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プリンセスと魔法のキス [映画感想−は]

ディズニー久しぶりの手描き2Dアニメーション作品。
しかもヒロインは初のアフリカ系プリンセス!・・・と、
正確にはプリンセスじゃないのですが、まあそれはそれとして。


ニューオーリンズに住むティアナの幼い頃からの夢は自分のレストランを持つこと。
その夢のために昼夜働き続けていました。
ある日、街にマルドニア王国のナヴィーン王子がやってくることになり、
ティアナの幼なじみで裕福な家の娘であるシャーロットは、
父親に頼んで王子の歓迎パーティを自宅で開きます。
パーティの手伝いを頼まれたティアナは、そこで一匹のカエルに出会います。
このカエル、自分は魔法使いに呪いをかけられたナヴィーン王子だと言い、
呪いを解くためにティアナにキスしてくれと頼みます。
カエルが苦手なティアナでしたが、おそるおそるキスすることに。
しかし魔法は解けず、なぜかティアナまでカエルになってしまい・・・。


ボク、王子なんだー
theprincessandthefrog_1.jpg


ディズニーランドもシーも大好き、ミッキーやドナルドのキャラクターグッズを、
イイ年して今でもためらうことなくチョイスするぐらいのディズニー好きですが、
実は80〜90年代のディズニーアニメは観てないものが結構あります。
そんななので、何年ぶりかの2Dアニメ復活と言われても最初はふーんという感じだったのですが、
観た人がことごとく大絶賛しているので、途端にものすごく興味を持ってしまいました。
特に音楽の評価が高いのが気になってしょうがなかったのですが、
公開前からあちこちで聴かされていたNe-Yoの主題歌は確かに良い曲だとは思いましたが、
それほど特別なものとは思わなかったし、ほかの音楽はどうなってるんだろう?と思っていたら、
先日のアカデミー賞の主題歌賞候補としてチラッと耳にして、途端にうわわとなってしまったのでした。

映画の舞台となるのはニューオーリンズ、時代は1920年代とまさにジャズエイジ!
というわけで、全編ニューオーリンズジャズ満載なのです。
これがとにかくどれもこれも素晴らしく、ものすごく好み!
音楽を担当したのはディズニー作品ではお馴染みのランディ・ニューマン。
そこにニューオーリンズといえば!のドクター・ジョン、
テレンス・ブランチャードのトランペットなど、
さすがディズニーという豪華さというか、ツボを得た起用ぶり。
ティアナの声を担当しているのは『ドリームガールズ』のアニカ・ノニ・ローズで、
演技はもちろん、歌声はとにかく素晴らしいです。


こんなんなっちゃったよう
theprincessandthefrog_4.jpg


物語はベーシックなプリンセスストーリーかと思いきや、これが微妙に様子が違っていて、
このあたりにも、ディズニーの新しいものを作ろうという意気込みみたいなものを感じました。
もちろん最後はハッピーエンディングなのですが、これが単純に、
「王子様と結ばれてめでたしめでたし」というわけではないのです。
主人公のティアナは、幼い時からプリンセスストーリーに胸をときめかせつつも、
それより何より自分のレストランを持つことが一番の夢であり希望であって、
そのためにがむしゃらに働き、星に願いをかけてみても、しっかり現実を見据えています。
それは父親がティアナが幼い頃に「祈りも大切だけど、努力を怠ってはいけない」なんて、
至極真っ当で現実的なことを教えるからなのです。ティアナはその教えを守り、
レストランの実現を見る前に亡くなってしまった父親のため、
ただただレストランを持つという目標に向かって働きます。
いつか王子様が現れて、私をさらって行って欲しい、なんて思ってもいないし、
実際に目の前に王子様(といっても見た目はカエル)が現れても、
「カエルにキスなんて冗談でしょ!」という、おとぎ話にあるまじきことを言うのです。

そんな現実的なヒロインではありますが、物語はヴードゥー使いの魔術師ドクター・ファシリエが登場し、
王子をカエルに変え、その魔法はティアナにも伝染し・・・と、どんどん幻想的な世界へ入っていきます。
当然のように言葉を話すホタルやワニが登場。このワニのルイスに至ってはトランペットを吹き、
いつかミュージシャンになって人間たちと一緒にセッションしたいと願っているのです!
また、ティアナたちの魔法を解くために、2人をヴードゥークィーンのママ・オーディの元へ道案内する、
ホタルのレイの物語は・・・涙なしでは観られない!
動物たちの歌やダンスは実にディズニーらしい楽しさで溢れているし、
ドタバタ加減もツボを得ていて、そのあたりの基本の押さえどころはさすがキッチリしています。
そんな妙に現実的な部分と幻想的な雰囲気がとても良いバランスで描かれていて、
例えばルイスがフツーに人間たちと一緒に演奏してたりすると、
「おいおいそれはないだろー!」とツッコミたくもなりますが、
まあそのへんは楽しければいいよね、という気になります。


