SSブログ

恋愛睡眠のすすめ [映画感想−ら]

ガエル・ガルシア・ベルナルがミシェル・ゴンドリー作品に出る!
スチールを見ただけで期待でクラクラしていた作品でした。


メキシコで父と暮らしていたステファン(ガエル・ガルシア・ベルナル)。
父をガンで亡くし、母の住むパリに戻って来ます。
母が大家であるアパートの、子どもの頃暮らしていた部屋で再び生活を始めますが、
ある日、隣の部屋に越してきたステファニー(シャルロット・ゲンズブール)と出会い、彼女に恋してしまいます。
しかし、内気で不器用でフランス語も苦手なステファンは彼女に想いをうまく伝えられません。
昔から夢と現実の区別がつかなかったと母親に言われてしまうステファン、
夢の中でだけ、彼女との恋愛をかなえていきますが・・・。


隣に住んでるのはヒミツ
scienceofsleep2.jpg


100%ミシェル・ゴンドリーの世界。
ビョークなどのPVで知られる彼ですが、
あの世界観がそのまま120分間の作品になったと言っていい感じです。
彼のこの前の作品『ヒューマン・ネイチュア』や『エターナル・サンシャイン』も、
いずれもオリジナリティ溢れる作品でしたが、
今回は脚本家チャーリー・カウフマンと離れて初めて一人で脚本を書いており、
完全にゴンドリー印の作品となっています。
実際に自分が住んでいたアパルトマンを使って撮影していたり、
ゴンドリー自身もカレンダーのデザイナーだったことがあるらしく、
まさにステファン=ゴンドリーなのかも知れません。

"なんでも立体に見えるメガネ"や"1秒だけタイムスリップする機械"など、
ステファンは日々不思議なモノを作っています。
それを見て純粋に喜んでくれるステファニーも、
ぬいぐるみからロフトまで手作りするようなヒト。
2人で"船の上の森"を作り始めますが、ステファンの気持ちはなかなか受け入れてくれません。


1秒タイムマシン体験中
scienceofsleep1.jpg


ちょっと世間とズレた手作り派、なかなか叶わない恋、しかも舞台はパリ・・・というわけで、
ステファンは一見、男版アメリ、のようでもあります。
でも、自分の夢の中でしか活躍できないし、アメリほどの勇敢さはなく、
純粋だけど自意識過剰です。
自分の中だけの閉じられた世界にしか生きられません。
メキシコでの生活がどうであったかは明らかにされませんが、
パリの子ども時代のままの部屋に戻った瞬間、そこに自然に溶け込み、工作を始め、
子ども用ベッドに横たわるステファンは、まるっきり少年です。
ステファンもステファニーも結構いい年だし、
見ようによってはイタイ2人、特にステファンは完全にヤバイ人なのですが、
そうならないのは、監督のこの作品に対する純粋な思い、
自分自身の投影であるが故の愛情ある目線から来るのでしょうか。

作品によっていろんな表情を見せるガエル・ガルシア・ベルナル、今回はラブリーガエル全開!
キュートなニット帽、ネコの着ぐるみや付け耳などツボを押さえた愛らしさで、
ガエル鑑賞ムービーとしては最高の出来です。
(私なら、いくらでも髪を撫でててあげるのに!・・・むにゃむにゃ。)
シャルロット・ゲンズブールは相変わらずの透明感というのか、独特の世界を持っていて、
たぶんガエルくんよりだいぶ年上だと思うのですが、その差をあまり感じさせません。
ほんのちょっとお姉さん、という雰囲気が、ステファンの彼女に対する感情が、
母や姉に甘えたい子どもっぽさのようなものにも感じられました。


あああ・・・
scienceofsleep4.jpg


セロファン、フェルト、ダンボールやぬいぐるみなど手作り感あふれた世界は、
時代が違えば雑誌「オリーブ」あたりで大特集されそうなラブリーさ。
・・・まあそうなったらそれも多少勘違いだと思いますが。
一応恋愛モノ、ラブコメディとかなんとかカテゴライズされているようですが、
それよりは昔の東欧あたりの人形アニメを彷彿とさせます。
いっそのことアニメである、ファンタジーである、と言ってしまったほうが、
この作品に意味やストーリーを求めることの無意味さをハッキリさせるのでは?と思いました。
たぶん、このノリがダメな人は絶対にダメだろうし、ハマル人には至福の世界でしょう。
ファンタジーもの好きの私は充分満足しましたが、
ですがもうちょっと"映画"にして欲しかったかなあとも思いました。
終わり方の切なさにはしびれましたが。

ところで邦題、どこかちょっと違う気がします。
"The Science of Sleep" 「睡眠の科学」じゃワケわかんなくてお客さん来ないかも知れませんけどね。
でも、そのワケわかんないことこそがミシェル・ゴンドリーワールドでは一番重要だったりする。
邦題って本当に難しいです。

時々、ステファンのようにつらい現実から逃げ出してこんな夢が見たいなあと思ったら、
この作品を思い出してずっとぼんやり眺めていたいです。
残念ながら私の夢はこんな風に映像化することができませんから。


The Science of Sleep(2005 フランス/イタリア)
監督 ミシェル・ゴンドリー
出演 ガエル・ガルシア・ベルナル シャルロット・ゲンズブール アラン・シャバ ミュウ=ミュウ



恋愛睡眠のすすめ スペシャル・エディション

恋愛睡眠のすすめ スペシャル・エディション

  • 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
  • メディア: DVD


タグ:映画
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。