ローラーガールズ・ダイアリー [映画感想−ら]
ドリュー・バリモア初監督作品!
『JUNO/ジュノ』のエレン・ペイジ主演といい、ローラーゲームという題材といい、
観たい、いや観なくてはいけない要素ばかりなのにやってる劇場が少なすぎる!
テキサスの田舎町ボディーンに住む17歳の女子高生ブリス(エレン・ペイジ)。
母親(マーシャ・ゲイ・ハーデン)は娘を美人コンテストに出場させることに熱中しており、
ブリスはしぶしぶそれに付き合っていました。
ある日、母親と買い物に出かけたブリスは立ち寄った店でローラースケートを履いた一団を見かけます。
彼女たちの姿に興味を持ったブリスは親友のパシュ(アリア・ショウカット)と、
こっそり隣町のオースティンにローラーゲームを見に出かけ、すっかりその虜となってしまいます。
そこでブリスはローラーゲームチームのひとつ「ハール・スカウツ」の新人発掘オーディションに、
年齢を偽って参加。そこで彼女は才能を買われ合格してしまい・・・。
ベイブ・ルースレス誕生!
ドリュー・バリモア初監督?もう既に2、3本ぐらい撮ってるような気がしていたのですが、
これまで製作に関係していたのはいずれもプロデュース作品だったのですね。
『チャーリーズ・エンジェル』なんかは彼女自身がキャメロン・ディアスや、
ルーシー・リューに出演を依頼した経緯などを公開当時聞いたりしたし、
また、彼女自身主役3人のうちの1人なのに、なんとなく脇にまわっているような、
ほかの2人を立てようとしているような印象を持ってしまっていたので、
すっかり彼女の監督作のように感じてしまっていました。
プロデュースなど製作側の立場でいることがどこまで作品の内容に関わるものなのか、
私にはまったくわかりませんが、ドリューが関わったその他の作品、
『25年目のキス』や『2番目のキス』さらに『ドニー・ダーコ』でさえも、
なんとなく彼女のカラーが強く影響しているように思えてしまうのは、
そうと知っているからなのかも知れないけれど、そう言われると「ああやっぱり」というような、
ドリュー・カラーのようなものをどこかしらに感じてしまうのです。
けれどそれは強い個性、作家性のような"ニオイ"というほど強力なものではなく、
色づかいやファッションや音楽なんかのあくまでほんのりとした程度のもので、
いずれもそれぞれの監督のカラーのほうが当然強い。
でも、ドリュー自身の持つあのなんとも言えないふんわりした笑顔のような、
尖っているけど先はケガしない程度に丸い、とか、
激しく打ちつけられそうだけどちゃんと柔らかいクッションが用意されている・・・みたいな、
なんだかものすごく漠然とした言い方ばかりですが、
そんなドリュー・バリモアらしさがほんのりと、だけどしっかりと感じられる。
そしてそれらはいずれも私にはとても心地よく、魅力的で、
つまり「彼女が関わってるなら信頼できる」とすら思っていました。
美人コンテストこそ生きる道。
というわけで前置きが長くなってしまいましたが今作。
初監督というにはやはり満を持してという感じで、
とにかくこれまでのプロデュース作品以上のドリュー・カラーを、
これでもかと出してくるんじゃないかと観るまでは思っていました。
キャストやプロットだけ見たらどうしたって女の子全開!ガールズパワー!
みたいな作品を想像してしまっていました。
ところがこれがものすごくストレートでものすごく落ち着いている。
全体の雰囲気はどこか懐かしささえ感じさせるような、今時珍しいくらいの正統派ぶり。
ストーリーも裏切る部分のまったくない、良い意味で先が見える展開。
この落ち着きぶりはとても"新人監督"とは思えません。
圧倒的女性パワーの中、かといって男なんて関係ないわ、みたいな突き放しはないし、
女子だけでキャッキャみたいな浮ついた感じもまるでない。
確かに登場する男性・・・コーチ、父親、ボーイフレンドいずれも、
女性陣に比べたら元気はないし、一見、蚊帳の外のようでもあります。
でも、ラブストーリー部分もきちんと描かれているし(水中ラブシーンの美しさ!)、
基本的に母と娘の話ではあるけれど、父親の存在もとても大きい。
これでアンドリュー・ウィルソン演じるコーチのキャラクターに、
もうちょっと肉付けがあるといいなと、そこは惜しいと思いました。
でも、チームメンバーの女子パワーに押されながらもきちんと戦略を練って来たり、
ここぞという時に頼りになる感じはキャラクターとして大切にされてるなという、
演出の誠実さをものすごく感じました。
私に勝てるっての?
