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ノーカントリー [映画感想−な]

急に時間がポッカリ空いて、
これはもう映画観るしかないと劇場に走りました。
情けないことにこれが今年最初の劇場鑑賞。
記念すべき一本目は『ノーカントリー』となりました。

現在公開中の作品なので、詳しい言及は避けます。
・・・といってもまったく触れないわけにはいかないので、
気にされる方はこの先、読まないでください。
と言っても、この感覚をどうまとめたらいいのかわからないでいるのですが。

私のコーエン兄弟初体験は『バートン・フィンク』でした。
そのあと『ファーゴ』があって、さかのぼって『ブラッドシンプル』や『ミラーズクロッシング』を観ました。
いろんな所で言われていますが、今回の作品はまったくこの頃に戻ったよう。
あの感覚がすごく蘇って来ました。
わかりやすい共通点はなんといっても血・血・血。
『バートン・フィンク』での、ベッドにジワーッと広がっていく血。
すごくショックだったことを憶えています。
あるいは『ファーゴ』の一面雪景色の中の血。
今回の作品もやたらと血まみれです。


オスカー受賞納得の怪演
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ハビエル・バルデム演じる、無表情で無意味に人を殺していくシガー。
気になったのが、わけのわからない高圧ボンベで一瞬にして相手を殺すのに、
血に触れることを嫌うかのようなシーンが何ヶ所か出て来るところです。
色あせてない、キチンとしたGジャンにパンツ、磨かれているかのようにきれいなブーツを身に着けているシガー。
途中、そのブーツを脱いで歩くシーンさえあります。
(足音を消すのが目的だと思いますが)
この、とにかく異様な殺人者の異様なこだわり。
すべて自分のルールに則って人を殺していき、そこに理由や呵責や、
感情そのものが存在していないかのようです。
それは見ていて面白くもあり、一番興味深い点ではあるのですが、
やはり、なぜこういう人物が生まれたのか、が知りたい気もしました。
単なる殺人マシンでしかない、もしかして人でもないかも知れない。
・・・でも傷を負い、痛そうにしているところ見ると、神経は通っているようでした。

トミー・リー・ジョーンズ演じる保安官が、
ナレーションの中や、実際に部下などに最近の殺人の悲惨さを、不合理さを語る場面があります。
まさに、このシガーはそれを表しています。


主人公は、実はこの人
no_country_3.jpg


この保安官は、武器を嫌い、世の中を憂い、実際何もしていないに等しいです。
大金を持ち逃げしたジョシュ・ブローリン演じるルウェリンと、
それを追うシガーを追いかけますが、結局、いつも出遅れ、何も出来ません。
最後まで観て、この保安官がこの作品の主人公であり、
彼の行動や語る言葉がこの作品の形というか概観であり、
重要な点なのだということには気づきましたが、
よくわからない点のほうが多かったです。
どうしてもシガーの行動に目が行ってしまうし、
次はどうなるのだろう?ということばかりが気になってしまって。
もう一度、この保安官視点で落ち着いて観たいなと思いました。


ずっと、若いニック・ノルティに見えてました
no-country-2.jpg


前半はいろんな話が絡み合い、意味のない殺人も行われますが、
後半はちょっと訳のわからない展開になってしまいました。
私の理解力不足もあるかも知れませんが、
かなり意図的に端折っていたり、殺人現場を見せなかったりします。
そして、最後はポンッと置いてけぼり状態にさせられる感じです。
白黒つけることが目的ではないでしょうし、
コーエン兄弟らしいといえば、まったくその通りなんですが。
終わって、いろんなシーンを反芻し、
余韻を楽しむ・・・には後味の悪い話ですが、
こういうのは嫌いではないので、どんどんこういう感じで行って欲しいです。

それにしても、アカデミー賞なんて取ってしまったことが裏目に出そうな気もします。
こういうのは単館でひっそりやってくれるほうが良いのでは、と思うし。

それから、ウディ・ハレルソンの使われ方はもったいないというかクールというのか。
こういうのも嫌いじゃないのですが。


No Country for Old Men(2007 アメリカ)
監督 ジョエル・コーエン イーサン・コーエン
出演 トミー・リー・ジョーンズ ハビエル・バルデム ジョシュ・ブローリン ウディ・ハレルソン
   ケリー・マクドナルド



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コメント 2

堀越ヨッシー

はじめまして。
オイラもつい最近見てきました。ハビエル・バルデム怖かったですねえ。彼に限らず他の役者陣の演技も見応えがあり、またコーエン兄弟の演出もまた素晴らしかったですね。
 
単館で上映してくれた方が...とのご指摘ですが、個人的にはやはり多くの場所で上映してくれた方が、大勢の方が見られる機会も増えていいと思いますね。特に地方に住んでる方とかには特に。
 
記事がとっても読みやすかったので、nice!を押させて頂きました。ジョシュ・ブローリン、確かにニック・ノルティに似てるかも...(^皿^)。
by 堀越ヨッシー (2008-03-19 16:20) 

dorothy

堀越ヨッシーさん、初めまして&コメントありがとうございます。

単館上映の件・・・そうなんですよね。
私も単館でしかやってなければたぶん観れなかったハズなんで、
普通のシネコンでもやってくれて助かったんですが、
「えー何コレわけわかんなーい」とかいう声を
出来ることなら聞きたくない・・・というジレンマもあり、なんですよね。
微妙なところです。
by dorothy (2008-03-19 21:41) 

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