バーン・アフター・リーディング [映画感想−は]
コーエン兄弟が『ノーカントリー』の高評価を受けて、
「本当はこっちのほうが得意なんだけど」とばかりに、
軽〜く作ったような今作。
でも、ちょっと軽すぎやしませんか?
CIA局員オズボーン・コックス(ジョン・マルコヴィッチ)は、
アル中が原因で担当を外され、騒いだ揚げ句に辞職。
腹いせに回顧録を書いてCIAの内情を暴露しようと考えます。
オズボーンの妻ケイティ(ティルダ・スウィントン)は、
連邦保安官のハリー(ジョージ・クルーニー)と不倫中で、
密かに離婚を考え、弁護士と相談し離婚資料のひとつとするために、
オズボーンのパソコン内のデータをCD-ROMにコピーし弁護士に渡します。
そのCD-ROMの1枚がひょんなことからあるフィットネスクラブのロッカー室で発見されます。
中身を確認したインストラクターのチャド(ブラッド・ピット)は、
数字や記号の羅列からCIAの機密文書だと判断、持ち主のオズボーンを探し当て、
全身整形の費用を欲しがっている同僚のリンダ(フランシス・マクドーマンド)と共謀し、
これを使って一攫千金を狙う計画を立てます。
リンダとハリーは出会い系で・・・
まず、予告編やCMを見て「おバカなブラピ主演のコメディ映画」
だと思って観に行く気になったら、それは大きな間違いです。
でもGWに軽い1本を、なんて思って観に行っちゃった人は多いだろうなあ。
そう思うと、あのTVCMはかなり罪作り。
私はコーエン兄弟がそんなわかりやすいコメディを撮るとは思ってないので、
その意味では予想通りではあったのですが、
でもこの軽さはなんだろう?というか”薄い”と言うべきか。
そのブラッド・ピットを交え、メインが5人というのがやはり豪華過ぎ。
それぞれが的確な演技を見せてくれるものだからかえって話が薄まってしまったような、
あるいはそのビッグネームに頼りすぎてしまったような感じも受けました。
とは言っても、チャドはブラッド・ピットだったからこそ印象深く、
あらゆる意味で衝撃度も大きかったんだと思います。
私は『ファイトクラブ』や『スナッチ』『12モンキーズ』のような、
非二枚目路線の彼が好きなので、こういう役は大歓迎!
でももうちょっと徹底してアホっぽい役かと思ってましたが、
私にはちょっと期待はずれなぐらいでした。もっととことんやって欲しかったなあ。
オズボーンとケイティは離婚寸前で・・・
ジョン・マルコヴィッチのキレぶりはさすがだし、
女性2人もそれぞれ元々のキャラクターを活かした役柄で、
ソツがないという印象でしたが、それらに比べると、
ジョージ・クルーニーがイマイチだった気がしました。
不倫しながら出会い系にハマってるとか、発言や行動がかなり下世話だとか、
ヒゲやファッションで雰囲気出してはいましたが、
ここはもうちょっといいかげんでチンピラな感じの役者が良かった気がします。
ジョージ・クルーニーがそんなにお上品な俳優だとは思ってませんでしたが、
リンダに紹介されるあの出会い系サイトのほかの候補者たちと比べたら、
彼はやはり見た目相当"アタリ"だと思うし。
まあでもそんな見た目の良さもあって不倫も浮気もし放題ということかも知れませんが。
事件を起こしたあとの狼狽ぶりや情緒不安定な感じはなかなか面白かったです。
この5人がどんな風に絡んでいくのかと最初はワクワクしてたのですが、
絡み方に工夫が足りないというか、もうちょっとヒネリとか、
”なるほど”と思わせるものが欲しかった。
オズボーン、ケイティ、ハリー組とリンダ、チャド組が、
もっと複雑に絡み合っていくかと思ったけど、
ハリーとリンダの接点は”出会い系”というだけだし、う〜ん微妙。
ボタンの掛け違いは1、2個だけで、
あとはもつれることもなく裾までシワもなくキチンとしてる感じ。
じゃあどうすればいいんだと言われても困るんですが、
なんか意外性がなくて、エエ?そう来るか!と思わせるものが欲しかったです。
コーエン兄弟って、こんな感じだったかなあ?
