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恋のからさわぎ [映画感想−か]

ヒース・レジャーのハリウッド進出作として知られるコレ。
ずーっと観たかった作品で、やっとやっと観ることが出来ました。
今作は若い若いジョセフ・ゴードン=レヴィット君も登場、ということで、
図らずも(いや、多少図ったのですが・・・)ひとり勝手に開催中の、
「ジョセフ・ゴードン=レヴィット祭り」にもうまく絡められました!


転校生のキャメロン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、
登校初日にビアンカ(ラリサ・オレイニク)に一目惚れしてしまいます。
彼女をデートに誘おうと思いますが、彼女の父親(ラリー・ミラー)は、
高校卒業までデート禁止令を出していました。そんな父親に抗議するビアンカ。
すると父は「姉のキャット(ジュリア・スタイルズ)がデートしたら」という条件を出します。
しかしキャットはフェミニストで学園中から嫌われていて、本人もデートなどする気は一切なし。
キャメロンはなんとかキャットのデート相手を探そうとしますがなかなか見つからず、
最後にワケありのはみ出し者パトリック(ヒース・レジャー)に目を付けます。
友だちになったばかりのマイケル(デヴィッド・クラムホルツ)はパトリックを雇い、
キャットをデートに誘わせようというアイデアを思いつきますが、払うお金がありません。
そこで、同じようにビアンカに目をつけているジョーイ(アンドリュー・キーガン)にお金を出させ、
なんとかパトリックにキャットをデートに誘うように仕向けますが・・・・。


フェミニスト
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いいですね。こういうのは無条件に大好き!
1999年の作品ですが80年代ぐらいの学園ドラマのような懐かしさもありつつ、
でも、キャットのキャラクターなんかはちょっとひとひねりあるというか、
単に「モテない女の子が恋をしてキレイになってプロムに誘われるまで」みたい話ではないので、
いわゆるよくある恋愛モノとはちょっと違っていて、でもそこがとても好ましかったです。
キャットはとても扱いにくいタイプとして描かれていて、同級生からも教師からも嫌われている。
私などから見たら彼女がそこまで嫌われる理由がわからないんですが、
アメリカの高校内カーストに於いて彼女のようなタイプは嫌われるんですね。
キャットは顔はまあいわゆる美人とは言い難いけれどスタイルはいいし、
(でもアメリカ人の好みとしては胸もないし痩せすぎかな?)
音楽的趣味とかクラブでノリまくっている感じとか普通に「イケてる」と思うんですが、
いわゆる女子高生的なキャピキャピしたところは皆無なんで、同性の友だちも少ない。
それにしても、どう見てもモテなそうなおたく風なヤツにまで、
「この世にオレとキャットとヤギしかいなくなったら迷わずヤギを選ぶ」
とか言われちゃうんですが、エエそこまで!?と思ってしまいます。


ワケあり
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パトリックは最初のキャットへ近づいていく動機こそ不純なものでしたが、
彼もいろいろワケありで変わり者の一匹狼として周りから恐れられていて、
そんなだからか、自分を貫いているキャットの姿に何か感じるものがあったのかも知れないし、
彼女の素顔が徐々に見えてくるにしたがって、本当にキャットに惹かれていきます。
一方キャットはパトリックのことを周りほどヘンな色眼鏡で見てはいませんでしたが、
彼女も最初からパトリックに好意を持ったわけじゃなく、
とりあえず妹のビアンカのためということのほうが大きかったんだと思います。
それでも彼女も徐々にパトリックに心惹かれていきます。
でも誤解があったりでなかなか関係は発展せず、そこでパトリックがある計画を立てます。
それはキャットのために大勢の見ている中で『君の瞳に恋してる』を歌い踊る!
これやられたらそりゃあどんなにカタクナな心も動かされるよなあという、
ヒース・レジャー大熱演の必見シーンです。これはタマリマセン!

もう一組、ビアンカとキャメロンの恋愛も同時に進行していきます。
ビアンカに一目惚れして、彼女のためにあらゆる手を使って動き回るキャメロン。
キャットとは正反対に、恋やオシャレやデートやパーティに夢中のビアンカは、
恋に恋してるような、本当に普通の高校生。
転校生のキャメロンの学校案内を担当するマイケルが、彼女のことをキャメロンに、
「学園のアイドル」「高嶺の花」とかなんとか紹介するんですが、
確かにビアンカは美人なんだけど、別にチアリーダーでもないし、
プロムクイーンに選ばれるような感じでもないので、
なんでマイケルはそんなこと言ったんだ?とそこはちょっと気になりました。
キャメロンとジョーイ以外にデートに誘われるようなこともなさそうだったし。
でも、キャメロンにとっては彼女こそが真のクイーン。
この一途さ、キャメロン君はもう絶対に『(500)日のサマー』のトム君の10年前の姿に違いない!
愛しのビアンカのためなら一生懸命、でもちょっと彼女に冷たくされるとドップリ落ち込んだり、
こんな純な高校生、今時いる!?って感じです。
とにかく誰よりも幼くて、学年は違う設定だけどヒース・レジャーと同じ高校生には見えない。
まあヒース・レジャーがまずは高校生に見えないんですけどね。
デヴィッド・クラムホルツもひどくオッサンくさいし。でも彼の恋物語もあるんですよ。
今作はシェークスピアの『じゃじゃ馬ならし』がモチーフになっていて、
シェークスピア的なセリフが随所で出てきたりするんですが、
そんなシェークスピアに絡んだ、ちょっと唐突なカップル成立なんですが、
こちらのカップルもなかなかチャーミングです。


