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ピンチクリフ・グランプリ [映画感想−は]

1975年にノルウェーで製作された人形アニメーション。
あの『ウォレスとグルミット』にもおそらく影響を与えているのではと言われていて、
とても観たいと思っていた作品でした。


自転車修理工で発明家のレオドルは、ピンチクリフ村の切り立った崖の上に、
アヒルのソランとハリネズミのルドビグと一緒に暮らしていました。
ある日の朝、ソランがレオドルに新聞記事を見せます。
そこには、昔レオドルの弟子だったルドルフという男が、
スーパーカー「ブーメラン・ラピド号」でレースに出場するという記事が載っていました。
どうやらレオドルの発明したエンジンの設計図を盗み、このスーパーカーを作ったのだと気づいたレオドルたち。
彼らも自作のレーシングカー「イル・テンポ・ギガンテ号」を完成させて、
ルドルフに勝負を挑もうとしますが、それには資金が足りません。
諦めかけていたその時、ソランはアラブの石油王・フィファザンの姿を崖の下に見つけます。


発明家のレオドル
pinchcliffegrandprix_1.jpg


昔から人形アニメは大好きなので、冒頭からニコニコしっぱなし。
どんなに技術が進歩して、CGが当たり前の世の中になっても、
この手作り感が与えてくれる幸せな気持ちは変わりません。
それにしても、なんでここまで細部にこだわって作るのでしょう。
レオドルが意味もなく頭をポリポリしたり、
ソランやルドビグの朝の準備する様子や、ポストへ行って帰って来るまでを丁寧に見せたり、
もうそのへんはチャチャッと済ませていいんじゃないの?と言いたくなりそうな、
しつこいまでのこだわり。
しかも、人形たちが実際に動いているとしか思えないようなスムーズな動き。
レオドルのハーモニカや楽団の演奏シーンの、完全に音と指使いがシンクロしてるのなんて、
実写でもそこまでやらないぞと、本当にあきれてしまいます。
でも、もうコレが永遠に終わらなければいいのにというのが本心。
いつまでもいつまでも観ていたい!


ソランとルドビグ
pinchcliffegrandprix_2.jpg


レオドルはなかなか味のある顔つきなんですが、
ソランとルドビグは動物キャラクターとしたらあまりカワイイとは言い難い。
でも、観ている内に愛おしくなってくるから不思議です。
ソランの常に左右に振れるしっぽの愛らしさ。
ルドビグはハリネズミなのに、その針は触っても全然痛そうじゃない。
このキャラクターをかわいげなく作るところに、アメリカや日本製のアニメと違った、
北欧のクールさと素朴さみたいなものを感じます。

そんなのんびりとした世界が後半一変、本題のレースシーンに突入すると、
その疾走感にびっくりしてしまいます。
車載カメラ(!?)が迫力のシーンを見せてくれます。
かなりアップダウンのあるレーシングコースなので、まさにジェットコースター状態!
どう見たってミニカーレースなのに、なんなんでしょうこの迫力!
しかもどう見てもクラシックカーで、どう見てもおじいさんのレオドルなのに、
なんでこんなに強いの!?と、本気で不思議に思ってしまう・・・。


迫力のレースシーン
pinchcliffegrandprix_3.jpg


レストアされた映像は驚くほど美しく、今回NHKハイビジョンで放送されたものを観たのですが、
30年前の作品だとは言われなければ絶対にわかりません。
細かいこだわりに満ちあふれた映像は、あまりにも観るべき箇所が多く、
セーターやマフラーの編み目、カーテンやカーペットの細かさ美しさ、
色とりどりの花、不思議な木工機械、ピンチクリフ村の風景、
イル・テンポ・ギガンテ号のクラシカル(というかスチームパンク風!?)な造形のカッコ良さも楽しい。
完全に子ども向けではないことは、ノルウェーの2/3の人がこの作品を観たということからもよーくわかります。


Flåklypa Grand Prix(1975 ノルウェー)
監督 イヴォ・カプリノ
声の出演 フランク・ロベルト カーリ・シモンセン トラルフ・マウルスタ ヘルガ・ライス
     ロルフ・ヤスト・ニールセン ペール・テオドール・ホーゲン レイフ・ヤスター 



ピンチクリフ グランプリ(デラックスEdition)

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  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: DVD



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