カメレオンマン [映画感想−か]
この作品を初めて観たのはいつだったのか・・・かなーり昔です。
テレビで放送された時になんの予備知識もなく観て、
ただただ、その完成度の高さにびっくりしました。
このたび待望の初DVD化、また、これまで劇場公開もビデオもテレビ放送も、
いずれもナレーション部分が日本語吹き替えのものしか存在していなかったのですが、
英語ナレーション版で発売ということで、ためらうことなく購入しました。
ゼリグとフレッチャー博士
1920年代のアメリカ。
周りの環境に合わせて姿形が変わってしまうという特異体質の男が発見されます。
彼の名前はレナード・ゼリグ(ウディ・アレン)。
人種や体型、話す言葉も自在に変えてしまう彼を、
ユードラ・フレッチャー博士(ミア・ファロー)が科学的に調査することになりました。
彼を"人間カメレオン"と命名すると、世間は一気にカメレオンブーム。
ヒット曲が生まれ、カメレオングッズがたくさん作られたりします。
他の医師たちはフレッチャー博士の意見に反し、ゼリグの肉体的な異常だけを指摘しますが、
彼女だけは彼の過去や精神的な部分を重視し、治療を試みます。
しかし、ゼリグの姉が彼を見せ物にして一儲けしようと企み、彼を連れ出してしまい・・・。
!!!???
架空の人物伝とか偽ドキュメンタリーというのは今も昔もいろいろありますが、
ここまで設定がくだらなく、かつとことん作り込んでるのはなかなかないのではないでしょうか。
しかも、まだCGもない時代。この完成度は尋常じゃありません。
過去のドキュメンタリーフィルムにひたすら合成する、
あるいは昔のフィルムっぽく撮影、編集する。
どこまでが本物なのか、作られたものなのか、ほとんど区別が付きません。
確実に、そこにもここにもゼリグがいる!
実際に製作に5年近くかかったと何かで読みましたが、それだけのことは感じられます。
ここから約10年後に『フォレスト・ガンプ』が登場するわけですが、
話題になったガンプとケネディの握手のシーンを見て
「それってカメレオンマンじゃん!」
と思った人も多かったのではないでしょうか?
大統領と並ぶゼリグ
ゼリグが目の前の人に同化してしまう、というのは、
相手に嫌われたくない、という強い思いの表れからとされます。
それは誰もが少なからず持っている性質であり、
特に、込み入った人間関係を嫌い、自分を隠して相手に表面だけを合わせようとする現代人の性質は、
ゼリグ的と言えるかも知れません。
ゼリグが1人でいる時は、まったくの無の状態です。
彼が一人ぼっちでいるときの何者でもない状況は、切なささえ感じます。
そんな彼に正面から向き合い治療を続けるフレッチャー博士。
やがて2人は恋に落ちる・・・という、お約束と言っていい展開ではあるのですが、
ドキュメンタリーという体裁の中なので、
いつものように延々とアレンが言い訳したりといったことはありません。
それはそれでまた、アレン自らおとなしくなっちゃったみたいな可笑しさがあります。
この話の中に何か教訓や警告があるわけではなく、
単にゼリグの行動や、大真面目にインタビューに答える本物の作家や評論家たちを、
面白がって観ていればいい作品だと思います。
ユダヤ人であるゼリグがバチカンでローマ法王の隣にいたり、
ナチスの党大会会場でヒットラーの後ろにいたりというトンデモなさ&くだらなさ。
ウディ・アレン自身がたぶん一番好きな時代なんだろうと思う20〜30年代のアメリカの風俗を、
あれやこれやと盛りだくさんに楽しめます。
きっと本人も大量の古いニュースフィルムを前にして、
楽しみながら作ったんだろうなあということが想像できます。
ウディ・アレンのこういう完璧なコメディ作品というのは、これを最後になくなってしまいますが、
また、こういうの作ってくれないかな。無理かなあ・・・。
黒人と並べば黒人に・・・
さて、このDVD、初めて英語ナレーションを聞くことができてそれは満足なのですが、
あのお馴染みの日本語ナレーションは収録されていない!残念!
