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ハーヴェイ [映画感想−は]

DVDの整理を少しずつ始めています。
たぶんもう観ないと思われるものとか、
新しく買い直したものをまとめてどうにかしよう・・・と思ったら、
買っただけで観ていないものが結構あって、まったく情けないです。
買ったことで安心してしまったり、夜中にAmazonでイキオイでクリックしちゃったものとか。
この『ハーヴェイ』も、いったいいつ買ったのか・・・記憶ナシ。


親の遺産で裕福な暮らしをしているヴィータ(ジョセフィン・ハル)の悩みは、
弟のエルウッド(ジェームズ・スチュワート)のこと。
というのも、彼には誰にも見えない巨大なウサギ"ハーヴェイ"という友人が常にそばにいて、
毎日近所のバーに通っては誰彼かまわずハーヴェイを紹介し、自宅のディナーに誘うからです。
このままでは娘の結婚相手も見つからないと、
ヴィータはエルウッドを精神病院に入院させることにします・・・。


彼にだけ見えている"ハーヴェイ"
harvey_1.jpg


"アメリカの良心"ジェームズ・スチュワート。
誠実で真面目で正義感が強くて・・・といった役柄が多い人ですが、
この作品はその最たるモノと言っていいでしょう。
とにかく、相手の話を聞き、思いやり深く、
女性には花を贈り、ドアの前では常に相手を先に通す。
人間的にイヤな部分が微塵も感じられません。
それまで刺々しく、誰かと言い争っていたような人も、
彼が間に入っただけで素直になってしまうような。
こんな、一歩間違うとわざとらしくイヤミにもなりかねない役も、
ジェームズ・スチュワートが演じると、本当に愛すべきキャラクターになってしまいます。

ブロードウェイで上演され、ジェームズ・スチュワートも舞台でこのエルウッド役を演じており、
映画化は彼自身が切望したものだそうで、まさに彼の当たり役なのでしょう。
いかにも舞台劇という感じのテンポの良いセリフと話の展開で、
コミカルに演出されていますが、よーく考えるとちょっとキワドイ話でもあります。
はっきりとは示されませんが、彼の”幻覚"はアルコール依存によるものだと匂わされているし、
無理矢理精神病院に連れて行かれ、そこでちょっとした行き違いがあり、
一見ドタバタな感じに描かれていますが、そんな中でも事態を理解していないエルウッド。
やっぱり「これはマズイかも」と思わせるものがあります。
最初に観たときには、そんなエルウッドをもどかしく感じたり、
いったいこれをどう理解したらいいのだろう?と悩んだりもしました。
また、50年以上も前にこんな大胆な設定のお芝居を作るアメリカってスゴイなあと、
単純に感心もしました。


穴が2つ開いた帽子・・・?
harvey_2.jpg


観ているこちら側も幸せにしてくれそうな、
エルウッドのこの憎めないキャラクターはいったいどこから来たものなのか。
彼が過去にはどんな人だったのかということはハッキリとは表されません。
でも彼が昔、母親に、
「世の中では抜群に抜け目なくいるか、抜群に親切でいること」と言われ、
「これまで抜け目なかったから、これからは親切でいこうと思ったんだ」
と語るところがあるのですが、
抜け目なく生きてきた彼は、きっと今とは全然違って幸せじゃなく、
親切に生きることを決めたことによって、
大親友ハーヴェイに出会い、そして幸せに生きられるようになったのでしょう。
それはいったい何を表しているのか。
エルウッドは具体的に(といっても彼以外には見えないのですが)、
ハーヴェイを身長6フィートのウサギだと説明しますが、
それは別にウサギじゃなくてもよくて、
犬でも青い猫型ロボットでも、大好きだったおじいちゃんでもいいはずで、
そういう、心のよりどころのような、特別で大切な存在が人には必要なんじゃないかな、と、
今回改めて観て思いました。


次第に彼の周りの人々も・・・
harvey_3.jpg


そんな心のよりどころすら見つけられないで、
何かに追われるような日々を過ごしている、私も含めた世の中の大多数の人たち。
心に余裕を持って生きることで、実はあっさりと解決することも多いのかもしれません。
どうすればそうなれるのか。
本作ではそれを、他人に対する思いやりや親切にすることでかなえられると言っている気がします。
そもそも思いやりや親切って、自分に余裕がないとできないことではあるのですが。
そんな親切や思いやりを持って人に接することの大切さ。
私は、なんていつもカリカリしてたりイライラしてたりするんだろう。
知らないうちにたくさん人を傷つけてるんだろうなと思うし、
まず、相手の話をよく聞くこと、親切にすること、
ドアの前では「お先にどうぞ」と言ってみる。
そんなことから始めてみようかな、なんてことを深く深く考えてしまいました。


Harvey(1950 アメリカ)
監督 ヘンリー・コスター
出演 ジェームズ・スチュワート ジョセフィン・ハル ペギー・ダウ チャールズ・ドレイク
   セシル・ケラウェイ ヴィクトリア・ホーン ジェシー・ホワイト



ハーヴェイ (ユニバーサル・セレクション2008年第1弾) 【初回生産限定】

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  • 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
  • メディア: DVD


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