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リトル・チルドレン [映画感想−ら]

パトリック・ウィルソンその2です。
実はこれを観るために『ハードキャンディ』を観たようなものなのでした・・・。
でも、一番の目的はケイト・ウィンスレット。大好き!


ボストン郊外の住宅地に越してきたサラ(ケイト・ウィンスレット)。
娘と公園に出かけては、近所の主婦たちとの違和感を感じて日々を過ごしています。
そこに、息子を連れて現れたブラッド(パトリック・ウィルソン)。
司法試験受験のため無職である彼は、映像作家の妻キャシー(ジェニファー・コネリー)の代わりに、
主夫として息子の面倒を見ています。
周りの主婦たちに密かに"プロムキング"と呼ばれていたブラッド、
彼と偶然話すきっかけができたサラは、ちょっとしたいたずら心から、
彼女たちの前でブラッドにキスしてしまいます。


子ども1と2、サラとブラッド
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ブラッドは妻に養われている立場に居たたまれなさを感じ、
何かを変えたいと思っています。
サラは周りの主婦たちと自分は違うと思いながら、
実際は娘の面倒をみるだけの日々を送るしかないことにいらだちを感じています。
ある日、夫がネットポルノに夢中になっている現場を見てしまい、
それがきっかけとなって、ブラッドへ気持ちが傾いていきます。
ここまでは、よくある不倫モノという感じですが、
そこに2人の男、ロニーとラリーの存在が絡んできます。

ロニー(ジャッキー・アール・ヘイリー)は性犯罪の前科があり、
服役してこの街に戻ってきたばかり。
近所に犯罪者がやって来たことに街は騒然としており、
元警官のラリー(ノア・エメリッヒ)はそのロニーに執拗に嫌がらせをします。
彼も実は過去に事件を起こしており、そのことが彼をいっそうロニーへの行動へ向かわせているといえます。


子どもその3、ロニー
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この作品の登場人物たちは、それぞれに悩み、どこにも行けない苛立ちを抱えています。
それは特別珍しいことでもなく(ロニーは別ですが)それほど深刻なものとも思えません。
彼らの行動や言動はどこか子供じみていて、そこからこのタイトルは来ているのだと思いますが、
それぞれが年齢的にはもう大人で、家庭もあるのに、
未だに自分探しをしているようであり、その様子はまるで十代のようです。
特に一番の子どもはブラッド。
司法試験に何度も失敗し、今度もダメだと思っている彼は、
勉強をサボって少年たちのスケートボードをぼんやり眺めたりしますが、
本当は彼らの仲間に入っていきたいと思っていたりする。
ラリーに誘われて入ったフットボールチームでは過去の栄光を思い出し、
これで何かが開けそうな気になってみたりしますが、当然何も変わりはしません。
サラは大学院まで出たのに、ただの主婦になってしまった自分がイヤで、
周りの誰とも私は違うと思い、でも何も変えることはできず、
自分の娘の扱いすらうまくできません。
2人の不倫関係は、それぞれの現状の不満から逃げ出す口実であるだけのようで、
そこに愛情があるようには見えません。
ただその場にいたくない、そこから逃げ出したいという、
これも子どもっぽい考えなのです。


子どもその4、ラリー
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ラリーは仲間たちに溶け込み、一方でロニーを追い詰めることに必死ですが、
その様子はなんだかガキ大将のようでもあります。
地域を守ることを言い訳にして威厳を保ち、
実際は自分の過去をなんとか誤魔化そうとしているように見えます。
そしてロニー。
幼児性愛による犯罪者で世間に入っていくことはできない。
唯一の理解者は彼の母親であり、母の庇護の元で生きていくしかない彼は、
まさに大きな子どもです。
母親の薦めで新聞の出会い欄に応募し、
1人の女性(ジェーン・アダムス!彼女はどうしていつもこんな役!?)とデートしますが、
とんでもないことでぶちこわしにしてしまったり。


唯一の大人?キャシー
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ケイト・ウィンスレットはどうしてこんなに素晴らしいのでしょう。
イライラしたり落ち込んだり泣いたり、彼女の行動1つ1つが胸に深く染みます。
パトリック・ウィルソンは彼の得意分野と言えそうな、
ハンサムでいいカラダで性格も良くて、でも煮え切らなくて頼りなくて・・・という適役。
ジャッキー・アール・ヘイリーのオスカー助演候補も頷ける不気味で哀しい演技は必見です。
ノア・エメリッヒも、理不尽な性格で周囲に迷惑をかけますが、実は孤独を抱えている、
かなりめんどくさく鬱陶しい男を熱演しています。
そしてジェニファー・コネリー。
ブラッドがサラにためらうことなく「妻は美人だ」と言い切れる美貌、
仕事もできて息子を心から愛す完璧な妻。
彼女の心理をもう少し表して欲しかったです。

不倫関係を続け、その関係を正当化したいサラとブラッドは、
当然の成り行きとして街を出ようとします。
一方、暗い過去を持ちながらも街から出ることができないロニーとラリー。
彼ら4人が交錯するラスト。
それはこちらの予想を軽く裏切る素晴らしさで、
それぞれが自分の素顔をさらけ出し、あるいは本心と向き合うことになり、
このことで彼らがほんの少し、大人への道を踏み出すことができるような、
かすかな希望と痛みに溢れています。
彼らとなんら変わらないという自覚を持つ私も、
充分すぎるぐらい痛みを感じてしまいました。


Little Children(2006 アメリカ)
監督 トッド・フィールド
出演 ケイト・ウィンスレット パトリック・ウィルソン ジェニファー・コネリー
   ノア・エメリッヒ ジャッキー・アール・ヘイリー



リトル・チルドレン

リトル・チルドレン

  • 出版社/メーカー: NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
  • メディア: DVD


タグ:映画
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