グッド・ガール [映画感想−か]
先日観た『オレンジカウンティ』の脚本家であり、
俳優としても、ちょっとおかしな国語教師を演じていたマイク・ホワイト。
彼のフィルモグラフィーを調べていたら、この『グッド・ガール』を発見。
そしてこれも、いつ買ったのか記憶にないDVDとして我が家にあることを思い出し・・・。
小さな田舎町のスーパーマーケットで働くジャスティン(ジェニファー・アニストン)。
単調な仕事。うんざりする同僚や客。
ペンキ職人の夫フィル(ジョン・C・ライリー)との仲もうまくいかず、
何かと彼に当たり散らしてしまう毎日です。
そんな中、彼女は店に新しく入ってきたホールデン(ジェイク・ジレンホール)と親しくなり、
やがて2人は深い関係へと発展してしまいます。
退屈で退屈で退屈で・・・
ドラマ『フレンズ』ファンだった私としては、ジェニファー・アニストンが、
フレンズのレイチェルとはまるで正反対の暗い人妻役というのに興味があったし、
それとこの頃、ちょうどジェイク・ジレンホールが気になり始めていた(!)こともあって、
とにかく必見だった作品でした。
ほかに大好きなジョン・C・ライリーが典型的なアメリカのブルーカラー系の夫を演じています。
これまた大好きなズーイー・デシャネル(お、サリンジャーつながり!?なわけないか)が、
スーパーの同僚役として、若干コメディな担当で出演。
そしてマイク・ホワイトは今作も脚本担当ですが、ちょっと変わった警備員役で出演もしています。
この作品、一般的にはオフビートコメディぐらいの感じに紹介されていたのですが、
そんなことは全然なくて、予想以上に暗い展開でちょっと落ち込みそうにもなりました。
本当に悲しくなるぐらい田舎のスーパー。
イイ人なんだけど、無頓着な夫。
何もかもうんざりだけど、30歳になった今となっては何ができるでもない、
街を飛び出すわけにもいかない憂鬱な雰囲気を、
ジェニファー・アニストンがとにかくよく出しています。
頰杖をついてぼんやりどこかを眺めて、
何か考えているような、何も考えていないような表情。
不満だらけで常にいらだっているような様子。
そんな彼女の気持ち、痛いほどわかりそうな自分が悲しい・・・。
落ちてはいけない恋
彼女の目の前に現れる”文学青年"ホールデン。
自分を"ホールデン"と名乗り、仕事中に『ライ麦畑でつかまえて』を読んでいる。
ジャスティンが『ライ麦〜』を知らないあたりも哀しいのですが、
それより、今さら文学青年だからサリンジャーなんてベタすぎ!と思っていたら、
ベタなのにはワケがあるのです。
このホールデン君、とにかく暗くてウツ気味、大学もドロップアウトしていて、
こんな風にしたのは両親のせいだと言い、
いつかは自分の小説で世間を見返してやりたい、と思ってるのですが、
どうやらそんな才能はなさそうだということがだんだんわかってきます。
そうなってくると、22歳でサリンジャーというのはなかなか絶妙なチョイス。
そこに、このホールデン君の哀しさを感じてしまうのです。
2人の不倫関係は当然のように秘密が保てず、いろんな問題が浮上します。
ジャスティンは罪の意識からホールデンとの距離を持とうとしますが、
ホールデンのほうはだんだん彼女に対し病的なまでの執着心を持ち始めます。
いろんな手を使ってなんとか1つずつ難局を乗り越えるジャスティンですが・・・やはりうまくいくわけはない。
この辺の危機の乗り越え方はブラックなコメディタッチと言えなくもないのですが、
いえいえ、そんな生易しいものではありません。
特に夫の親友ブッバ(ティム・ブレイク・ネルソン)との一件は・・・かなりキツイ。
夫と、仕事仲間ブッバ
結果として、ホールデンがただ単純にかわいそうな子どもでしかなく終わってしまうのが、
ちょっと後味の悪さを残しました。
一難去ってまた一難のような展開は、いっそのことコメディ風味にしてくれたほうが救いがあったと思うのですが、
それは最初から目指していなかったのでしょう。
このどっちつかずの雰囲気が、結果としてうまくいったような、
田舎町の退屈さ、本当の答えなんか出ないやるせない感じも出していたように思います。
ある日目の前にやって来た王子様と手に手を取って逃げ出すなんて、そう簡単にはいかない。
かといって夫を殺して・・・なんて展開も、そうそうあることではない。
最後、一応の解決というか、落ち着くところに落ち着くのですが、
決してハッピーエンドではなくて、こういう風にして生きていくしかないんだろうなという、
深いあきらめ感で溢れています。
それはホールデンの書く、細部は微妙に違っても結論がいつも同じという、どうしようもない小説と同じ。
これが救いようのない現実なのでしょう。
ただ、なるようにしかならない明日を受け入れることは、そんなに真っ暗闇じゃない。
そんな風にも受け取れる終わり方でした。
The Good Girl(2002 アメリカ/オランダ/ドイツ)
監督 ミゲル・アルテタ
出演 ジェニファー・アニストン ジェイク・ジレンホール ジョン・C・ライリー
マイク・ホワイト ズーイー・デシャネル ジョン・キャロル・リンチ ティム・ブレイク・ネルソン
