エリザベスタウン [映画感想−あ]
世間の評価があまりにも悪く、これを好きだと言うことはかなりはばかられるのだけれど。
確かに全体にまとまりがない、テーマが絞り切れてない、
オーランド・ブルーム下手すぎキルスティン・ダンスト怖すぎ・・・と、
思い当たるところは山盛りあるのだけれど、
ひとつひとつのシーンやエピソードがとても愛おしく、
駄作と切り捨てるのはとても忍びない。
どうしても納得いかないところが多いのも事実。
シューズの失敗をたった一人が被ってしまうというのはありえない、とか、
なぜキルスティン・ダンスト=クレアはオーランド・ブルーム=ドリューに惹かれたのか、
最初は落ち込んだ様子の彼を励ます一心だったのかもしれないが、
出会ってすぐなのに電話番号を教えたり、かなり積極的にアピールしてる。
ウソの恋人の話をしてじらして(?)みせたりもする。
ハッピーエンドのラブストーリーにするのなら、
例えば最後に「初めてあなたを見たとき恋に落ちてしまったの」とかなんとか言わせても良かったはず。
そうは言ってもキルスティン・ダンストはうまい。
彼女が一晩(?)でロードマップを作ったりする、ほとんどサイコな女なのに、
それがあまり気にならないのは、彼女の演技力のなせるワザだろう。
まあしかし、たぶん監督がイメージしたであろう、
ビリー・ワイルダー作品におけるシャーリー・マクレーンの、
気のいいおせっかいぶり、でも実は暗い影を持つヒロインにはなりきれていないのは惜しい。
そして何より、この映画を一番暗いものにしているのはオーランド・ブルーム。
彼がカリフォルニア生まれのアメリカ人を演じることにそもそも無理があるし。
慣れない父親の故郷で、周囲から浮いて取り残されている感じは出ているとも言えるが、
実際に映画の中で一人だけ取り残されている感じ。
クレアが一目惚れをしたというのならこの美男子ぶりが必要だったとは思うが。
ああこれがジョン・キューザックだったらどうなっていただろう・・・とつい夢想。
二人が一晩中携帯電話で語り合うシーン、
スーザン・サランドン演じる母親がタップダンスするシーン、
基本的に悪人のいない親戚や友人たち、
そんな人たちに愛されていた父親、
その父親との思い出、
いろんな断片的なシーンがそれぞれ印象的で、
ああこれが、うまくまとまってさえいれば。
キャメロン・クロウが実際に自分の父親との別れを経験したことを元にしたらしく、
そういう個人的な思いがまとまりを無くし、何かを見失わせてしまったのかも知れない。
これ以降、新作の話題を聞かないけれど、
この作品の評価の悪さに落ち込んでるのでないといいんですが。
Elizabethtown(2005 アメリカ)
監督 キャメロン・クロウ
出演 オーランド・ブルーム キルスティン・ダンスト アレック・ボールドウィン スーザン・サランドン
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