お年頃
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ビアンカは最初ジョーイに惹かれちゃったりもしてちょっと危なっかしいのですが、
でも早々にジョーイのダメっぷりに気付くところがエライ。
とにかくみんなしっかり自分を持っていてちゃんとしてるところが観ていてイヤな感じを受けません。
キャットとビアンカと父親とのやりとりもすごく良くて、こういう親子話にも単純に弱いです。
父親は母親がいない家庭で、かつ自分は産婦人科医なんていう立場から、
本当に娘たちのことを心配してるのがわかります。
なんでお母さんが家を出て行ったのかの説明がなかったのがちょっと不満でしたが、
こんなにオーバーに心配しまくる夫じゃあね、と思わせるようなところもありました。

あまり過激な表現もなく、下ネタにも走らず、出演者がみんな愛らしく、
父親や教師などが憎まれ役にまわることもなくいい味出してくれるし、
ホント、こういうのはずっと観ていたいと思ってしまうぐらい心地よいです。
確かに若干の物足りなさはあります。
演出としてもうちょっと盛り上げて欲しいなと思うようなところもあるし、
キャットやパトリック、ビアンカがそれぞれどんな風に心が動いていくかが、
わりとあっさりと描かれているというか、特にパトリックが、
どのタイミングで本気になっていったかがちょっとわかりにくかったです。
私がその辺の機微に気付かなかっただけかな。
それぞれなるようになることはわかっているんですが、
もうちょっとドラマがあってもいいかなという気はしました。


一途
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主にドラマ畑の演出家であるジル・ジュンガーの初映画作品ということで、
そう聞くと全体に"慣れてない"感なのかなと思ったりしましたが、
でもそれがかえって物語自体の初々しさに一役買ったような気もします。
今作は監督自身の手により、数年前にテレビドラマ化もされてるんですね。
全然知らなかったし、あまり評判もよくなかったみたいですが、
監督自身、それほどこの作品に思い入れがあるということなんでしょう。
キャストではヒマさえあればポルノ小説を書いているカウンセラー役のアリソン・ジャネイを、
もうちょっと後半にも出して欲しかった。すごくイイキャラクターなのに!
メイキングを観ると彼女のシーンはだいぶカットされちゃったようで、残念。
イケスカナイ奴っぷりが最高のジョーイ役のアンドリュー・キーガンも笑わせてくれます!
靴下や痔の薬なんかに出てる安いCMモデルなのにスター気取りというイタさがホント可笑しい。
もっとみんなに殴られちゃえ!鼻炎薬のCM撮影前に鼻折られちゃえ!

これをリアルタイムで観ていたら、ヒース・レジャーをアイドル的に好きになったかも知れません。
まあ、私はこの後の『ロック・ユー!』でしっかりクラッと来たんですが。
本人はこういう軽い路線はやりたくなくて、以降暗めの作品ばかりを選ぶようになったそうですが、
彼のロマンチックコメディなんて、もっと観たかったです。
ジュリア・スタイルズは最近はジェイソン・ボーンシリーズぐらいでしか見かけてないんですが、
もうちょっと活躍を見たいなあ。すごくイイ女優さんだと思うんですが。
終盤に登場する、彼女が詩を朗読するシーンには強く強く胸を打たれます。
その姿を見つめるヒース・レジャーも、またなんとも言えない良い表情を見せています。
十代の頃の恋する気持ち、親とか教師とか周りの友だちとか、
そんなもので世界がすべてだった時代にグググッと引き戻される、
イヤになるくらい、学園モノはやっぱりいくつになってもいいものです。



10 Things I Hate About You(1999 アメリカ)
監督 ジル・ジュンガー
出演 ジュリア・スタイルズ ヒース・レジャー ジョセフ・ゴードン=レヴィット
   ラリサ・オレイニク デヴィッド・クラムホルツ アンドリュー・キーガン
   スーザン・メイ・プラット ガブリエル・ユニオン ラリー・ミラー
   ダリル・ミッチェル アリソン・ジャネイ



ヒース・レジャーの恋のからさわぎ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
  • メディア: DVD


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コメント 2

ぷーちゃん

ジュリアスタイルズ、そっか
ジェイソンボーンに出てた出てた。
この作品も良さそうですね。
by ぷーちゃん (2010-05-28 00:58) 

dorothy

ぷーちゃんさん、こんにちは。
ジュリア・スタイルズ、もうちょっと活躍してほしいです。
こういう雰囲気の女優さん、好きなんですよ〜。
by dorothy (2010-05-29 19:01) 

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