矢島正明さんの声で解説されると、いかにもドキュメンタリーな雰囲気でいいんですけどね。
Zelig(1983 アメリカ)
監督 ウディ・アレン
出演 ウディ・アレン ミア・ファロー
テレビで放送された時になんの予備知識もなく観て、
ただただ、その完成度の高さにびっくりしました。
このたび待望の初DVD化、また、これまで劇場公開もビデオもテレビ放送も、
いずれもナレーション部分が日本語吹き替えのものしか存在していなかったのですが、
英語ナレーション版で発売ということで、ためらうことなく購入しました。
ゼリグとフレッチャー博士
1920年代のアメリカ。
周りの環境に合わせて姿形が変わってしまうという特異体質の男が発見されます。
彼の名前はレナード・ゼリグ(ウディ・アレン)。
人種や体型、話す言葉も自在に変えてしまう彼を、
ユードラ・フレッチャー博士(ミア・ファロー)が科学的に調査することになりました。
彼を"人間カメレオン"と命名すると、世間は一気にカメレオンブーム。
ヒット曲が生まれ、カメレオングッズがたくさん作られたりします。
他の医師たちはフレッチャー博士の意見に反し、ゼリグの肉体的な異常だけを指摘しますが、
彼女だけは彼の過去や精神的な部分を重視し、治療を試みます。
しかし、ゼリグの姉が彼を見せ物にして一儲けしようと企み、彼を連れ出してしまい・・・。
!!!???
架空の人物伝とか偽ドキュメンタリーというのは今も昔もいろいろありますが、
ここまで設定がくだらなく、かつとことん作り込んでるのはなかなかないのではないでしょうか。
しかも、まだCGもない時代。この完成度は尋常じゃありません。
過去のドキュメンタリーフィルムにひたすら合成する、
あるいは昔のフィルムっぽく撮影、編集する。
どこまでが本物なのか、作られたものなのか、ほとんど区別が付きません。
確実に、そこにもここにもゼリグがいる!
実際に製作に5年近くかかったと何かで読みましたが、それだけのことは感じられます。
ここから約10年後に『フォレスト・ガンプ』が登場するわけですが、
話題になったガンプとケネディの握手のシーンを見て
「それってカメレオンマンじゃん!」
と思った人も多かったのではないでしょうか?
大統領と並ぶゼリグ
ゼリグが目の前の人に同化してしまう、というのは、
相手に嫌われたくない、という強い思いの表れからとされます。
それは誰もが少なからず持っている性質であり、
特に、込み入った人間関係を嫌い、自分を隠して相手に表面だけを合わせようとする現代人の性質は、
ゼリグ的と言えるかも知れません。
ゼリグが1人でいる時は、まったくの無の状態です。
彼が一人ぼっちでいるときの何者でもない状況は、切なささえ感じます。
そんな彼に正面から向き合い治療を続けるフレッチャー博士。
やがて2人は恋に落ちる・・・という、お約束と言っていい展開ではあるのですが、
ドキュメンタリーという体裁の中なので、
いつものように延々とアレンが言い訳したりといったことはありません。
それはそれでまた、アレン自らおとなしくなっちゃったみたいな可笑しさがあります。
この話の中に何か教訓や警告があるわけではなく、
単にゼリグの行動や、大真面目にインタビューに答える本物の作家や評論家たちを、
面白がって観ていればいい作品だと思います。
ユダヤ人であるゼリグがバチカンでローマ法王の隣にいたり、
ナチスの党大会会場でヒットラーの後ろにいたりというトンデモなさ&くだらなさ。
ウディ・アレン自身がたぶん一番好きな時代なんだろうと思う20〜30年代のアメリカの風俗を、
あれやこれやと盛りだくさんに楽しめます。
きっと本人も大量の古いニュースフィルムを前にして、
楽しみながら作ったんだろうなあということが想像できます。
ウディ・アレンのこういう完璧なコメディ作品というのは、これを最後になくなってしまいますが、
また、こういうの作ってくれないかな。無理かなあ・・・。
黒人と並べば黒人に・・・
さて、このDVD、初めて英語ナレーションを聞くことができてそれは満足なのですが、
あのお馴染みの日本語ナレーションは収録されていない!残念!
矢島正明さんの声で解説されると、いかにもドキュメンタリーな雰囲気でいいんですけどね。
Zelig(1983 アメリカ)
監督 ウディ・アレン
出演 ウディ・アレン ミア・ファロー
タグ:映画
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