つめる一途な眼差し、
そして大人になってからの悲しみと戸惑いでいっぱいの瞳は、
ハンナに対する想いを十分に表してはいたと思います。

ハンナという人がどんな生い立ちで、内面に何を抱えていたのかを考えると、
ナチスの非道さ、戦争の残酷さを思わずにはいられません。
この映画化されたものを、ドイツの人たちはどういう風に観るのかも気になるところです。
デヴィッド・クロスをはじめ、教授役のブルーノ・ガンツなど、
ドイツ人俳優はたくさん出ていますが、監督と主演俳優はイギリス人で、セリフは英語。
英語であることはまあいいとしても、ドイツ語訛りの英語を喋るのはやはりヘン。
ブルーノ・ガンツの発音に合わせたのかな?と勘ぐりたくなります。
でもそれって例えば『SAYURI』で渡辺謙の英語発音に合わせて、
全員にジャパニーズイングリッシュを喋らせる、みたいな話だし。
そして何よりナチスの問題を他国の人にどうこう触られるのはどうなんだろう?
そんなことも気になってしまいました。


苦しみは終わらない
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まあそういった細かいことはとりあえず気にしないことにして。
ケイト・ウィンスレットの演技は文句なし。
後半の老けメイクは今ひとつだった気もしますが、
最後まで秘密を内に抱え続けた、その険しい表情。
前半はほとんど裸で激しい絡みも見せて、
"役者魂"という言葉はここでこういう人のために使うのかも知れない、なんて思いました。
レイフ・ファインズの終始悲しい"無表情"もやるせないものがありました。
原作の主人公の持つ性質をよく表していたと思います。
そして何と言ってもよく頑張ったなあと思うのが、若きマイケルを演じたデヴィッド・クロス。
撮影当時17歳だったようですが、15歳と23歳という、どちらも実年齢じゃない役を演じたわけで、
でもそれぞれキチンと15歳らしく、23歳らしく見えていたのが大したものだと思いました。
タバコの吸い方はちょっとぎこちなかったですが。
セックスシーンは18歳になってから、しかもたった2日間で撮影されたと何かで読みました。
これからきっといい俳優に成長すると思います。期待しています。


The Reader(2006 アメリカ/ドイツ)
監督 スティーブン・ダルドリー
出演 ケイト・ウィンスレット デヴィッド・クロス レイフ・ファインズ 
   ブルーノ・ガンツ レナ・オリン



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  • 出版社/メーカー: 新潮社
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俺たちダンクシューター [映画感想−あ]

ウィル・フェレルの『俺たち〜』シリーズ(ということでいいかな、もう)、
こんどはバスケだ!


1970年代のミシガン州フリント。
ジャッキー・ムーン(ウィル・フェレル)は、
かつて『Love Me Sexy』を大ヒットさせたソウルシンガー。
その印税でプロバスケットボールリーグABAのフリント・トロピックスを買収、
オーナー兼監督兼選手として活躍していますが、彼のやりたい放題がたたり、
チームは弱小で万年最下位、観客動員も悲惨なもの。
そんなある日、ABAがNBAに吸収されることが決まります。
しかもABAからは4チームだけを残し、あとは解散ということに。
弱小チームであるトロピックスの解散は確実。そこでジャッキーは
NBAでの優勝経験を持つモニックス(ウディ・ハレルソン)を招き、
なんとかチーム存続を目指しますが・・・。


解散・・・なの?
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ウィル・フェレル主演作としては『俺たちフィギュアスケーター』に続いて、
キチンと劇場公開された作品。
とは言ってもかなり限定公開だったので劇場鑑賞はかなわず。
でも・・・DVDで十分だったかな。
先に結論を言ってしまうと、あまり面白くなかったです。
コメディとしては中途半端で消化不良な感じ。
ウィル・フェレルはいつもの調子でカラダ張って大活躍なんですが、
それもどうも空回り気味でストーリーにもうまく絡んでも来なくて、
極端なことを言ってしまえばウィル・フェレルのこの役、
いらないんじゃないかとさえ思いました。
彼が主役なのにチーム再建のためにはほとんど活躍しないし、
いっそのことダメでジャマしてばかり、となるならわかるけど、そうとも言い切れない。
スポーツものとして観ても試合シーンもあまり躍動感は感じられないし、
弱小チームが徐々に強くなっていく説得力もワクワク感もない。
こういうのってやはり演出なのでしょうか?それとも脚本の練りが足りない?
徹底的にバカをやるか、スポ根ものにするか、どちらかにして欲しかったです。