ヘソ出てます
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ナヴィーン王子はこれがどうしようもないお調子者のおぼっちゃんで、
遊んでばかりなので親から勘当され一文無しという、ちょっとこれもありえない設定。
そんな実態を知ったらいくら王子とはいえ、さすがに誰も恋に落ちないんじゃない?と思ってしまう。
でも、このおぼっちゃまも、カエルにされていろいろ苦労してちょっとずつ自立していくのです。
ディズニーの王子様といえばとにかくハンサムで、プリンセスのために勇敢に敵と戦ったり、
何もかも完璧でなければいけないはずなのに、このナヴィーンの情けないことといったら!
まだ『魔法にかけられて』の王子の方が王子としての自覚を持っていたような。
なので、しっかり者のティアナがナヴィーンに惹かれるとは思えないし、
でももし2人が結ばれないとしたらプリンセスストーリーとしてどうなの?と思ってましたが、
・・・情けないオトコに惹かれる心理?こういうの、子どもには難しいんじゃないかしらん。
なんて、余計なことかも知れません。とにかくこういうところも新しいなあと思いました。

それと、金持ちの娘と貧乏な娘が親友同士というのもありそうでないというか、
シャーロットはシンデレラにおける意地悪な姉たちのような位置づけにされてもおかしくないのに、
このシャーロットがティアナのために一肌脱ぐところも新しいと思いました。
ティアナとは対照的に、ひたすら王子と結ばれることを夢見ているシャーロット。
単に苦労を知らない素直なお嬢様で、だからずっとティアナと親友同士なんだろうなと納得できる。
途中から、シャーロットもなんとか幸せになって欲しい!と祈らずにはいられませんでした。
というわけで、悪役はドクター・ファシリエだけなんですね。
でまた、このドクター・ファシリエがいわゆる毒リンゴを持ってくる不気味な老婆なんかじゃなく、
ファッションとか立ち居振る舞いがなんだかカッコイイんです。
黒人ならではの身のこなしというのか、サミュエル・L・ジャクソンの格好良さに通じるような感じ。
(ちなみに声をあてているのは『コララインとボタンの魔女』で黒猫を演じたキース・デイヴィッド!)
やっぱりイマドキの悪役はカッコ良くないとね。


レイ・・・レイ・・・!
theprincessandthefrog_2.jpg


CGだ3Dだとアニメーションはどんどん進化していってますが、
この手描きアニメもまったく劣ることのない驚くほど美しい表現力で驚かされました。
これを復活させたディズニーに拍手したいです。
前半の1920年代のニューオーリンズの風景、蒸気船にストリートカー、
フレンチクォーターには行ったことないですが、きっとあんな風にあちらこちらからジャズが聞こえて、
そこらじゅうで歌ったり踊ったりしてたんだろうなというイメージそのまんま!
人々の暮らしぶり、ファッションや文化などがすごく丁寧に描かれていて、
こういうのを見ているだけでも楽しいです。
ティアナの作るベニエやガンボスープが本当に美味しそうに見える!
一方後半のジャングルの様子は、ジットリと湿った沼地に現れるワニ、
咲き乱れる花々に、この奥地に本当にヴードゥー使いが居ても不思議じゃない神秘さ、
そして見上げれば美しく光り輝く星空、こういう描写は本当にディズニーならではだと思います。
カエル採りに来た親子3人のいかにもにいかにもな土着的雰囲気は本当にオカシイし、
ホタルのレイの歯っ欠け具合も併せて、ここまでリアル?に描いていいのやら。
いえ、素直に笑わせてもらいましたが。
そしてエンディングのマルディグラの美しい光景まで、
とにかくあきれるほど良く出来たニューオーリンズ描写。
ヴードゥーのおどろおどろしさを乗り越えたあとの、多幸感は本当に心地よいです。
ディズニーアニメだと侮ってしまっていた自分を愚かだったと反省しました。
そしてそして、これがアトラクションとしてディズニーランドに登場してくれるといいなあ、
なんて夢想してます。星に祈っちゃおうかしらん。



The Princess and the Frog(2009 アメリカ)
監督 ジョン・マスカー ロン・クレメンツ
声の出演 アニカ・ノニ・ローズ ブルーノ・カンポス キース・デイヴィッド マイケル・レオン・ウーリー
     ジェニファー・コーディ ジム・カミングス ジェニファー・ルイス オプラ・ウィンフリー
     テレンス・ハワード ジョン・グッドマン



プリンセスと魔法のキス [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
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堀越ヨッシー

...うぅっ、未見なのでコメント出来ず。
朝のワイドショー「スッキリ!」で主人公が母親の前で歌う場面を丸々9分間放送してましたが(最近「スッキリ!」はよくこういう事をやる傾向に有り)、その映像を観ていたらやっぱり2Dはいいなあと思っていたんですが....。
悪役がまんま「アラジン」のジャファーみたいでかっこいいですね♪。
 
でも、どうやらDVDスルーになりそうな気配です(T皿T)

by 堀越ヨッシー (2010-04-02 00:24) 

dorothy

堀越ヨッシーさん、こんにちは。
なんだかコレ、あまり宣伝してなかった気がしてたんですが、
丸々9分なんてやってたんですね。
ヨッシーさんの感想、聞きたかったなあ・・・。
DVD鑑賞されたアカツキには、ぜひ!
by dorothy (2010-04-03 01:58) 

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