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僕らのミライへ逆回転 [映画感想−は]

地元の映画館では今週で終わり。
ということで、慌てて行ってきました。
ものすごーく期待してた作品だったのですが・・・。


ニュージャージー州パッセークにある小さなレンタルビデオ店Be Kind Rewind。
元は伝説のジャズミュージシャン、ファッツ・ウォーラーの生家であるというこの店を、
フレッチャー(ダニー・グローヴァー)とマイク(モス・デフ)の2人が細々と営んでいました。
ある日、友人のジェリー(ジャック・ブラック)が店にやって来ます。
近所にある発電所の電磁波による脳への影響を憂う彼は、
マイクに「一緒に発電所を襲撃しよう!」と持ちかけます。
しかしマイクはそれを拒否。しかたなくジェリーは一人で発電所に侵入しますが、
その際に感電し、ジェリーのカラダは強力な磁気を発生するようになってしまいます。
そのせいで翌日ジェリーがビデオ店を訪れると、店のテープの中身がすべて消えてしまう事態に。
困り果てたマイクは、ビデオを自分たちで作り直すことを思いつき・・・。


ゴーストバスターズ!?
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ミシェル・ゴンドリー作品では『恋愛睡眠のすすめ』でも"手作り"がキーワードでしたが、
今回は、誰もが知ってるメジャーな映画を手作りしていきます。
『ゴーストバスターズ』や『ラッシュアワー2』(なぜ2?)『ロボコップ』などなどを、
ダンボールや布やアルミホイルなどを駆使して作り上げていきます。
それは学芸会か仮装大賞か?という感じで、大雑把かつかなり低レベル。
作っている彼らは楽しそうなのですが、観ているこちらはというと、う〜ん・・・。

『恋愛睡眠〜』は"恋愛モノ"というテーマもあり、
手作りイコール、ラブリーというわかりやすい方向に持っていけていたし、
ガエル・ガルシア・ベルナルの魅力もあって私は大満足だったのですが、
今回のテーマは?と言うと"映画に対する愛"?
ゴンドリー自身、インタビューでそのことを語っていましたが、
残念ながら、私にはあまりその愛は感じられませんでした。
マイクとジェリーは店のビデオテープがダメになったことをどうにかしなきゃ!
という理由だけで手作り映画を思いつくわけで、
別に映画を作ること自体に深い思いがあるわけではありません。

ゴンドリーにはまず"映画を手作りする"というアイデアがあって、
そこから手作りするに至る理由を考えたのだと想像できて、
"映画に対する愛"というより、手作りすること自体の愛のほうがメインだったのではないかと思います。
ただ、観る側からしてみたら、知ってる作品のあんなシーンがこんなことになって!という、
マニア心をくすぐりそうなところもあるわけで、
なんだか期待が膨らみすぎたというか、勝手に期待し過ぎたのかも知れません。
また、元ネタとなる作品がハリウッドメジャーな作品が多く、
『ハイ・フィディリティ』や『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラックだし、という、
彼からつい想像してしまうマニアックさもありません。
権利や使用料やいろんな事情で元ネタ作品のチョイスも制限があったとは思いますが。


フレッチャーの悩みは・・・
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ミス・ファレヴィチを演じるミア・ファローの出演も惑わせるポイントでした。
ミア・ファローというと、つい『カイロの紫のバラ』を思い出してしまって、
この作品こそまさに"映画愛"に溢れた作品だったわけで、
彼女の登場がどんな風に話に絡んでいくか、と期待したのですが、
・・・なんだかよくわからないキャラクターでした。

それともうひとつノレなかった理由は、誰も彼もアタマが悪そう・・・というか、
「こんなことしてるこの人たちバカでしょう?」と言ってるように思えてしまったこと。
ビデオを作る方も作るほうなら、借りる方もどうなの?みたいな。
大金出して会員になって、必死に借りようとしてるこの人たちってバカだよね、
と言ってるような気がしてしまったのです。
もちろん、ゴンドリーにそんなつもりはないと思うのですが。
結局それも、そこにやっぱり”映画に対する愛"が感じられなかったせいだと思います。
その"映画愛"が感じられれば、借りる人はいくらお金を出しても観たいんだろうなと想像できたのです。


お得意様、ミス・ファレヴィチ
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いろいろあって、最後に客や周囲の人たちを巻き込んで、
”オリジナル作品”を作り始めることになるのですが、
このことでようやく”映画愛”が見えてきたようにも思えました。
それぞれがアイデアを出し合い、セットや衣装を工夫して作り、
そうやって出来上がったものを観る人々の笑顔、
自分が登場するシーンを観ることの喜びはとてもわかりやすい。
ですが、そもそもこのビデオ店を守れ!とか、そういう方向で話は進んではいなかったはずで、
ビデオ店の存続というより、お客さんたちはリメイク作品そのものを望んでいたはずです。
それに、元々の建物の解体だか再開発だかの件はまた別の話で、
店長のフレッチャーはDVDレンタル屋にする気まんまんだし、
・・・まあそれはこの建物を壊したくない一心の解決策として考えたことではありますが。
フレッチャーにも"映画愛"も"ビデオテープ愛"もなく、この建物自体への思いが強かっただけ。
このフレッチャーのファッツ・ウォーラーへの思いもいまいちよくわかりませんでした。
この辺は私の理解不足なのでしょう。

そこであのラストだと、もう誰がどうしたかったのかがよくわからない。
いつの間にか人情劇みたいになってしまって、
そういうことだったの?と、いっそう訳がわからなくなりました。
どうせなら、映画作っててイキオイでビルもドッカーンと壊しちゃってとか、
無茶な方向に持ってってくれたほうがコメディとして笑えたかも知れない、
なんてことすら思ってしまいました。


ビデオ店は大繁盛・・・?
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ジャック・ブラックのアブナさ加減は、あらかじめ台本にある通りという感じで、
彼のキャラクターをあまり活かせてない印象。
モス・デフは相変わらずの気の良いあんちゃんぶりがカワイイのですが、
なんだかそれ以上の部分も感じられず。
すべてにおいて、アイデアは良かったけど活かしきれなかった感じが本当に残念。
なんかその詰めの甘いところこそがゴンドリーらしいという気もしてしまうのですが。

このところ、邦題がヒドイとばかり書いてますが、これもヒドイ。
原題『Be Kind Rewind』は"巻き戻して返却してね"といった意味で、
VHSレンタル店ならではの言い回しで、DVDの時代にはもう考える必要のない言葉。
そこにレンタルビデオに対する懐かしみや味わいのようなものも感じさせています。
なのに何故"ミライ"や"逆回転"なんて言葉が?
ミライと片仮名なのはタイトルの字面としてまあいいとして、逆回転は明らかに意味が違う。
先に"ミライ"があってのことなのでしょうか?"バック・トゥ・ザ・フューチャー"みたいな。
そもそも未来とは、街の再開発のこと?ビデオ店の将来のこと?
まあこの内容をうまく言い表すのは難しかったかも知れませんね。
う〜ん、残念。


Be Kind Rewind(2008 アメリカ)
監督 ミシェル・ゴンドリー
出演 ジャック・ブラック モス・デフ ダニー・グローヴァー ミア・ファロー
   メロニー・ディアス シガニー・ウィーバー



僕らのミライへ逆回転 プレミアム・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD


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