モニックス頼み?
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脇のキャラクターも活かしきれてない感じで惜しい。
例えばウディ・ハレルソン演じる助っ人モニックスを、
どこか影のあるナゾの男にするとか、クールだけど弱点があるとか、
もうちょっとキャラクターに色を付けて欲しかった。
クラレンス(アンドレ・ベンジャミン)がどれぐらい飛び抜けて上手いのかとか、
リトアニア出身のヴァカイデス(ピーター・コーネル、この人は本物のバスケ選手だそうで)を、
もっといじって欲しかった。英語がわからないネタとか面白くなりそうなのに。
元選手で解説者のルー(ウィル・アーネット)の毒舌屈折ぶりはなかなか面白かった。
常にお酒とタバコを手放さなず、発言はいちいち下品。好きだなあ。
そして何と言っても強烈だったのはジャッキー・アール・ヘイリー!
登場シーンは少ないですが、全シーン上半身ハダカのジャンキー。
『リトル・チルドレン』で大復活を果たした彼ですが、コレってそのあとの作品出演ですよ!
このあとに『ウォッチメン』ですよ!
いまだに大人になった彼の容貌に慣れないでいるんですが、
どれもリアルにこんな人なんじゃないかと思って、なんだか切ない気持ちになってしまいます。


おばちゃん投げ!
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ケナしてばかりですが、良いところももちろんあります。
最高なのはやはりジャッキーのヒット曲『Love Me Sexy』!
元ネタはバリー・ホワイトだそうですが、作ったのはナイル・ロジャース!
完成度高いはずです。
ほかにも70年代ソウル&ファンク満載だし、この頃の雰囲気はすごく出てます。
ABAというプロリーグは実際にあったそうで、
NBAと違ってエンタテインメント色が強いリーグだったらしい。
だからジャッキーはいろんなイベントを考えるんですが、
着ぐるみ来てダンスとか、クマと対決!とか、こういうのは結構楽しいです。
クマネタは最後までシツコク引っ張ってました。

ウィル・フェレル好きとしては『Love Me Sexy』以外見るべき所の少ないのは、
かなり寂しいものがあるのですが、こういうのに限って劇場公開されるのがクヤシイ。
彼の次回作『Land of the Lost』はアメリカではもうすぐ公開されますが、
日本公開は今のところ未定。これ、予告編観るとすごく面白そう!
公開されるといいなあ。さすがにコレは『俺たち〜』とは付けにくそうですが。


Semi-Pro(2008 アメリカ)
監督 ケント・オルターマン
出演 ウィル・フェレル ウディ・ハレルソン アンドレ・ベンジャミン モーラ・ティアニー
   ウィル・アーネット アンディ・リクター ジャッキー・アール・ヘイリー ピーター・コーネル



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ウォーリー [映画感想−あ]

以前、こんな記事を書いてぼやいたんですが、
やーーーーーーっと観ました。ウォーリーに会えました!


汚染された地球から人間たちが去って700年経った29世紀。
そんな誰もいなくなった地球で、量産型ゴミ処理ロボットのウォーリーは、
それでもただ1人黙々とゴミ処理を続けていました。 
ところがある日、ウォーリーの目の前に巨大な宇宙船が着陸、
白く輝く最新型ロボットを置いていきます。
地球探査を目的としたそのロボットの名前はイヴ。
彼女に一目惚れしたウォーリーはあの手この手で彼女の気を惹こうとします。
少しずつ打ち解け合う2人、しかしウォーリーが差し出したあるモノを見た瞬間、
イブは動かなくなってしまい、翌日、再びやって来た宇宙船が彼女を回収してしまいます。
慌てたウォーリーは宇宙船を追いかけますが・・・。


充電中
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『トイ・ストーリー』以降、こういったフルCGアニメを観るたびに、
こんなスゴイ映像を観て育つ今の子どもたちは、
確実に私なんかとは違う脳みそを持って大人になるんだろうなあといつも思います。
どう見たって実写。私が今子どもだったらウォーリーは絶対実在すると思うでしょう。
というわけでこの作品は、ウォーリーの愛らしい仕草やわかりやすいストーリーで、
子どもにも理解しやすい作りとなっていますが、
そうは言っても完全にお子さま向けとは言えない、
むしろ大人が観てニヤリとしてしまう仕掛けがたっぷりです。
ゴミ処理の合間にウォーリーが集めるお宝?は大人ゴコロをくすぐるものばかりだし、
ウォーリーが自分の家にイヴを連れて来て、長年集めたそんな宝物を、
イヴにこれ見て!これはどう?みたいに次々見せていく、その落ち着かない様子とか、
実に愛らしくわかりやすく、言ってみればベタな恋物語の雰囲気です。
ハッキリ言ってハリウッド的お約束というのか、
こういう場面では登場人物がこう動くだろうというのを、
裏切ることなくウォーリーたちに演じさせている。
そのあたりが絶妙で上手いなあと思うし、映画的楽しさで溢れています。
ネタ切れと言われ、なかなか面白い映画が作れなくなってしまったハリウッドで、
それを逆手に取るかのように"お約束"に満ちた話を作る。
しかもそれを、今まで誰も観たことのない想像力溢れる素晴らしい映像に乗せる。
これは素直にスゴイとしか言えません。