チームのメンバー、クリステン・ウィグ、ゾーイ・ベル、イヴ、そしてドリュー・バリモアの、
それぞれのワケあり、脳天気、腕っ節の強さ加減などが誰も彼も完璧。
それと敵チームのライバルとして登場するジュリエット・ルイスが、
ようやく現在の彼女にピッタリの役が回って来たと周りも本人も思ってるに違いない、
このキャラクターのスピンオフが作られてもいいぐらい強力な素晴らしさです。
全員ローラースケートのトレーニングを重ね、実際にスタントなしで演じているらしく、
そのリアルさも見応えがありました。
ブリスの親友パシュ役のアリア・ショウカットはとてもチャーミングで、
自分の道を踏み出した親友に対する複雑な思いとか、ものすごく良い表情をたくさん見せていました。
そして母親役マーシャ・ゲイ・ハーデン!この人とエレン・ペイジが親子だなんて完璧すぎる!
途中チラッと登場する若かりし頃の写真がものすごく美しくて、
「若くて美しい時は一瞬なのよ」というのに強い説得力を持たせていました。
彼女が単なる堅物教育ママなんかじゃない、この母にしてこの娘ありという感じも面白かった。
重要な小道具となるストライパー(!)のTシャツが実は・・・というのも良いヒネリ。
そして母娘の物語だけれど過度にウェットじゃないところも良かったです。
ブリスが主人公であり彼女の成長物語であることは間違いないのだけれど、
彼女を取り巻く人々の描き方の誠実さ、ローラーゲーム自体からどうしても感じ取ってしまう、
どことなく裏街道的というのかプロレス興業的雰囲気も、
そこをことさらに強調することなく、そして何よりローラーゲーム自体を、
ストレートに面白く見せているところが映画の作りとしてあまりにも直球で誠実。
この作風の姿勢はそのままドリュー・バリモアという人のまっすぐさに思えて、
やっぱり彼女は信用できる、どこまでもついていきたいと思ってしまいました。
脇でヨゴレ役を一手に引き受けてるところも憎めません。
女優としての彼女を観る楽しみはずっと持っていたけれど、
これからは彼女の監督作に対する期待もこれで持てるようになりました。
Whip It(2009 アメリカ)
監督 ドリュー・バリモア
出演 エレン・ペイジ マーシャ・ゲイ・ハーデン クリステン・ウィグ ドリュー・バリモア
ジュリエット・ルイス ジミー・ファロン アリア・ショウカット イヴ ゾーイ・ベル
ダニエル・スターン アンドリュー・ウィルソン ランドン・ピッグ
『JUNO/ジュノ』のエレン・ペイジ主演といい、ローラーゲームという題材といい、
観たい、いや観なくてはいけない要素ばかりなのにやってる劇場が少なすぎる!
テキサスの田舎町ボディーンに住む17歳の女子高生ブリス(エレン・ペイジ)。
母親(マーシャ・ゲイ・ハーデン)は娘を美人コンテストに出場させることに熱中しており、
ブリスはしぶしぶそれに付き合っていました。
ある日、母親と買い物に出かけたブリスは立ち寄った店でローラースケートを履いた一団を見かけます。
彼女たちの姿に興味を持ったブリスは親友のパシュ(アリア・ショウカット)と、
こっそり隣町のオースティンにローラーゲームを見に出かけ、すっかりその虜となってしまいます。
そこでブリスはローラーゲームチームのひとつ「ハール・スカウツ」の新人発掘オーディションに、
年齢を偽って参加。そこで彼女は才能を買われ合格してしまい・・・。
ベイブ・ルースレス誕生!
ドリュー・バリモア初監督?もう既に2、3本ぐらい撮ってるような気がしていたのですが、
これまで製作に関係していたのはいずれもプロデュース作品だったのですね。
『チャーリーズ・エンジェル』なんかは彼女自身がキャメロン・ディアスや、
ルーシー・リューに出演を依頼した経緯などを公開当時聞いたりしたし、
また、彼女自身主役3人のうちの1人なのに、なんとなく脇にまわっているような、
ほかの2人を立てようとしているような印象を持ってしまっていたので、
すっかり彼女の監督作のように感じてしまっていました。
プロデュースなど製作側の立場でいることがどこまで作品の内容に関わるものなのか、
私にはまったくわかりませんが、ドリューが関わったその他の作品、
『25年目のキス』や『2番目のキス』さらに『ドニー・ダーコ』でさえも、
なんとなく彼女のカラーが強く影響しているように思えてしまうのは、
そうと知っているからなのかも知れないけれど、そう言われると「ああやっぱり」というような、
ドリュー・カラーのようなものをどこかしらに感じてしまうのです。
けれどそれは強い個性、作家性のような"ニオイ"というほど強力なものではなく、
色づかいやファッションや音楽なんかのあくまでほんのりとした程度のもので、
いずれもそれぞれの監督のカラーのほうが当然強い。
でも、ドリュー自身の持つあのなんとも言えないふんわりした笑顔のような、
尖っているけど先はケガしない程度に丸い、とか、
激しく打ちつけられそうだけどちゃんと柔らかいクッションが用意されている・・・みたいな、
なんだかものすごく漠然とした言い方ばかりですが、
そんなドリュー・バリモアらしさがほんのりと、だけどしっかりと感じられる。
そしてそれらはいずれも私にはとても心地よく、魅力的で、
つまり「彼女が関わってるなら信頼できる」とすら思っていました。
美人コンテストこそ生きる道。
というわけで前置きが長くなってしまいましたが今作。
初監督というにはやはり満を持してという感じで、
とにかくこれまでのプロデュース作品以上のドリュー・カラーを、
これでもかと出してくるんじゃないかと観るまでは思っていました。
キャストやプロットだけ見たらどうしたって女の子全開!ガールズパワー!