もうちょっと捻った揚げ句にどっかにポーンと蹴り上げるみたいな印象だったんですが、
なんだかこじんまりとまとめちゃったなあという印象で終わってしまいました。
チャドはただただ脳天気で・・・
そうだ、メインの5人だけじゃなくもう1人、
チャドとリンダの上司テッドを忘れてはいけません。
意外な過去を持ち、リンダのことを一途に想い続ける彼が、
最後には・・・というかなり重要な登場人物。
演じるのは名脇役のリチャード・ジェンキンス。
彼もコーエン兄弟作品の常連となりつつあるようですが、
このくらいのレベルの役者さんたちで固めてくれたほうが良かった気がします。
やっぱりジョン・タトゥーロとかジョン・グッドマンとかスティーヴ・ブシェミとか、
いわゆるスターじゃない人が出るほうが好きかなあと思ってしまいました。
クスリ、ニヤリとするところはもちろん要所要所にありましたが、
かなり露骨なセリフやモノの登場は、
そこまで下ネタに走る必要があるのかなあと思ったし、
そこがちょっと安っぽくなりすぎた気もしました。
ただ、意味もなく唐突にあっさりと人が死ぬあたりはいかにもだし、
オズボーンが斧を持ち出して、しかも最後はそれで・・・というところは、
やっぱりコーエン兄弟はこういうのが出てこないとなあと思ってしまいました。
ムダに大袈裟な雰囲気の音楽とかくだらなくてピッタリ合ってるし。
それなのに何故かなあ?何が足りなかったのだろう?
コーエン兄弟でなければそこそこ及第点かも知れませんが、期待が大き過ぎたのでしょうか。
最後にCIA上官役のJ・K・シモンズが言うセリフがこちらの気持ちを代弁しているようで、
でも、それをセリフとして言わせるというのは弁解がましいというか、
いや、そこを見越した上で言わせてるという底意地の悪い感じがコーエン兄弟らしいというか。
・・・なんだかもう、よくわからなくなってきました。
Burn After Reading(2008 アメリカ)
監督 イーサン・コーエン ジョエル・コーエン
出演 ジョージ・クルーニー フランシス・マクドーマンド ブラッド・ピット ジョン・マルコヴィッチ
ティルダ・スウィントン リチャード・ジェンキンス J・K・シモンズ
「本当はこっちのほうが得意なんだけど」とばかりに、
軽〜く作ったような今作。
でも、ちょっと軽すぎやしませんか?
CIA局員オズボーン・コックス(ジョン・マルコヴィッチ)は、
アル中が原因で担当を外され、騒いだ揚げ句に辞職。
腹いせに回顧録を書いてCIAの内情を暴露しようと考えます。
オズボーンの妻ケイティ(ティルダ・スウィントン)は、
連邦保安官のハリー(ジョージ・クルーニー)と不倫中で、
密かに離婚を考え、弁護士と相談し離婚資料のひとつとするために、
オズボーンのパソコン内のデータをCD-ROMにコピーし弁護士に渡します。
そのCD-ROMの1枚がひょんなことからあるフィットネスクラブのロッカー室で発見されます。
中身を確認したインストラクターのチャド(ブラッド・ピット)は、
数字や記号の羅列からCIAの機密文書だと判断、持ち主のオズボーンを探し当て、
全身整形の費用を欲しがっている同僚のリンダ(フランシス・マクドーマンド)と共謀し、
これを使って一攫千金を狙う計画を立てます。
リンダとハリーは出会い系で・・・
まず、予告編やCMを見て「おバカなブラピ主演のコメディ映画」
だと思って観に行く気になったら、それは大きな間違いです。
でもGWに軽い1本を、なんて思って観に行っちゃった人は多いだろうなあ。
そう思うと、あのTVCMはかなり罪作り。
私はコーエン兄弟がそんなわかりやすいコメディを撮るとは思ってないので、
その意味では予想通りではあったのですが、
でもこの軽さはなんだろう?というか”薄い”と言うべきか。
そのブラッド・ピットを交え、メインが5人というのがやはり豪華過ぎ。
それぞれが的確な演技を見せてくれるものだからかえって話が薄まってしまったような、
あるいはそのビッグネームに頼りすぎてしまったような感じも受けました。
とは言っても、チャドはブラッド・ピットだったからこそ印象深く、
あらゆる意味で衝撃度も大きかったんだと思います。
私は『ファイトクラブ』や『スナッチ』『12モンキーズ』のような、
非二枚目路線の彼が好きなので、こういう役は大歓迎!