俳優としても、ちょっとおかしな国語教師を演じていたマイク・ホワイト。
彼のフィルモグラフィーを調べていたら、この『グッド・ガール』を発見。
そしてこれも、いつ買ったのか記憶にないDVDとして我が家にあることを思い出し・・・。
小さな田舎町のスーパーマーケットで働くジャスティン(ジェニファー・アニストン)。
単調な仕事。うんざりする同僚や客。
ペンキ職人の夫フィル(ジョン・C・ライリー)との仲もうまくいかず、
何かと彼に当たり散らしてしまう毎日です。
そんな中、彼女は店に新しく入ってきたホールデン(ジェイク・ジレンホール)と親しくなり、
やがて2人は深い関係へと発展してしまいます。
退屈で退屈で退屈で・・・
ドラマ『フレンズ』ファンだった私としては、ジェニファー・アニストンが、
フレンズのレイチェルとはまるで正反対の暗い人妻役というのに興味があったし、
それとこの頃、ちょうどジェイク・ジレンホールが気になり始めていた(!)こともあって、
とにかく必見だった作品でした。
ほかに大好きなジョン・C・ライリーが典型的なアメリカのブルーカラー系の夫を演じています。
これまた大好きなズーイー・デシャネル(お、サリンジャーつながり!?なわけないか)が、
スーパーの同僚役として、若干コメディな担当で出演。
そしてマイク・ホワイトは今作も脚本担当ですが、ちょっと変わった警備員役で出演もしています。
この作品、一般的にはオフビートコメディぐらいの感じに紹介されていたのですが、
そんなことは全然なくて、予想以上に暗い展開でちょっと落ち込みそうにもなりました。
本当に悲しくなるぐらい田舎のスーパー。
イイ人なんだけど、無頓着な夫。
何もかもうんざりだけど、30歳になった今となっては何ができるでもない、
街を飛び出すわけにもいかない憂鬱な雰囲気を、
ジェニファー・アニストンがとにかくよく出しています。
頰杖をついてぼんやりどこかを眺めて、
何か考えているような、何も考えていないような表情。
不満だらけで常にいらだっているような様子。
そんな彼女の気持ち、痛いほどわかりそうな自分が悲しい・・・。
落ちてはいけない恋
彼女の目の前に現れる”文学青年"ホールデン。
自分を"ホールデン"と名乗り、仕事中に『ライ麦畑でつかまえて』を読んでいる。
ジャスティンが『ライ麦〜』を知らないあたりも哀しいのですが、
それより、今さら文学青年だからサリンジャーなんてベタすぎ!と思っていたら、
ベタなのにはワケがあるのです。
このホールデン君、とにかく暗くてウツ気味、大学もドロップアウトしていて、
こんな風にしたのは両親のせいだと言い、
いつかは自分の小説で世間を見返してやりたい、と思ってるのですが、
どうやらそんな才能はなさそうだということがだんだんわかってきます。
そうなってくると、22歳でサリンジャーというのはなかなか絶妙なチョイス。
そこに、このホールデン君の哀しさを感じてしまうのです。
2人の不倫関係は当然のように秘密が保てず、いろんな問題が浮上します。
ジャスティンは罪の意識からホールデンとの距離を持とうとしますが、
ホールデンのほうはだんだん彼女に対し病的なまでの執着心を持ち始めます。
いろんな手を使ってなんとか1つずつ難局を乗り越えるジャスティンですが・・・やはりうまくいくわけはない。
この辺の危機の乗り越え方はブラックなコメディタッチと言えなくもないのですが、
いえいえ、そんな生易しいものではありません。
特に夫の親友ブッバ(ティム・ブレイク・ネルソン)との一件は・・・かなりキツイ。
夫と、仕事仲間ブッバ
結果として、ホールデンがただ単純にかわいそうな子どもでしかなく終わってしまうのが、
ちょっと後味の悪さを残しました。
一難去ってまた一難のような展開は、いっそのことコメディ風味にしてくれたほうが救いがあったと思うのですが、
それは最初から目指していなかったのでしょう。
このどっちつかずの雰囲気が、結果としてうまくいったような、
田舎町の退屈さ、本当の答えなんか出ないやるせない感じも出していたように思います。
ある日目の前にやって来た王子様と手に手を取って逃げ出すなんて、そう簡単にはいかない。
かといって夫を殺して・・・なんて展開も、そうそうあることではない。
最後、一応の解決というか、落ち着くところに落ち着くのですが、
決してハッピーエンドではなくて、こういう風にして生きていくしかないんだろうなという、
深いあきらめ感で溢れています。
それはホールデンの書く、細部は微妙に違っても結論がいつも同じという、どうしようもない小説と同じ。
これが救いようのない現実なのでしょう。
ただ、なるようにしかならない明日を受け入れることは、そんなに真っ暗闇じゃない。
そんな風にも受け取れる終わり方でした。
The Good Girl(2002 アメリカ/オランダ/ドイツ)
監督 ミゲル・アルテタ
出演 ジェニファー・アニストン ジェイク・ジレンホール ジョン・C・ライリー
マイク・ホワイト ズーイー・デシャネル ジョン・キャロル・リンチ ティム・ブレイク・ネルソン
タグ:映画
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