みたいな作品を想像してしまっていました。
ところがこれがものすごくストレートでものすごく落ち着いている。
全体の雰囲気はどこか懐かしささえ感じさせるような、今時珍しいくらいの正統派ぶり。
ストーリーも裏切る部分のまったくない、良い意味で先が見える展開。
この落ち着きぶりはとても"新人監督"とは思えません。
圧倒的女性パワーの中、かといって男なんて関係ないわ、みたいな突き放しはないし、
女子だけでキャッキャみたいな浮ついた感じもまるでない。
確かに登場する男性・・・コーチ、父親、ボーイフレンドいずれも、
女性陣に比べたら元気はないし、一見、蚊帳の外のようでもあります。
でも、ラブストーリー部分もきちんと描かれているし(水中ラブシーンの美しさ!)、
基本的に母と娘の話ではあるけれど、父親の存在もとても大きい。
これでアンドリュー・ウィルソン演じるコーチのキャラクターに、
もうちょっと肉付けがあるといいなと、そこは惜しいと思いました。
でも、チームメンバーの女子パワーに押されながらもきちんと戦略を練って来たり、
ここぞという時に頼りになる感じはキャラクターとして大切にされてるなという、
演出の誠実さをものすごく感じました。
私に勝てるっての?
チームのメンバー、クリステン・ウィグ、ゾーイ・ベル、イヴ、そしてドリュー・バリモアの、
それぞれのワケあり、脳天気、腕っ節の強さ加減などが誰も彼も完璧。
それと敵チームのライバルとして登場するジュリエット・ルイスが、
ようやく現在の彼女にピッタリの役が回って来たと周りも本人も思ってるに違いない、
このキャラクターのスピンオフが作られてもいいぐらい強力な素晴らしさです。
全員ローラースケートのトレーニングを重ね、実際にスタントなしで演じているらしく、
そのリアルさも見応えがありました。
ブリスの親友パシュ役のアリア・ショウカットはとてもチャーミングで、
自分の道を踏み出した親友に対する複雑な思いとか、ものすごく良い表情をたくさん見せていました。
そして母親役マーシャ・ゲイ・ハーデン!この人とエレン・ペイジが親子だなんて完璧すぎる!
途中チラッと登場する若かりし頃の写真がものすごく美しくて、
「若くて美しい時は一瞬なのよ」というのに強い説得力を持たせていました。
彼女が単なる堅物教育ママなんかじゃない、この母にしてこの娘ありという感じも面白かった。
重要な小道具となるストライパー(!)のTシャツが実は・・・というのも良いヒネリ。
そして母娘の物語だけれど過度にウェットじゃないところも良かったです。
ブリスが主人公であり彼女の成長物語であることは間違いないのだけれど、
彼女を取り巻く人々の描き方の誠実さ、ローラーゲーム自体からどうしても感じ取ってしまう、
どことなく裏街道的というのかプロレス興業的雰囲気も、
そこをことさらに強調することなく、そして何よりローラーゲーム自体を、
ストレートに面白く見せているところが映画の作りとしてあまりにも直球で誠実。
この作風の姿勢はそのままドリュー・バリモアという人のまっすぐさに思えて、
やっぱり彼女は信用できる、どこまでもついていきたいと思ってしまいました。
脇でヨゴレ役を一手に引き受けてるところも憎めません。
女優としての彼女を観る楽しみはずっと持っていたけれど、
これからは彼女の監督作に対する期待もこれで持てるようになりました。
Whip It(2009 アメリカ)
監督 ドリュー・バリモア
出演 エレン・ペイジ マーシャ・ゲイ・ハーデン クリステン・ウィグ ドリュー・バリモア
ジュリエット・ルイス ジミー・ファロン アリア・ショウカット イヴ ゾーイ・ベル
ダニエル・スターン アンドリュー・ウィルソン ランドン・ピッグ
この作品は、観てみたいって
その気にさせるコメントでした。
これもメモしておこっと。ヽ(^▽^)ノ
by ぷーちゃん (2010-06-17 15:38)
ぷーちゃんさん、こんにちは。
これ、音楽の使い方も結構グッとくる感じなんで、
そのあたりのぷーちゃんさんの感想をお聞きしたいです。
by dorothy (2010-06-18 03:36)