でももうちょっと徹底してアホっぽい役かと思ってましたが、
私にはちょっと期待はずれなぐらいでした。もっととことんやって欲しかったなあ。
オズボーンとケイティは離婚寸前で・・・
ジョン・マルコヴィッチのキレぶりはさすがだし、
女性2人もそれぞれ元々のキャラクターを活かした役柄で、
ソツがないという印象でしたが、それらに比べると、
ジョージ・クルーニーがイマイチだった気がしました。
不倫しながら出会い系にハマってるとか、発言や行動がかなり下世話だとか、
ヒゲやファッションで雰囲気出してはいましたが、
ここはもうちょっといいかげんでチンピラな感じの役者が良かった気がします。
ジョージ・クルーニーがそんなにお上品な俳優だとは思ってませんでしたが、
リンダに紹介されるあの出会い系サイトのほかの候補者たちと比べたら、
彼はやはり見た目相当"アタリ"だと思うし。
まあでもそんな見た目の良さもあって不倫も浮気もし放題ということかも知れませんが。
事件を起こしたあとの狼狽ぶりや情緒不安定な感じはなかなか面白かったです。
この5人がどんな風に絡んでいくのかと最初はワクワクしてたのですが、
絡み方に工夫が足りないというか、もうちょっとヒネリとか、
”なるほど”と思わせるものが欲しかった。
オズボーン、ケイティ、ハリー組とリンダ、チャド組が、
もっと複雑に絡み合っていくかと思ったけど、
ハリーとリンダの接点は”出会い系”というだけだし、う〜ん微妙。
ボタンの掛け違いは1、2個だけで、
あとはもつれることもなく裾までシワもなくキチンとしてる感じ。
じゃあどうすればいいんだと言われても困るんですが、
なんか意外性がなくて、エエ?そう来るか!と思わせるものが欲しかったです。
コーエン兄弟って、こんな感じだったかなあ?
もうちょっと捻った揚げ句にどっかにポーンと蹴り上げるみたいな印象だったんですが、
なんだかこじんまりとまとめちゃったなあという印象で終わってしまいました。
チャドはただただ脳天気で・・・
そうだ、メインの5人だけじゃなくもう1人、
チャドとリンダの上司テッドを忘れてはいけません。
意外な過去を持ち、リンダのことを一途に想い続ける彼が、
最後には・・・というかなり重要な登場人物。
演じるのは名脇役のリチャード・ジェンキンス。
彼もコーエン兄弟作品の常連となりつつあるようですが、
このくらいのレベルの役者さんたちで固めてくれたほうが良かった気がします。
やっぱりジョン・タトゥーロとかジョン・グッドマンとかスティーヴ・ブシェミとか、
いわゆるスターじゃない人が出るほうが好きかなあと思ってしまいました。
クスリ、ニヤリとするところはもちろん要所要所にありましたが、
かなり露骨なセリフやモノの登場は、
そこまで下ネタに走る必要があるのかなあと思ったし、
そこがちょっと安っぽくなりすぎた気もしました。
ただ、意味もなく唐突にあっさりと人が死ぬあたりはいかにもだし、
オズボーンが斧を持ち出して、しかも最後はそれで・・・というところは、
やっぱりコーエン兄弟はこういうのが出てこないとなあと思ってしまいました。
ムダに大袈裟な雰囲気の音楽とかくだらなくてピッタリ合ってるし。
それなのに何故かなあ?何が足りなかったのだろう?
コーエン兄弟でなければそこそこ及第点かも知れませんが、期待が大き過ぎたのでしょうか。
最後にCIA上官役のJ・K・シモンズが言うセリフがこちらの気持ちを代弁しているようで、
でも、それをセリフとして言わせるというのは弁解がましいというか、
いや、そこを見越した上で言わせてるという底意地の悪い感じがコーエン兄弟らしいというか。
・・・なんだかもう、よくわからなくなってきました。
Burn After Reading(2008 アメリカ)
監督 イーサン・コーエン ジョエル・コーエン
出演 ジョージ・クルーニー フランシス・マクドーマンド ブラッド・ピット ジョン・マルコヴィッチ
ティルダ・スウィントン リチャード・ジェンキンス J・K・シモンズ
タグ:映画
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