チェ 28歳の革命 [映画感想−た]
『トラフィック』でのアカデミー賞監督賞&助演男優賞コンビ、
スティーヴン・ソダーバーグとベニシオ・デル・トロ。
2人が再びタッグを組み取り組んだのは、偉大なる革命家チェ・ゲバラの半生。
2部構成総上映時間4時間25分の大作、その第1部です。
1955年。アルゼンチン人の医師エルネスト・ゲバラ(ベニシオ・デル・トロ)は、
南米大陸の旅の途中のメキシコで、フィデル・カストロ(デミアン・ビチル)と出会います。
独裁政権に苦しむ祖国キューバの状況を憂い、
平等社会の実現を目指すカストロの意志に共鳴したゲバラは、
この政府軍との戦いに参加することを決意、キューバへ渡ります。
ゲバラとカミロ(サンティアゴ・カブレラ)
昔、我が家の本棚に『ゲバラ日記』という本がありました。
幼かった私には"ゲバラ"という言葉の持つ響きがどこか可笑しく、
それとは対照的な"革命"という文字、
そしてあの有名な、不思議に魅力的な強い眼差しを持つ男性の肖像画、
それらがどれもこれも興味深く、でも結局その本を手に取ることはないままでした。
やがて、あの肖像画をポスターやTシャツなどでよく見かけるようになっても、
彼がいったい何者なのかはよくわからないまま。
そんなゲバラの人物像に初めて具体的に接することになったのは、
映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』でした。
その程度の知識しか持ち合わせていないままでは、
おそらくかなりの部分の理解ができないのでは、と予想されたことですが、
この作品の説明のなさ加減は相当に手強いものでした。
上映前にゲバラに関する簡単な説明が流されましたが、
このくらいはここに来ている人は知ってることだろう、という程度でしたし、
かなりの予備知識、元々ゲバラに対して相当興味を持っているような人でないと、
この2時間強を乗り切るのは大変だと思いました。
ニューヨークで彼を迎えるのは・・・
淡々とただ状況だけを見せていくような描き方は、まるでドキュメンタリーのようです。
64年のニューヨークと55年〜59年までのキューバでのゲリラ戦が交互に描かれ、
当然、主人公のゲバラを中心にして話は進むわけですが、
戦地パートでは、彼が主人公だからといって、
彼だけをクローズアップしてみせたりといったこともなく、
彼が先陣を切って闘うというようなシーンもあまりありません。
そのため彼の表情もわかりにくく、その時どんなことを思っていたかといった、
ゲバラ自身の感情の動きのようなものが見えにくい。
同じような格好をした彼らゲリラ軍が1つの画面上にたくさん登場すると、
とっさにどれがゲバラかわからなかったりするほどでした。
逆に革命を成功させてから数年後であるニューヨークのパート、
国連での演説やインタビューなどでは彼の考えや思いを語らせます。
これを時折挟み込むことによって、
戦地での状況や思いを語らせるのと同じような役割を持たせていると言えます。
ニューヨークシーンをモノクロ、戦地をカラーにして、
時間軸を行き来させながら見せるのが唯一の演出とも言えそうで、
これがなければ本当に、撮りっぱなしのフィルムをただただ見せられてるようです。
後に妻となるアレイダ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)
事実をありのままに伝えることも当然大事だと思います。
カストロを始め、まだ存命者も多い中での映画化なので、
脚色しにくい事情もあることでしょう。
でも、ニュースフィルムをただ再現するのではないのだから、
もう少し映画的な演出も欲しかった。
戦闘シーンを増やせとか、ドラマチックな音楽で盛り上げろとは言いませんが、
何か印象的なエピソードなどがもう少しあっても良かった気がします。
例えば、ゲバラが負傷した仲間は決して見捨てない、
その一方で、卑劣な行動に出た仲間は容赦なく処刑するといったような描写などは、
彼の性格が伝わってきそうです。
とにかく読み書きを勉強しろとか、最後のほうのクルマのエピソードなんかも面白い。
こういうちょっとしたことでゲバラの人間性や、
彼がその時どんな思いだったのかが垣間見える気がします。
最初からそういうことは一切描かないというスタンスだったと、
言われてしまえばそれまでなんですが、
ソダーバーグならそのあたりもう少し違うアプローチも出来たんじゃないかと思い、
少し残念です。
第2部『チェ 39歳別れの手紙』を観てみないと何とも言えませんが、
今作に対する不満な気持ちが、かえってこの第2部を観たい気持ちにさせています。
観る前にサンティアゴ・カブレラ(ヒーローズ!)や、
ロドリゴ・サントロ(ラブ・アクチュアリー・・・というよりLOSTのパウロ!?)
