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シカゴ [映画感想−さ]

2003年の劇場公開以来なので約6年ぶりに鑑賞。
実は最初に観た時は、そのめまぐるしく変わるカットに疲れてしまい、
かなり不満もあったのですが、
今回改めて観てみたら、少し違う感想を持ちました。


1920年代のシカゴ。
キャバレーの専属歌手ヴェルマ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、
夫と妹の不倫関係を知り、2人を殺害。
その足で店に向かい、いつもは妹と2人で上がるステージを、
今日は1人で堂々と勤め上げていました。
そのヴェルマを憧れの眼差しで見つめるのは、
スターを夢見るロキシー(レネー・ゼルウィガー)。
彼女も後日、自分を騙した愛人を撃ち殺してしまいます。
夫エイモス(ジョン・C・ライリー)のかばい立ても役に立たず、
逮捕されたロキシーは、刑務所でヴェルマと出会います。
敏腕弁護士ビリー(リチャード・ギア)のおかげで、
ヴェルマは刑務所の中にいてもスター扱いされており、
それを見たロキシーは、自分もビリーを雇おうとしますが・・・。


悪女2人
chicago_1.jpg


映画館では残念ながらかなり前方の席で観てしまい、
大きい画面を見上げるような格好になってしまって、
そこにきて、あのめまぐるしいカット割りなので、
「頼むからもうちょっとゆっくりダンスを見せて!」と、
終わった時にはヘトヘトになってしまいました。
今回、我が家の小さい画面で観ると、
意外に、その細切れ具合があまり気になりませんでした。
やはりもうちょっと落ち着いた画面作りであって欲しいとは思いましたが、
この6年間でこういう画面作りに慣れた?
でも、モノによっては今でも切り替えの多い作品に出会うと、
気になってしょうがない方なので、この感じ方の変化は自分でも意外でした。
決して小さい画面が向いている小品というわけではないのに・・・。

"現実”であるドラマシーンから、
どのように"妄想"とも言えるステージシーンに切り替わるかが、
この作品に於いて一番の見せ所と言っても良く、
それはほぼどのシーンも完璧と言って良い出来だと改めて感心しました。
オープニング、ヴェルマの『All That Jazz』のシーンに、
ロキシーが事件を起こすに至るシーンが割り込むところや、
6人の囚人たちが犯した罪を語りながら踊る『Cell Block Tango』、
裁判なんてサーカスだと言う『Razzle Dazzle』も、
でたらめな実際の裁判シーンにうまく歌が絡まっていました。


悪徳弁護士
chicago_2.jpg


レネー・ゼルウィガーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、
本当に2人が素晴らしい。
もちろん本職の人たちとくらべれば、特にレネーの歌なんてかなり頼りなげだし、
ダンスなど、アラを探すのは簡単かも知れません。
細切れのカット割りは、ダンスシーンを誤魔化すのに必要だったのかも知れません。
それでも、この2人のキャスティングは大正解・・・というか、
リチャード・ギア、クイーン・ラティファ、ジョン・C・ライリー、
いずれも完璧なキャスティングだったと思いました。

映画を観た同じ年にブロードウェイのステージも観ることが出来たのですが、
確かに歌やダンスなら生の迫力も手伝ってステージの方に軍配が上がります。
でも映画では何が大事かと言えばドラマ部分、
つまり劇中の現実の部分をいかに演じるかが大事なのであって、
そう考えると、少々アタマの弱そうなロキシー、悪女ヴェルマ、
ずる賢いビリー、ママ・モートンの迫力、
そしてエイモスの人の良すぎるところなど、全員がピッタリ。
映画とステージはまったく別物だと感じました。
最近のブロードウェイミュージカル映画化ブームの先駆けと言える作品でしたが、
まさにこのタイミングで作られたこと、
このキャストを集められたことが成功の鍵だったと思いました。


どこまでもお人好し
chicago_3.jpg


ロキシーに殺される男がドミニク・ウェスト、
それとルーシー・リューが出てたことはすっかり忘れていました。
ミュージカルシーン=妄想の世界という構成は、
世のミュージカルを敬遠する人たちのよくある言い訳、
"出演者が唐突に歌い出すことの違和感"に対する、
わかりやすい返答とも言えるし、
そのなめらかな切り替わり方は実に見事なので、
ミュージカル敬遠派の方にこそオススメしたい。
あまりにもデタラメなストーリー・・・マスコミが次から次へと、
"新しい血”へ向かう様は、案外今の世の中もこんなかもと思わせるし、
なかなかの皮肉として面白く観ることが出来ました。


Chicago(2002 アメリカ)
監督 ロブ・マーシャル
出演 レネー・ゼルウィガー キャサリン・ゼタ=ジョーンズ リチャード・ギア クイーン・ラティファ
   ジョン・C・ライリー テイ・ディグス ドミニク・ウェスト ルーシー・リュー



シカゴ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ハピネット
  • メディア: DVD


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コメント 5

hash

こんばんは。
>ミュージカル敬遠派の方にこそオススメ
私もミュージカルは苦手な方ですが、これは始めて面白いと思ったミュージカル映画でした。
by hash (2009-01-29 00:46) 

dorothy

hashさん、こんばんは。
ミュージカル好きな私でも「歌ってる場合じゃないでしょ」と、
ツッコミたくなることがあります。
これは、そういう気持ちにさせるスキをまるで与えないところがスゴイと思いました。


by dorothy (2009-01-30 02:53) 

カネシン

僕はドミニク・ウェストの歌、
ミスターセロファンが大好きです。

ってかこの人まで歌うまいし!!!
という驚きがありました。

>ミュージカル敬遠派の方にこそオススメしたい。
僕も同意見です(^^)

トラックバックさせてください。
by カネシン (2011-05-15 16:45) 

dorothy

カネシンさん、ご訪問ありがとうございます。
「ミスター・セロファン」を歌ってるのはジョン・C・ライリーですね。
彼のあの顔からは想像できない(失礼!)甘い声がすごくイイ!です。

トラックバックはスパムが多いので承認制にしています。
そのためすぐには反映しませんが、普通に申請していただければ大丈夫です。

よかったらまた遊びにいらしてください!
by dorothy (2011-05-16 05:07) 

カネシン

ホントだ!!
大間違いですね、恥ずかしいっ(>。<)

ちなみに声ももちろん、
あの控えめな振り付けも好きです。
by カネシン (2011-05-26 20:16) 

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