悲しいけど、ちょっぴり幸せ
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最初の30分は各所での評判通りの完璧な出来。
映像の美しさ、ストーリー展開、どこを取っても完璧だと思いました。
この前半が素晴らし過ぎるせいで、後半も十分良い出来なのにちょっと・・・と思ってしまう。
いっそ宇宙船にイヴが回収されたところでオシマイという、
短編作品にしてしまっても良かったかも、とすら思ってしまいました。
映画『ハロー・ドーリー!』の部分と、フレッド・ウィラード演じるBNLのCEOの映像、
宇宙船のプロモーションビデオや、船長がコンピュータに調べさせる地球の検索結果など、
何ヶ所かで実写の部分が登場します。
これが不思議に違和感がないのは、やはり風景やウォーリーたちの質感のリアルさ、
先ほども書いたようにどう見ても実写に見えるせいかも知れません。
それだけに、後半登場する人間たちにはどうしても違和感を感じてしまいます。
この手のアニメーション作品ではどんなに映像がリアルになっても、
人間の表現だけはやはり難しいのかも知れません。
だからいっそのこと最初からアニメーションとして描くか、
人間は登場させない(昔からよくある、足だけしか見せないとか)、
あるいは実写にするのがいいんじゃないかと思います。
未来の人間たちは自分でマトモに歩けないぐらい肉体的に変化しているのだから、
あのアニメーションとしての表現は、あれはあれで良いと思うのですが、
それなら最初からCEOなんかも実写じゃなくアニメで良かったんじゃないかな、と思いました。
そうすると『ハロー・ドーリー!』の映像が浮いてしまうとか?・・・うーん、微妙。

それにしても未来の人間の描写はかなり強烈。
今でも十分アレに近い人or予備軍はいっぱいいそうですが。
あんな生活を700年もやってたら、もっといろいろ退化しちゃってるんじゃないかと思うし、
どこかで気が付くだろうとも思うんですが、まあそういうツッコミたくなる部分はたくさんあります。
でも細かいツッコミは無粋というもの。主題はウォーリーとイヴのラブストーリーだし!(キッパリ)


行けーーー!
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個人的にはウォーリーの充電完了音にマイッタ!
観る前にウォーリーがMacの進化形と聞いて、それってどういうこと?と思ってたのですが。
あの起動音はマカー心をくすぐります。
ほかにも、確かイヴと頭をコンッとした時にMacの警告音の"Ping"が聞こえたし、
そういう細かいことがいちいちウレシイです。
エンドロール最後のピクサーロゴでのルクソーJr.とウォーリーの共演も感動してしまいました。

誰もいない地球に1人ぼっち(お友だちのゴキちゃんはいますが)って、
しかも700年って、当然想像できない状況なのですが、
『アイ・アム・レジェンド』の時も思ったのですが・・・ちょっとだけ楽しそう!
でももし自分だけが地球に1人取り残されたとしても、
ウォーリーは最初から1人ぼっちのロボットだから孤独の感覚は違うと思うし、
まわりの人間が死に絶え、恐ろしい敵に狙われ・・・の、
ウィル・スミス的状況はこれまた意味が違って来ちゃうし、
何にしてもおそらく3日で耐えられなくなるとは思うんですが。
でもお友だちのゴキちゃんや賢い犬が一緒なら、
いろいろモノ集めに行く日々というのは楽しそうだなあと思う私はヘンでしょうか?
とは言っても、手を繋ぐ相手がいない孤独はやはり切ない。
このところちょっと心が弱っていたので、
ウォーリーの健気さ、イヴとの恋の成り行きは胸を締め付けっぱなしで、
かなり早い時点からうるうるしながら観てしまいました。
今さらですが、今頃観た私が言うのもナンですが、
観てない人、観てください!アニメだと敬遠してる人、観て損はない!
胸キュン必至のラブストーリー、信じられないぐらい美しい映像、
本当に良くできた作品です。どうぞDVD or ブルーレイで!


WALL·E(2008 アメリカ)
監督 アンドリュー・スタントン
出演 フレッド・ウィラード 
声の出演 ベン・バート エリサ・ナイト ジェフ・ガーリン ジョン・ラッツェンバーガー
     キャシー・ナジミー シガニー・ウィーバー



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