なんて名前がチラッとアタマの中にはあったのに、
始まってしまうと、もう誰が誰やら。
カタリーナ・サンディノ・モレノはショートカットもカワイイですね。
・・・なんて、キャストがどうこう言う間も与えない堅い作りでした。
この緊張感を憶えているうちに、早く次を観たいと思っています。
Che: Part One(2008 アメリカ/フランス/スペイン)
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 ベニシオ・デル・トロ デミアン・ビチル カタリーナ・サンディノ・モレノ
ジュリア・オーモンド ロドリゴ・サントロ サンティアゴ・カブレラ
スティーヴン・ソダーバーグとベニシオ・デル・トロ。
2人が再びタッグを組み取り組んだのは、偉大なる革命家チェ・ゲバラの半生。
2部構成総上映時間4時間25分の大作、その第1部です。
1955年。アルゼンチン人の医師エルネスト・ゲバラ(ベニシオ・デル・トロ)は、
南米大陸の旅の途中のメキシコで、フィデル・カストロ(デミアン・ビチル)と出会います。
独裁政権に苦しむ祖国キューバの状況を憂い、
平等社会の実現を目指すカストロの意志に共鳴したゲバラは、
この政府軍との戦いに参加することを決意、キューバへ渡ります。
ゲバラとカミロ(サンティアゴ・カブレラ)
昔、我が家の本棚に『ゲバラ日記』という本がありました。
幼かった私には"ゲバラ"という言葉の持つ響きがどこか可笑しく、
それとは対照的な"革命"という文字、
そしてあの有名な、不思議に魅力的な強い眼差しを持つ男性の肖像画、
それらがどれもこれも興味深く、でも結局その本を手に取ることはないままでした。
やがて、あの肖像画をポスターやTシャツなどでよく見かけるようになっても、
彼がいったい何者なのかはよくわからないまま。
そんなゲバラの人物像に初めて具体的に接することになったのは、
映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』でした。
その程度の知識しか持ち合わせていないままでは、
おそらくかなりの部分の理解ができないのでは、と予想されたことですが、
この作品の説明のなさ加減は相当に手強いものでした。
上映前にゲバラに関する簡単な説明が流されましたが、
このくらいはここに来ている人は知ってることだろう、という程度でしたし、
かなりの予備知識、元々ゲバラに対して相当興味を持っているような人でないと、
この2時間強を乗り切るのは大変だと思いました。
ニューヨークで彼を迎えるのは・・・
淡々とただ状況だけを見せていくような描き方は、まるでドキュメンタリーのようです。
64年のニューヨークと55年〜59年までのキューバでのゲリラ戦が交互に描かれ、
当然、主人公のゲバラを中心にして話は進むわけですが、
戦地パートでは、彼が主人公だからといって、
彼だけをクローズアップしてみせたりといったこともなく、
彼が先陣を切って闘うというようなシーンもあまりありません。
そのため彼の表情もわかりにくく、その時どんなことを思っていたかといった、
ゲバラ自身の感情の動きのようなものが見えにくい。
同じような格好をした彼らゲリラ軍が1つの画面上にたくさん登場すると、
とっさにどれがゲバラかわからなかったりするほどでした。
逆に革命を成功させてから数年後であるニューヨークのパート、
国連での演説やインタビューなどでは彼の考えや思いを語らせます。
これを時折挟み込むことによって、
戦地での状況や思いを語らせるのと同じような役割を持たせていると言えます。
ニューヨークシーンをモノクロ、戦地をカラーにして、
時間軸を行き来させながら見せるのが唯一の演出とも言えそうで、
これがなければ本当に、撮りっぱなしのフィルムをただただ見せられてるようです。
後に妻となるアレイダ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)
事実をありのままに伝えることも当然大事だと思います。
カストロを始め、まだ存命者も多い中での映画化なので、
脚色しにくい事情もあることでしょう。
でも、ニュースフィルムをただ再現するのではないのだから、
もう少し映画的な演出も欲しかった。
戦闘シーンを増やせとか、ドラマチックな音楽で盛り上げろとは言いませんが、
何か印象的なエピソードなどがもう少しあっても良かった気がします。
例えば、ゲバラが負傷した仲間は決して見捨てない、
その一方で、卑劣な行動に出た仲間は容赦なく処刑するといったような描写などは、
彼の性格が伝わってきそうです。
とにかく読み書きを勉強しろとか、最後のほうのクルマのエピソードなんかも面白い。
こういうちょっとしたことでゲバラの人間性や、
彼がその時どんな思いだったのかが垣間見える気がします。
最初からそういうことは一切描かないというスタンスだったと、
言われてしまえばそれまでなんですが、
ソダーバーグならそのあたりもう少し違うアプローチも出来たんじゃないかと思い、
少し残念です。
第2部『チェ 39歳別れの手紙』を観てみないと何とも言えませんが、
今作に対する不満な気持ちが、かえってこの第2部を観たい気持ちにさせています。
観る前にサンティアゴ・カブレラ(ヒーローズ!)や、
ロドリゴ・サントロ(ラブ・アクチュアリー・・・というよりLOSTのパウロ!?)
なんて名前がチラッとアタマの中にはあったのに、
始まってしまうと、もう誰が誰やら。
カタリーナ・サンディノ・モレノはショートカットもカワイイですね。
・・・なんて、キャストがどうこう言う間も与えない堅い作りでした。
この緊張感を憶えているうちに、早く次を観たいと思っています。
Che: Part One(2008 アメリカ/フランス/スペイン)
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 ベニシオ・デル・トロ デミアン・ビチル カタリーナ・サンディノ・モレノ
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