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ハイ・フィデリティ [映画感想−は]

まるまる一週間、1本も映画を観ることが出来ず。
観たいものや観なきゃいけないものはいっぱいあるのに、
なぜかコレを引っ張り出して観てしまいました・・・大好きなもので。


シカゴで中古レコード店を営むロブ(ジョン・キューザック)。
ある日、同棲していたローラ(イーベン・ヤイレ)が家を出て行ってしまいます。
怒りと落ち込みの中、ロブは過去の"失恋トップ5"を作成。
何故自分はフラれ続けるのか?・・・その答えを導き出すため、
彼は過去に付き合った恋人たち1人ずつに連絡を取り始めます。


幸せだったあの頃
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”この作品の好きなところトップ5"を挙げようと思いましたが、
多すぎてとても5つに絞りきれません。
キャストは全員ほぼ完璧、交わされるセリフの面白さと的確さ、
使用曲のセンスの良さは言うまでもないし、
作り手のこだわりと愛情を深く深く感じさせます。
ジョン・キューザックが脚本、選曲にも参加、
『セイ・エニシング』の昔から『ポイント・ブランク』なんてのを経て、
彼の音楽に対する愛情と、それを映画としていかに見せていくかのこだわり、
これはその集大成と言えるかも知れません。
"ジョン・キューザックトップ5”としてはかなり上位の作品であることも間違いありません。

この作品が公開された時「これはオレの話だ!」という、
男性たちの感想をあちこちで目にしました。
ストーリー自体は実はどうってことのない、
どうしようもない男のかなり情けない恋愛に対するボヤキのような話。
ジョン・キューザックはひたすらカメラ目線で語り続けるし、
最初から最後までそれほどドラマチックな展開を見せるわけでもない。
このあたりの、結局どうにもならなさ加減も含めて、
身に覚えのある男性が洋の東西を問わず、時代も問わず、
この作品に惹きつけられてしまうのかも知れません。
では、女である私はどこに面白さを感じるのでしょう?
そんな情けない男たちの生態を見て「やれやれ」とは思わないけれど、
「いるなあこういうの」と納得する箇所はたくさんありました。
実際、"レコードの並べ方は歴史順"という男性はすごく良く知ってるし。
ホント、この「オレの歴史順」のところは椅子からずり落ちそうになりました。


"トップ5" 選定中
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こう言うのもなんですが、ロブの歴代彼女たち、
この中のどれか(あるいは、どれかとどれか)は、
実は私かも知れない、という妄想も持っていたりします。
・・・確実にキャサリン・ゼタ=ジョーンズではないですが。
そう思えるぐらい、女性描写も結構うまいところを突いています。
だからこそ、ロブのキャラクターにリアリティを感じてしまうのかも知れないし、
男性が思う以上に、この作品が好きな女性も多いんじゃないかと思います。

そんなロブの恋愛話とは別にとにかく笑わせてくれるのは、
ロブの店”チャンピオンシップ・ヴァイナル"で働く2人の店員、
バリー(ジャック・ブラック)とディック(トッド・ルイーソ)。
彼らの佇まいの完璧さと言ったら!
バリーの「オレの音楽の趣味が世界一」な態度は素晴らしいの一言だし、
本当にジャック・ブラックがこのタイミングで、
この世に存在してくれてありがとう!と言いたいぐらい、彼の出演シーンはすべてが必見!
ディックのキャラクターも一見地味そうで、実は彼こそ、
日本の中古レコード屋にも確実に1人ずつはいそうなタイプ。
線が細くて気が弱くて、音楽に対する愛情は当然深い。
彼をキャスティングした人には心から拍手を贈りたい気分です。


ジャック・ブラックトップ5の1本
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デンマーク人女優のイーベン・ヤイレ。彼女が実にキュートで、
なかなかに豪華な顔ぶれであるロブの恋人たちの中で、
彼女をメインのヒロインに持ってきたあたりのセンスが、
この作品を特別なものにしている気がします。
お馴染みジョンキュー姉、ジョーン・キューザック。
まったく彼女にしか出来ないキャラクターで、今回も弟を罵倒しまくります。
またまたアヤシさ満点なのは、イアン役のティム・ロビンス。
スティーブン・セガール頭のイケスカナイ奴!
本当にこういう役ばかり狙って演じてるとしか思えません。
そして最後にとびきりの贈り物をくれるのはジャック・ブラック!
本当に彼をこの時この場所にいさせてくれて、神様にありがとうと何度でも言いたい。

カセットテープはこの世から消え去って、
今はディスクに焼くのか、iPodに新たなプレイリストを作るのかわかりませんが、
交際中の男女のイベントの1つとして、今でも存在する・・・のかな?
テープを作り作られる関係は、その是非はどうであれ、
無くなって欲しくない気がします。
自分の趣味嗜好の押しつけでしかないテープ作りですが、
それが、ほんの少しでも相手を思う選曲となる瞬間、
それのない関係より私にはステキな関係だと思えます。
何年かして振り返った時のコッパズカシサみたいなものも含めて、
なんだか、単純にいい思い出になると思うし。
そんなことを、この作品を観るたびに思ってしまう。
とりあえず自分は音楽好きだと思う人にはぜひ観て欲しいし、
いっぱい恥ずかしい恋愛をして欲しい・・・なんてことを、
イイ年になった私は思ってしまうのです。


High Fidelity(2000 アメリカ)
監督 スティーヴン・フリアーズ
出演 ジョン・キューザック イーベン・ヤイレ トッド・ルイーソ ジャック・ブラック リサ・ボネット
   キャサリン・ゼタ=ジョーンズ ジョーン・キューザック ティム・ロビンス リリ・テイラー



ハイ・フィデリティ 特別版 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • メディア: DVD


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